株主が「監査法人に115億円の賠償提訴を」
東芝に提訴請求書 提訴しない場合は株主代表訴訟提訴に
東芝の不正会計を見落とし、注意義務を怠ったとして、大阪府内の男性株主が19日、会計監査を担った監査法人最大手「新日本監査法人」に約115億円の損害賠償を求める訴訟を起こすよう東芝に提訴請求書を送った。東芝が60日以内に提訴しない場合、男性は会社法に基づき東京地裁に株主代表訴訟を起こす方針。
男性の代理人を務める「株主の権利弁護団」(大阪市)によると、監査法人に対する代表訴訟は例がない。
東芝は2008〜14年度、主力の半導体やテレビ事業に関する損失計上の先送りなどで総額約2300億円の利益を水増しした。しかし、新日本はこの間の決算を「適正」と評価。金融庁は昨年12月、公認会計士法に基づき、新日本に課徴金約21億円の納付や新規契約業務の3カ月停止(1〜3月)の処分を出した。
男性は「新日本は不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況に接しながら、追加的な監査などを行わなかった」と指摘。東芝が決算修正に伴って支払った新日本への監査報酬(約30億円)などを損害としている。
東芝広報・IR部は「書面を受け取っていないのでコメントを差し控える」としている。
男性は5月、室町正志前社長ら歴代役員11人を相手取り、総額27億円を東芝に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こしている。【三上健太郎】