古代エジプト王朝の再現ドラマ
昨日の夜、面白い番組を観ました。
長いタイトルに相応しく、盛りだくさんでしたよ。
有名なツタンカーメンのお墓にまつわる新事実を解き明かす内容なんですが、
ドラマパートがすごく面白かったです。
再現ドラマには、ツタンカーメンと両親、そして義理の祖父が出てきます。
キャストを紹介しましょう。
アイ(ネフェルティティの父)・・・宍戸開
福くんがツタンカーメンと聞いてビックリしましたが、
顔が良く似ている今野さんが父親役なので納得しました。
また、ネフェルティティの夏菜さんとアイの宍戸さんがはまり役でしたね。
ただ、エジプトの歴史を詳しく知る人にとっては、
ちょっと突っ込みどころが多かったかも知れません。
エジプト第18王朝のおさらい
私は勉強不足で中東史のことはよく知らないんですが、
グーグル先生にいろいろ尋ねてみましたよ。
古代エジプトには様々な王家があったんですが、
ツタンカーメンが生まれたのは「第18王朝」だったんですね。
父親はアメンヘテプ4世でまたの名をアクエンアテンといいます。
昨日の再現ドラマでは「アクナートン」と呼ばれていましたが、
これも彼の別名になるんですよ。
ややこしいので、番組でも使われたアクナートンで統一します。
母親は側室のキヤという女性なんですが、諸説あって、
ハーレムの人だったとも、ミタンニという中央アジアにあった王国の出とも言われています。
第18王朝の時代、エジプトはアメン神を信仰していたんですが、
神官たちが絶大な権力を振るうようになったため、
これを快く思わないアクナートンは別の神を崇めるように言いました。
これがアテン神でした。
ちょっとこれらの神様のことを説明するのは、名前も似てて難しいので、
ウィキのリンクを貼っておきますね。
(アクナートン以前の王様が信仰)
(アクナートンが信仰)
ちなみに、アクナートンはアメンからアテンに改宗する際に、
都をテーベ(現在のルクソール)から、砂漠の真ん中のアケトアテンに移しています。
これをアマルナ革命といい、世界初の「一神教の実施」であったといいます。
アクナートンは「異端の王」と呼ばれ、人々から畏怖されましたが、
美術の世界などでは新たな技法が生み出され、文化的には見るべきものがあったようです。
短命だったツタンカーメン
アクナートンの宗教改革は上手く行くかと思いきや、急進的だったため、
神官たちの猛反発にあい、あえなく挫折してしまいます。
また、正室のネフェルティティとの間には6人の子が生まれたものの、
いずれも女の子だったため、世継ぎにも恵まれませんでした。
キヤが側室となってツタンカーメンを産んだものの、
まもなく急死してしまい、そのこともアクナートンの心身を衰弱させる原因となりました。
彼の晩年にはネフェルティティが共同統治者となって、政務をみるようになりましたが、
アクナートンは32歳で崩御してしまったんです。
世継ぎのツタンカーメンはまだ幼かったので、
義理の母親であるネフェルティティが「スメンクカーラー」と名乗って即位しました。
しかし、彼女もわずか3年ほどで亡くなってしまい、
9歳のツタンカーメンがファラオになり、アイ(ネフェルティティの父)が後見人となりました。
ツタンカーメンは父が信仰していたアテンから、
もともとのエジプト宗教であったアメンに改宗し、民衆からの支持安定に務めたようです。
ところが、彼はもともと病弱だったようで、
なんと19歳の若さで帰らぬ人となってしまったんですよ。
こうも次々と君主が亡くなる第18王朝は、
本当に不運だったとしかいいようがありません。
蜜の味もビックリな近親婚
何年か前にフジテレビで「蜜の味」というドラマがあり、
ヒロインが実の叔父と結ばれることで賛否両論ありましたが、
古代エジプトはその上を行く世界だったんです。
なんと「親子婚」と「兄弟姉妹婚」があったんですね。
アクナートンはネフェルティティとの間にたくさんの娘を儲けましたが、
その三女にアンケセンパーテン(アンケセンナーメン)がいました。
彼女は母によく似て美しかったそうですが、
なんと父のアクナートンがアンケセンバーテンを妃にしてしまったんですよ。
ちょっと、現代人の感覚では信じられない話ですね。
ネフェルティティは共同統治者として、
都を離れた場所で政務を取ることがあったので、
妻のいない寂しさがそうさせてしまったんでしょうか。
アンケセンバーテンは実の父との間に子供を産んだようですが、
彼の死後、名前を改めてツタンカーメンの正室となっているんです。
いわゆる異母姉妹婚です。
当時のエジプトでは、王家の血を引く女性と婚姻してファラオになる例が多く、
ツタンカーメンの母は側室で他国の人だったらしいので、
即位するにはアンケセンナーメンと結婚する必要があったんでしょう。
どこの国の王朝でも血族結婚が盛んですが、
エジプトでは一親等以内というのがあったので驚きました。
アンケセンナーメンはツタンカーメンの死後、
実の祖父であるアイの継室となっているので、
どれだけ壮絶な生き方をしたんだろう・・・と絶句しました。
妙香のまとめ
最後に「スメンクカーラー」について書いておきますね。
番組では共同統治者であったネフェルティティが、
アクナートンの死後に改名して即位したことになっていますが、
実のところは諸説があって判然としないんですよ。
アクナートンの弟で、正室はネフェルティティの娘だったとも言われています。
また、即位したネフェルティティがヒッタイトの王子を夫にすると言っていましたが、
これはアンケセンナーメンがアイと結婚するのを嫌がって、
隣国と接触をはかっていたことらしいです。
さすがに彼女も近親婚はこりごりだったのかも知れません。
でも、ヒッタイトの王子はアイによって暗殺されたみたいです。
まあ、古代の歴史なのでわからないことだらけですが、
「スメンクカーラー」については、ネフェルティティであったほうが、
歴史のロマンを感じさせていいですよね。
女性君主というのはなかなかいないですから。