劣等感が強いと人格障害になる!自己愛性人格障害の特徴と対処法
2016/07/19
人は誰でも、自分に対する関心が強いですよね。チヤホヤされたいとか、人よりも優位に立ちたいとか、そういった気持ちを持っていると思います。
ただ、こういった感情は悪いことではないのですが、異常なほど自分に特別意識を持っているなら要注意です。
- 自分を正当化するために他人を批判する
- 思いやりがなく何でも自己中心的に考える
- 周りからの評価を過剰に気にする
- 自分は特別な存在なのだと思い込んでいる
自己愛が強すぎる人は、「自己愛性人格障害」という病気である可能性があります。「自分は偉大である」という気持ちが強すぎて、常に周りから注目されていないと気が済まない人です。
そして、上手くいかないことがあると他人に暴言を吐いたりするので、人間関係を構築することができません。
自分の周りに自己愛性人格障害の人がいる場合には、接し方には十分に気を付けるようにしましょう。
目次
自己愛性人格障害は劣等感の裏返し
自己愛性人格障害とは、「自分は特別な存在でなくてはならない」と思い込んでしまう症状のことです。ありのままの自分を受け入れられず、完璧な理想像をいつも追い求めています。
これだけ聞くと向上心が高い人だと思いがちですが、自己愛性人格障害の厄介な部分は、自分を正当化するために他人を傷つけようとすることです。
これは、劣等感やコンプレックスが強すぎるためで、他人を批判することで自分が優位な立場に立とうとします。
弱い立場の人間を傷つけたり否定することで、自分が偉くなったと思いたいわけですね。
自己愛性人格障害の特徴としては、次のようなものがあります。
- 自分は他人よりも優れた人物だと思っている
- 経歴や能力などを誇張する
- 周りからの称賛を強く求める
- 他人の感情や気持ちを考えない
- 自分の意見に周りを従わせたい
- 他人を上手く利用しようとする
- 自分よりも下の人間に偉そうにする
- 自分よりも優れた人間に対して嫉妬する
- 人間関係で問題を起こしがち
- 自慢話や人を見下す発言が多い
- 高すぎる理想を持っており意識が高い
- 失敗を極度に恐れる
- 嫌なことがあると過剰に落ち込む
上記の項目に当てはまるものが多いほど、自己愛性人格障害である可能性が高いといえるでしょう。
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劣等感が強い人は過剰な評価を求めるようになる
劣等感やコンプレックスが強い人は、幼少期の育て方に問題がある人がほとんどです。
発達段階において、両親からの虐待や無関心な状況であれば、十分な愛情を得られずに育つことになります。すると、常に顔色をうかがったり、気を引こうとしなくてはいけないため、自分に自信を持つことができません。
逆に、過保護な状況下で育てられたとしても、自分よりも親の意思を尊重しなくてはいけないために、自信のない子供に育ってしまうわけです。
そのため、今の自分を受け入れることができなくなり、無価値な存在なのだと思い込むようになります。
このままだと自我を保つことができないので、周りからの称賛を得ることで「自分は特別な存在なのだ」と思い込もうとするわけです。
幼少期の記憶は脳に染みついてしまうので、大人になってからも消えることはありません。
ある説によると、人間の人格は3歳までに大部分が形成されるそうです。なので、その時期の環境に問題があることで、人格に大きな問題が生じる可能性が高くなってしまいます。
もしも子供が生まれたのであれば、本人の自主性を尊重してあげないと人格障害になってしまうかもしれません。
自己愛性人格障害のチェック診断
ある人が人格障害なのかどうかは、なかなか判断が難しかったりします。もしかすると、自分自身が人格障害の可能性もあるわけです。
なので、以下のチェックリストを見て、当てはまるかどうかを判断してみてください。
- 自分は周りの人とは違う特別な存在だという意識がある
- 将来の成功や権力などを夢見ている
- 周りからの称賛を過剰に求める
- 欲しいものがあると何があっても手に入れたい
- 他人が自分に従うのは当然だと思っている
- 周りへの同調よりも自分の意思を優先する
- 自分よりも優れた人に敵意を持ってしまう
- 基本的に他人の意見は否定する
- 誰かが傷つけても何も思わない
- プライドが高く傲慢な態度をとる
これらの項目の中で、5つ以上当てはまる人は要注意です。
ただ、一時的な感情による態度は含まれません。イライラしているときなどは、誰でも傲慢で粗暴な態度を取ったりしますよね。
平常時でも問題行動が多いのであれば、人格に問題がある可能性が高いといえるでしょう。
自己愛性人格障害の治療法について
人格障害は本人の価値観を変える必要があるので、簡単に治すことはできません。なので、ある程度の時間をかけて、考え方を変えていくようにしてください。
まずは、他人の意見を聞いて、尊重できるようにしましょう。自分の考えがすべてだとは思わずに、話を聞くようにするわけです。
すべてに同意できなかったとしても、部分的に納得できる箇所があると思います。そうやって、少しずつ譲歩することを覚えることが大切ですね。
また、自分を客観的に見てくれるパートナーを持つことも必要です。自己愛性人格障害の人は、事実を自分の都合の良いように捉えてしまう癖があります。
なので、間違ったモノの見方をしないために、客観的に修正してくれるパートナーが重要なわけです。家族や友人などとコミュニケーションを取って、自分の間違いを指摘してもらいましょう。
色々な人との関わりを増やすために、習い事などを始めるのも良いですね。集団行動をすることによって、他人に対する思いやりを考えるようにしてください。他人本位で考えるようにすれば、少しずつ人格も修正されていくはずです。
それでも改善が期待できない場合には、精神科を受診することをおススメします。精神療法や薬物療法を行うことによって、症状が治まるかもしれません。
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自己愛性人格障害の人との接し方
自分の周りに自己愛性人格障害の人がいるなら、接し方には十分に注意してください。相手のターゲットにされてしまうと、精神的に傷つけられたり、利用されたりしてしまうかもしれません。
なので、神経を逆なでしないように、一定の距離感で接することを心がけてください。
最低限の接触しかしない
仕事だけの会話に終始して、あまりプライベートな話題には触れないことが大切です。仮に、「昨日は美味しいレストランに行ったんだ」といった話をしたら、「私の方が、もっと良いレストランを知ってるよ」などと自慢話が返ってきてしまいます。
深く入り込むとややこしいですから、表面的な付き合いだけに留めるようにしましょう。適度な距離感を保ちながら、相手と接することが大切だといえます。事務的な会話だけにしておけば、絡まれることもありません。
競争心を煽らない
自己愛性パーソナリティ障害の人は、極度の負けず嫌いなのでライバル心を持ちやすいです。だから、仕事で自分の方が成績が良かったら、冷たい態度を取られたり、揚げ足を取られたりしてしまいます。
そのため、相手の競争心を煽らないことが大切です。「まぐれで売り上げが立ったよ」とか「来月はダメだろうな」など、ライバル心を持たれないようにフォローを入れておくことが必要ですね。
自分が優位に立つと目を付けられるので、控えめな態度で接するようにしてください。
相手に利用されない
自己愛性パーソナリティ障害の特徴として、自分の目的のために周りの人を利用する傾向にあります。なので、自己中心的に色々な依頼をされることがありますね。仕事を手伝わされたり、アイデアを横取りされたりといったことです。
なので、相手からお願いをされても、キッパリと断ることが大切です。一度でも引き受けてしまうと、何度も図々しく要求をしてきます。ですから、理由を付けて断るようにしてください。
思い通りにならないと怒って暴言を吐かれる可能性がありますが、それでも毅然とした態度で断らないといけません。
相手を褒める
自己愛性パーソナリティ障害の人は、いつも周りから特別扱いされたいと思っています。なので、相手から自慢話が出てきたのであれば、「それはスゴイね!」と褒めてあげてください。褒め言葉を伝えれば、相手の承認欲求が満たされて満足してくれるはずです。
相手を満足させてあげることで、敵視されることは少なくなるでしょう。ですから、どうしても接する必要がある場合には、徹底的に褒めて満足度を高めてあげてください。そうすれば、攻撃的な態度を取られることもありません。
反論しない
気に入らないことがあると、相手は感情的になって攻撃してきます。そういった時には、無理に反論してはいけません。お互いが感情的になってしまうと、収拾がつかなくなってしまいます。ですから、冷静な態度で接するようにしましょう。
相手の依頼を断るときにも、ちゃんと合理的な理由を付けた方が良いですね。筋が通った理由を伝えれば、相手も納得せざるを得ません。なので、感情を動かさずに、毅然とした態度で接するようにしてください。
自己愛性人格障害に関する本
パーソナリティ障害
色々な人格障害について、問題点と解決策を紹介している本です。境界性、自己愛性、演技性、反社会性、回避性など、人格障害のパターンや違いについても知ることができます。
また、人格障害でなくても、性格が歪んでいる人や気難しい人との接し方なども紹介されていました。これを読むことによって、どんな人とのコミュニケーションも円滑にできるようになるでしょう。
もちろん、自己愛性人格障害の克服方法なども分かります。
他人を攻撃せずにはいられない人
自己愛性人格障害の人間が、どのように他人を傷つけて陥れていくのかが紹介されている本です。攻撃的になる理由を知ることで、その対処法などを知ることができるでしょう。
家族や職場などで攻撃的な人がいる場合に、役に立つ内容だといえます。人格障害の人間と、どのように接すればいいか分からない人は読むべき本ですね。
以上、自己愛性パーソナリティ障害の人との接し方について紹介しました。
トラブルメーカーで組織の輪を乱しがちな人なので、扱いには苦労すると思います。でも、正しい接し方を知っていることで、自分への被害を少なくすることができるでしょう。
photo credit: ugh!|Mellon Collie|Expo Floor