なお海外旅行で現地に着いたとき、筆者が真っ先にする行動は「現地のSIMを買う」です。SIMフリースマホに、現地のSIMを組み合わせることで、国内キャリアのローミングよりも格安でデータ通信ができるからです。ただしこのセオリーが使えず、あらかじめ日本でSIMを用意してから行く国があります。それが今回訪れた中国です。この国でも他の国と同じように空港で現地SIMを売っていますが、このSIMではイロイロと不都合な点が多々あるのです。
中国ではLINEもTwitterも使えない
中国に旅行する際にやっかいなのが、政府によるインターネット規制、俗に「金盾」とも呼ばれます。これがかなり厳しく、FacebookやTwitter、LINEといったSNSサービスは利用不可。さらに、GメールやGoogleマップ、Googleカレンダーといった、Google関連のサービスもまるっと利用できません。
筆者の今回の渡航目的は仕事なのですが、自分はドメイン管理をGoogle Appsで行なってるので、メールやカレンダーなど仕事に必要なシステムはGoogle任せです。そのため、Googleのサービスが利用できないと、全く仕事になりません。
この中国国内におけるインターネット規制は、あらゆるケースが対象となります。たとえば、ホテルでのネット接続や街中のカフェのWi-Fiサービスなど。さらに世界中の報道関係者が集まるモバイル関連見本市MWC Shanghaiのプレスルームのネットサービスですら対象となっています。
香港SIMのローミングでお得に規制を回避
この規制を回避する方法はいくつかあります。そのひとつが、モバイル通信では海外ローミングを利用する方法です。日本のキャリアのSIMを挿したまま、データローミングで通信します。こうすれば、規制を受けずに各種サービスが利用できます。ただしこの場合、1日最大2980円とコストが割高になってしまうのが大きなネックとなります。
そこでオススメなのが、香港のキャリアのSIMを国際ローミングで使う方法です。日本のAmazonから香港キャリアのSIMが購入できるので、香港に行かなくても入手できます。
今回利用したのは中国移動香港の「4G/3G 中国・香港10日間1.5GBデータプリペイドSIM」と中国聯通の「大中華 30日間 1GB 中国全省 香港 澳門 台湾 最高42Mbps 3G接続 データ通信・上網 / SIMカード」のふたつ。香港キャリアといっても、それぞれ中国キャリアの中国移動と中国聯通が親会社のキャリアで、香港だけでなく中国国内でも格安で通信ができるプリペイドSIMをリリースしているわけです。
中国移動香港は4G接続で1.5GBが利用でき、価格は2180円。中国聯通香港は3G接続で2780円。中国聯通香港は有効期限が7日間のタイプもありそちらは2000円とさらに割安。日本のキャリアの海外ローミングは基本的には定額制で容量の制限はありませんが、それでも数日の滞在でスマホだけの接続ならこの通信容量で十分。コストも抑えられます。
中国では4Gは諦めたほうが確実?
ちなみに中国国内では、中国移動香港は中国移動。中国聯通香港は中国聯通のネットワークに接続します。一見すると4Gにつながる中国移動香港のほうが、使い勝手が良いような気がしますが、中国移動香港の4GはTDD-LTEでの接続となります。そのため、iPhoneのような対応バンドの多いSIMフリー端末でないと4Gで接続できません。さらに3GはTD-SCDMAで一般的なW-CDMAでもありまえん。日本で販売しているAndroidのSIMフリースマホは、TDD-LTEとTD-SCDMAにフル対応している端末がまだ少ないので、中国移動香港のSIMを使う場合は注意が必要です。
その点、中国聯通香港のプリペイドSIMは3GがW-CDMAで日本と同じ周波数も採用しています。日本で購入したAndroidのSIMフリースマホを使う場合は、4Gはあきらめて、中国聯通香港のプリペイドSIMを使ったほうが確実です。
使用方法はかなりカンタン!
設定方法も難しくはなく、中国移動香港は端末にセットしたあと現地で電源を入れてしばらく待つと、SMSでメッセージが届きます。これには「*102*任意の6桁#」を返信しろと書いてあるので、そのとおしに返信すればオーケー。しばらくすると、通信可能容量などが記載されたメッセージが届いて通信できるようになります。
中国聯通香港のほうはさらに簡単で、端末にセットして電源を入れるだけ。とくに設定などもなく、使えるようになります。
iOS端末の場合はAPNは自動で設定されるケースが多いですが、もし通信できない場合は、Android端末と同じように下記の項目を入力して設定します。
●中国移動香港
APN:CMHK
ユーザー名 :空白
パスワード:空白
●中国聯通香港
APN:3gnet
ユーザー名 :空白
パスワード:空白
あとは、データローミングをオンにすれば通信可能。Googleサービスほか、規制されているFacebookやTwitterも利用できます。
ちなみに、中国移動香港は公式サイトからオンラインチャージが可能です。1.5GBを使い切ると通信できなくなりますが、オンラインチャージをすれば00香港ドル(約000円)/日で定額利用ができます。また、1GB/00香港ドル(約000円)というプランも用意されていて、料金がチャージされていれば通話アプリから「0000」と入力すれば申し込めます。
オンラインチャージには中国移動香港のSIMの電話番号が必要になるので、忘れないようにメモしておきましょう。さらにオンラインチャージを行なうと、そのSIMの有効期限を延ばすことができます。中国への訪問機会が多いユーザーは、期限を延ばしてキープしておけば毎回買う必要がないので便利です。
スマホ以外のPCやWi-Fiタブレットなどを使いたい場合は、テザリング機能を利用します。中国移動香港と中国聯通香港、どちらのSIMもテザリング対応なので、PCやWi-Fiタブレットが接続できます。インターネットはローミングでのモバイル通信なので、テザリングで接続したPCなども規制は回避可能。ただし、テザリングを使いすぎるとすぐにデータ容量を使い切ってしまうので、通常はホテルや公衆無線LANを使いつつ、規制されているサービスにアクセスするときだけテザリングで接続するのがベターです。
SIMの準備万端!いよいよ上海ディズニーを攻略
MWC Shanghaiのレポートはすでにあちこちで掲載されているので、続いて上海ディズニーランドの攻略についてレポートです。日本ではオープン初日の様子が報道され、チケットも買えないほどの大盛況という印象ですが、自分が行った7月初旬はすでにそのような様子はなく、訪問一週間前に上海ディズニーランドの公式サイトからチケットが購入できました。ただし、現地での当日販売は基本的には行なっていないようなので、あらかじめチケットは購入しておく必要があります。
公式サイトは英語版も用意されているので、チケット購入自体はそんなにハードルは高くありません。行きたい日付を選んで名前や住所、パスポート番号を入力し、クレジットカードで決済するだけです。
決済が終わると申し込み番号が表示されるので、このページを印刷するかPDFなどに変換して保存しておきましょう。一応この番号は公式サイトでチケット購入時に作成するアカウントを使ってログインすると再確認はできます。
あとは当日上海ディズニーランドに申し込み番号を印刷したものと、登録したパスポートを持って行くだけです。現地までのアクセスは地下鉄0号線に0000駅を利用。上海浦東空港からクルマで20分くらいなので、人数が多い場合はタクシーで行くのもオススメです。
上海ディズニーランドの入り口に到着すると、まずはセキュリティーチェック。日本のディズニーランドと同じく、食べものなどの持ち込みは禁止。大きい荷物もアウトで手荷物預かり所を利用しましょう。それとディズニーランドは自撮り棒も禁止です。とはいえ園内で何人か持っている人は見かけましたが。
セキュリティチェックのあとは、チケットの発行です。と言っても入り口でチケット発行番号とパスポートを渡すだけ。係員の操作を見ていましたが、チケット発行番号は使わずに、パスポートの番号を入力して発券しているようでした。これはチケットの転売防止目的で、購入した本人しか使えないようにするためだと思われます。
上海ディズニーランドのオープン時間は8時から。自分は土曜日に行ったのですが、雨模様だったため開場時間に出遅れて、9時過ぎに到着。そこからセキュリティーチェックとチケット発行の列に並んで待ちましたが、大体40分くらいで入園できました。
入り口も園内も日本で報道されていたような、横入りなどのトラブルはほとんど見かけることなく、さらに「進入不可の庭園を踏み荒らす」や「所構わず用を足す」といった困った客も居ませんでした。もちろんそういう人がいないかと、それだけを探し回っていれば中にはいるのかもしれませんが、そのレベルであれば日本にもマナーの悪い人が皆無というわけではないので、極端な例を報道しすぎかなという印象です。
アトラクションも午前中は60分から90分待ちと思ったほどの混雑ではありません。日本と同じくファストパスシステムもあるので、午前中に目当てのアトラクションに並びつつ、ファストパスを活用という日本のディズニーランド攻略とほぼ同じテクが使えます。
ただし午後になると様子は一変。各アトラクションの待ち時間は2時間から3時間となり、ファストパスもお昼頃には配布終了となっていました。上海ディズニーランドはオープンしたとは言え、まだすべての敷地を使い切っているわけではなく、アトラクションの数も日本より少ないので、午後になるとどうしても混雑してしまうようです。
上海ディズニーランドに行くなら午前中が勝負ですね。
ちなみに自分はカリブの海賊が気に入りました。現時点では上海ディズニーランドオリジナルで、ジョニー・デップ主演の映画そのものがアトラクションとなった感じで大迫力です。これを映画ファンならこれ目当てで行っても満足できるレベルだと思います。
園内にWi-Fiサービスは無し、SNSに投稿するなら香港SIMが必須か
残念なのは、公式アプリが日本のApple ID、Google アカウントではダウンロードできないこと。公式アプリがあれば園内マップや待ち時間の目安がスマホで確認できるようですが、今回は利用できませんでした。また紙のパンフレットも日本語の園内マップはないようなので、英語版をチェックします。園内にはWi-Fiサービスもないので、スマホのモバイル通信が頼みとなります。ですがもしWi-Fiサービスがあったとしても、規制でSNSにはつながらないとと思います。上海ディズニーランドからTwitterやLINEへ投稿するなら、SIMフリースマホと香港ローミングSIMは必須というわけです。