稀勢の里、初V&綱取り大チャンス!

2016年7月19日6時0分  スポーツ報知
  • 照ノ富士を下し懸賞金を手にする稀勢の里

 ◆大相撲名古屋場所9日目 ○稀勢の里(寄り切り)照ノ富士●(18日・愛知県体育館)

 東大関・稀勢の里の横綱昇進に思わぬ追い風が吹いた。西大関・照ノ富士を1分24秒8の大相撲の末に破って1敗を守ると、東横綱・白鵬が西前頭4枚目・勢に、同・日馬富士が西前頭5枚目・嘉風に相次いで敗れる波乱。同部屋の高安とともに1敗でトップを並走する展開となった。今場所後の横綱昇進に向けて初優勝が求められる稀勢の里に“神風”が吹いた。

 神風が2度吹いた。稀勢の里は結びの一番で再び舞った座布団を土俵下で見届けた。1敗で並ぶ2横綱に土がつく瞬間を目撃。飛び交う座布団を背に、口をへの字に曲げて花道を引き揚げた。支度部屋に戻って横綱から順に入る風呂を待つ間、目を何度もパチクリさせ、右手で左の胸をさすった。2横綱がそろって賜杯争いから後退。「集中してやりたいですね。(高安と1敗でも)変わらずです」。冷静を装ったが、興奮を静めているようだった。

 最初の関門を超えた。今場所初の大関戦は1分24秒8の熱戦。緊張からか今場所初めて立ち合いで突っかけた。2度目は無難に立って左差し。右上手を取り半身で耐える照ノ富士を寄り切った。「思い切っていこうと思った。攻めようと。何とか(勝った)って感じですね」。15年夏場所で一足先に賜杯を手にしている大関を焦らず料理した。

 こんな好機は二度とない。同じ二所ノ関一門の嘉風が日馬を、故障を抱える勢が白鵬を破って援護。対戦成績で28勝32敗と負け越す琴奨菊に加え、横綱の鶴竜も休場。1敗で並ぶ高安は同部屋だ。両横綱との対戦を残しているせいか、八角理事長(元横綱・北勝海)は「優勝が頭にあるから、まだこれからという気持ちだろう。通過点だ」と慎重だが、二所ノ関審判部長(元大関・若嶋津)は「稀勢の里はチャンスだ」と追い風を指摘する。

 4度目の綱取り挑戦。13年名古屋場所は5日目までに2敗し、重圧に負けた。14年初場所は右足親指を負傷で、千秋楽に相撲人生初の休場に追い込まれた。先場所は白鵬に阻まれた。過去3度の悔しさは今場所に生きるのか。「うん。(生かして)やっていきます」とうなずいた。悲願の初優勝、そして98年夏場所後の3代目・若乃花以来となる日本出身横綱誕生へ。名古屋で吹いた追い風は手放せない。(秦 雄太郎)

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