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犯罪に立ち向かうテクノロジー

何の責任もない仮想空間

 土浦市のJR荒川沖駅構内で通り魔事件を起こした金川真大容疑者同様、今回の加藤智大容疑者もゲームに影響されている面がある。

 ゲームとこうした事件には関連性がないと主張する人たちもいるが、本当に関係がないのかあるのか、そろそろ日本でも本格的にゲームが精神におよぼす影響について調査・研究するべきではないか。

 ゲームメーカーがそうした資金を提供して、行政も加わった第三者機関で(良い面も悪い面もきちんと)研究するべきだ。ゲームメーカーにはそうする義務がある。

 日本では米国ほどシューティングゲームが盛んではないようだが、相手が仮にモンスターといえども、小学生の時代から相手を殺すゲームを続けていたら、人殺し感覚を学習してしまうと思う。

 トラックで人混みに突っ込み、ためらいなく人を刺し殺すのは「ゲーム感覚」としか言いようがない。ゲームの中では何の責任もない。殺しても何をしてもリセットすれば、元に戻る。

 バーチャル空間であまりに長時間、長期間、それを繰り返すと、仮想と現実の区別がなくなり、現実空間でも同じことをしてしまうのではないだろうか。

 加藤容疑者を見ていると、驚くほど無責任な振る舞いには、そのことが原因の一つであるとしか思えない。

 ゲームは何回でもリセットできるが、人生はリセットできないのだ。人を殺してしまってから、ことの重大さに気づいても取り返しはつかない。

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