多額の借金を作った人は、海外に逃亡することを考えるかもしれません。
確かに、海外に脱出すれば取立てから逃れられる可能性があります。
しかし、金融業者じゃなくても国家機関が税の徴収のために追いかけてくる可能性がありますし、どれだけ逃げても法的に借金を踏み倒すことはできません。
ここではそうした問題について、3つの論点を取り上げます。
逃げられる可能性もある
日本で借りたお金の取り立てなら、国外に脱出することで逃げられる可能性はあります。
お金を返すフリをしていきなり海外に逃亡し、そのまま跡が残らないように行方をくらましてしまえば、追っ手は手がかりなしで諦めてしまうかもしれません。
海外は日本のように勝手が違いますので、現地で聞き込みをするのも大変、情報収集するのも大変、公的機関を頼るのも大変です。
言葉、文化、地理的条件など、あらゆる要素が取り立ての壁になってくれるので、あるいは海外に逃亡することで逃げられるかもしれません。
少なくとも、国内にいるよりは逃げやすいと思っていいでしょう。
ただし、債務者にとっても、海外と日本では逃げ回る勝手が違うということも覚えておかなければなりません。
その勝手の違いによってボロを出してしまい、簡単に見つかってしまう可能性もあります。
IRSが追いかけてくる可能性
アメリカで借金をして国外に逃亡する場合は、逃げられない可能性があります。
なぜなら、アメリカにはIRSという国家機関があり、このIRSが債務者に対して税金の徴収を行う可能性があるからです。
どういうことかというと、借金を踏み倒されたアメリカの金融業者は、債務者を追いかけると同時にIRSに債務者の所得を報告するのです。
報告されたIRSは、報告された所得に対しての税金を徴収するため、債務者に督促します。
これは借金返済を求めるものではありませんが、IRSは国内でも海外でも関係なく、税金を徴収するために債務者を追いかけます。
そしてもしIRSに見つかれば、その線から金融業者にも居所が知られてしまうこととなり、結果的に取立てから逃れられなくなります。
このように、アメリカで借金を踏み倒して海外に逃げる場合は、IRSによって捕まる可能性があります。
借金の時効について
多額の借金は、海外に逃げることでチャラにできる可能性がありますが、それはあくまでも物理的な意味だけです。
物理的に自分が海外に逃亡すれば、貸金業者は取り立てようがなくなるので、結果的に借金をチャラにすることができますが、しかし法的にはそれで借金をチャラにすることはできません。
なぜなら、借金には時効というものがあり、時効が過ぎなければ返済義務はなくならないからです。
刑事事件などでよく時効○○年と言われますが、それと同じものが借金の世界にもあるのです。
借金における時効は5年とされています。
したがって最後の返済から5年が立てば、法的には時効が過ぎて、借金の返済義務はなくなります。
それなら海外で5年間頑張って逃走すればいいじゃないか・・と考えるかもしれませんが、それほど甘くないのです。
というのは、借金の時効は、債務者が海外に出た瞬間に中断されるのです。
国内で逃げ回っていれば時効はどんどん過ぎていきますが、海外の場合はその時間の流れがストップしてしまうのです。
したがって、海外に逃げてどれだけ隠れていても、法的には借金をチャラにすることはできません。
5年経って国内に帰ってきても、時効は過ぎていないので、居場所が分かり次第、再び取り立てにあうことになります。