大河ドラマ『真田丸』 特別インタビュー 板部岡江雪斎役 山西惇さん
江雪斎は北条家3代に仕えた、老舗の番頭のような存在。
氏政に育てられたところもあるし、自分が育て上げたという自負もあると思うんです。
2016.07.06
―今回の役の板部岡江雪斎は、歴史ファンの方は、「よくぞ出してくれた」っていう声が多いと聞いたんですけれども。恐らく、ドラマに出てくるのは初めてではないかということを聞いたんですけれども。ご本人は、この人物についてはどのようにイメージされていましたか?
正直、存じ上げてなかったですね。
この役の話が来て、本などで調べてみました。北条にいたけど滅亡したあと、豊臣秀吉に気に入られて、御伽衆になって、その後、また今度、徳川のほうについて、関ヶ原の戦いのときは徳川方に付いて、いろいろと裏で回ったっていうようなことを知りました。こんな、面白い人がいたんだな、と新発見でしたね。
戦国というと、武将が中心になって活躍して、戦国武将のイメージばっかり目立っていたので、そのなかでこの、外交僧っていう存在。それすらあまり知らなかったぐらいなので。なんか、面白いなと思って。武器で戦うのではなく知識・頭脳と言葉で戦う。
それを三谷さんがよく探して、脚本に書いてくださったなと思う。
―台本を読まれて、具体的に、イメージされた人物の印象はいかがですか?
三谷さんはト書きに結構、はっきりイメージを書いてくるときがあって。「説得力のある声で朗々と」って書いてあったときもある。
僕の知っているお坊さんのイメージっていうのは、みんな割と声がよくて、響く声だった、みたいな感じがあったので、その声の部分は特に気を付けて演じようかと思った、それが最初です。
―主君である北条氏政との関係はどういうかんじでしょうか?
自分的には、氏政さんの先代のときから仕えてたじゃないかというふうに考えていました。だから、老舗の大番頭みたいなイメージがあります。どんな店か業種はちょっと分からないんですけども。
―先代からのつながりでしょうか?
先代から仕えている大番頭で、坊ちゃんのことも小さいときからずっと知っていて仕えてるという。その信頼関係みたいなものを、氏政さんからももらっているし、自分としてもこの人をここまで育て上げたみたいな自負があるのかなと。
最終的には、裏切るというか、北条家から出てしまいますから、具体的には監督さんとは話しながら、進めているんですけど。
北条が滅亡した回で、切腹される氏政さんに深く頭を下げて、それから逃げることになっています。
―江雪斎さんというと、やっぱり第22回の沼田裁定の場面で、グッとフィーチャーされると思ったんですけれども。あの三者の緊迫するあのシーンは、収録された時はいかがでしたか?
一言でいえば、大変だったんですけども、とても楽しかったっていうこともありますね。堺さん(信繁)と、近藤さん(本多正信)と、小日向さん(秀吉)も含めて、あのメンバーのなかで、あれだけ丁々発止とお芝居をやらしてもらえるなんてことは、なかなかない機会なので。はい。台本が上がってくるまでは、本当にドキドキしたっていうか。事前に「いっぱいしゃべりますよ」っていう情報だけ頂いてていたので、よけい緊張が。
それまで、本当に氏政に付いてちょっと出てるくらいだったんですけど、21、22話ぐらいでいきなり大活躍していただくね、って。それだけ事前に聞いて、そこから本が出てくるまでの間が一番緊張しました。
噂によると、なんか、もう、1回全部が沼田裁定だ、みたいなところもあって。45分の間中、ずっと裁定をやってるみたいな噂もあったので。どんだけしゃべんねやろ、と不安になるし。
でも、やっぱり、戦国時代を描いた大河ドラマでここまでただ、ただしゃべってるシーンっていうのは、あんまりないんじゃないかなと考えると、それは、それで面白いな、と思って。