突然ですが、私は13年前、まったく「思いつけない」人間でした。
2003年、広告代理店の電通に入社。希望通りクリエーティブ局に配属されました。新人の頃は、仕事をなめてました。幼い頃から「自分は一番おもしろい人間だ」と思っていた私は、社会人になっても「自分よりおもしろいことを思いつく人間はいない」と本気で思っていました。電通でも、すぐに認められ、すぐにおもしろい広告をバンバン作れ、すぐにスタークリエイターになれると思っていました。しかし!
2003年、クリエイティブ局に配属され、初めて実作業としてCMの企画をしました。いざ仕事が始まってみると、何かが違う。何も思いつかない。いや、厳密に言うと「仕事として成立するレベルのものを」何も思いつかない。徹夜で企画し、土日返上でも企画するが、まったく思いつかない。
「Why 社会人ピーポー?」
それまで自分が「思いつける側の人間」だと思っていた私は、愕然としました。とてつもなくショックだったということの他に、「なぜ思いつけないのか」理解に苦しみました。思いつけるはずの自分が、思いつけない。しかも、先輩が思いついた企画は、明らかに自分よりおもしろかった。
「ダメじゃん」
プリッツのような硬さの鼻をポキンとへし折られると同時に、負けず嫌いな私は、すぐさま緊急処置に取り掛かることしました。
「無能なままでは終われない」
できないクリエイターは2、3年で見限られる。そう風の噂で聞かされていた私は、ただ、何かに追われるように、盗んだバイクで走り出さず、電車で図書館に向かいました。
向かったのは汐留にある「アド・ミュージアム東京」。なぜ、そこに向かったのか、「思いつける人」のテクニックをできるだけ多く「盗もう」と思ったからです。ハンターハンターでいうところクロロのような人間です。他人の能力を自分の能力にして強くなってしまう「反則」のような人間。例えるなら、ペレの神の手ゴールのような人間です。例えに例えを重ねて、ワケがわからなくなってしまいました。
とにかく「世の中ウケするアイデア」を「自分ウケするアイデア」の延長線上に置くことができれば、きっと「ビジネスマンとして思いつける側の人間に回れる」そう思ったのです。
そうして、1年目の後半は、ひたすら自分の好きな表現、好きなアイデアをファイリングしていました。使ったのは「キングジムのキングファイル」でした(どうでもいいな)
いいと思ったコピーを集め、いいと思ったCMを集め、いいと思ったグラフィック、いいと思ったラジオCMを集め、分析しまくりました。すると徐々に、無数のアウトプットの中に、ある共通項が見えてきました。例えるならハンターハンターのメルエムがネテロ会長の無数の攻撃から針の穴を通すように正解を導き出したイメージです。
1. ポケモンGOは、つまらない。
2. まだ、LINEなんかやってんの?
2つの言葉は、当時、私がアド・ミュージアム東京に通い詰め、無数のアウトプットから導き出した「公式」から生み出したものです。10秒くらいで考えた言葉ですが、妙に気になりませんか? どちらも私の個人的な意見ではなく、公式を説明するための例なので石を投げたりしないで欲しいのですが、2つの言葉を生み出すために使ったのは
「世の中の逆張り」
という「公式」です。使い方は簡単。
「流行」or「大多数の意見」を挙げる→真逆の意見を述べる
以上です。この公式を使うだけで「強い言葉」だけでなく、強い概念、強いネーミング、強いビジュアル、強いストーリーを生むことができます。
通常、よほどの天才ではない限り、課題とアイデアは直結しません。しかし、間に公式を入れることにより、課題からアイデアへの橋渡しは驚くほど容易になります。
私が当時、「広告の企画」をするために導き出した公式は、30を超えました。そして、その公式を使うだけで、アイデアがおもしろいように生まれてきました。100のアイデアなんて3時間もあれば出せましたし、企画で徹夜をすることもなくなりました(30の公式それぞれに対して3つアイデアを出せば良いだけなので)。
量だけでなく、アイデアの質も向上しました。つい先日まで、企画を通すことすらままならなかった人間が、いくつも広告賞を頂き、4年で独立を果たすこともできました(独立に関してはこちらの記事にも書いた通り、少々早かったと反省していますが)。
つまり、私は「公式」を使うことにより、一瞬にして「思いつける側の人間」になることができたのです。
反対意見を紹介します。こういう話をしていると、よく「クリエイティブはそんな簡単なものじゃない」という人がいます。そんな時私は、イチローのある言葉を思い出します。
僕は天才ではありません。なぜかというと自分が、どうしてヒットを打てるかを説明できるからです。
イチローが天才か天才じゃないかの議論は置いておいて、重要なのは「最も実績のある日本人プロ野球選手が、自分のヒットをロジカルに説明できる」という点です。
思考も、まったく同じです。ものすごく優れたアイデアは、天から降ってきたわけでも、神様が授けてくれたものでもなく、たゆまぬ努力をベースに「ただロジカルに生み出されたもの」です。優れたアイデアを生み出す人に「自身の思考の過程を説明できない人」はいないと思います。
ただ、その思考のテクニックや公式は、優れたアイデアを生みだす人が、あえて公表しなかったのか、それを体系化できずにいたのか、今まで公にされなかった。
「思いつかない人のコンテンツ思考塾」を立ち上げたのは、そんなモヤモヤした気持ちからでした。今まで公になっていなかった「思考の実践的かつ具体的な公式」。つまり、イチローがヒットを打つ時にやる動作を素人でも真似できるよう、説明する」ことがしたかったのです。
もちろん、私一人では知識の限界と視点の偏りがあります。そこで元外資系企業のマーケッターであり、ロジカルにWebコンテンツをバズらせているトップブロガー、トイアンナさんにマーケット目線、メディア目線を。世の中の空気から逆算的にアイデアを開発し共感を生むプロ、PRコンサルタントでプランナーのアウル阿部麻衣さんにPR目線を与えて頂くサロンにすることができました。
昨今のデジタル技術の進化により、「思いつく」ことから「やってみる」への距離は驚くほど近くなりました。「思いつく」けど「できない」なんてことは、ビジネスでも、企画でも、恋愛でも、就活でも、もはや「ない」と思います。
誰もが、思いつき、実践できる時代に「思いつき」に苦手意識を持っているなんて、トマトソースパスタは大好きなのに、トマトは大嫌いと言っているようなものです。「思いつき」を自分のものとして、ぜひポテンシャルを最大化してください。
「夏を制するものは、受験を制す!」
じゃなくて
「思いつきを制するものは、ビジネスを制す!」
オンラインサロン「思いつかない人のコンテンツ思考塾」、まずは50名限定でオープンです!
ひーうぃごっ!!
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