新日鉄住金が、建物の寿命を延ばしたり、老朽化したインフラの経年劣化を食い止めたりする素材として、チタンの開発に力を入れている。チタンは鉄より軽いのに同等以上の強度があるうえ、腐食しにくい。価格の高さが難点だが、初期費用が高くついても腐食しなければ寿命が延び、トータルコストを抑えられる。結果として環境負荷を減らすことにもつながるため、同社は普及の可能性があると期待している。
大分県大分市にある多目的施設「大分銀行ドーム」。2002年のサッカーW杯で九州唯一の会場に使われたが、完成から15年がたった今も、屋根が銀色に輝き、まったく古びた感じはしない。
同ドームの屋根は、中央に楕円形をした可動式の開口部分を備える。可動部分は太陽光を通しやすいガラス繊維の膜、それを取り巻く固定部分はチタンの板を使用している。このチタン製の板が、新日鉄住金の「耐変色チタン」だ。
変色しにくいこのチタン板を同社が開発したのは01年。最初に採用されたのが同ドームだった。その使用量は面積で3万2000平方メートル、重量で53トンに達する。
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