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一問一答 ソフトバンク・孫社長「人生で最もエキサイティング」

2016/7/19 0:13
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 ソフトバンクグループは18日、英半導体設計大手アーム・ホールディングスを買収すると発表した。同日、ロンドンで記者会見した孫正義社長は「(あらゆるモノがインターネットにつながる)IoTはチャンスであり、アームの将来の成長余力を考えると安く買えた」と話し、「アームの買収は私の人生の中で最もエキサイティングな出来事だ」と語った。

 ――アームの強みはどういった分野で発揮されるのか。

 「アームの技術は年間148億個の半導体に使われている。米インテルは設計と製造を手がけるが、アームは設計に特化してメーカーに設計図を渡す。増益を続けており今後も成長率は二次曲線を描くだろう」

 「アームが設計した半導体は様々なスマホに入っている。スマホの通信用半導体のうち90%以上を占める。米アップルや韓国サムスン電子のスマホもアームなしには端末をつくれない。今後、自動車の分野などチップがたくさん入っていく」

 ――アームを買収する狙いは。

 「今までの投資もパラダイムシフトの入り口のタイミングで決断した。次のパラダイムシフトはIoTだ。IoTはチャンスであり、全ての人類や製品にとって重要なものとなる。スマートフォン(スマホ)や自動車、家電だけでなくあらゆるものがネットにつながるようになる」

 ――ソフトバンクとのシナジー(相乗効果)はあるのか。

 「具体的なビジネスモデルではなく、将来、色々な可能性がありうるというレベルだ。ただ、スマートフォン(スマホ)、自動車、家電もIoTからすれば全体の2~3%にしかすぎない。(ネットワークに接続するモノは)何十倍も何百倍も広がっていく。30年後には電灯や街灯をはじめ、1人あたりで換算すると千個くらいのモノが(ネットを介して)つながるだろう」

 「ソフトバンクは通信のインフラ会社だ。アームはインフラを使い、日本や米国などでネットワークに接続する製品とつながる。将来的にサービスの部分でなんらかのシナジーがあるだろう」

 ――アームの経営にはどのように携わっていくのか。

 「毎日、アームの経営に口をはさむわけでははない。これから現経営陣と一緒に中長期の戦略やビジョンをしっかりと議論し、研究開発やエンジニアへの投資の後押しをする。機関投資家に利益をアピールすることより、長期的な成長をみすえた投資をする。アームの買収は私の人生の中で最もエキサイティングな出来事だ」

 ――買収金額が高すぎるのではないか。

 「ソフトバンクの歴史上で最も大きい額になった。43%のプレミアムを上乗せするのは高いという見方もあるが、アームの将来の成長余力を考えると10年後には『この価格なら安く買えた』と思ってもらえるはずだ」

 ――英国がEU(欧州連合)を離脱する見通しになり、ポンド安が進んだ。アームの買収判断には影響したのか。

 「0.1%も頭になかった。(EU離脱の国民投票の結果)ポンド安が進んだ一方、この期間にアームの株価は15%値上がりした。主要企業のなかでも珍しい動きだ。為替の動きと株価上昇はドル建てで見るとほぼトントンになる」

 「英国の政治的な状況を心配する人もいるが、私は逆だ。いまこそ投資すべきだと考えた。強い心、信念を持って取引に臨んだ」

 ――「後継者」と目していたニケシュ・アローラ前副社長が6月末に電撃的に退任した。今回の買収と関係があるのか。

 「ニケシュとはビジョンについて非常に多くを共有してきた。アームの買収にも賛同してくれたと思う」

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