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途上国で銀行を起業、2人の日本人が20億人市場に参入できたワケ

2016/07/19
岡部 一詩=日経コンピュータ (筆者執筆記事一覧

 アフリカのモザンビークと東南アジアのカンボジア――。遠く離れた地で、偶然にも同じ夢を追いかける二人の日本人起業家がいる。乗り込もうとしている市場は、世界20億人が潜在顧客となる巨大なフロンティアだ。

 億単位のユーザーを視界に捉えたビジネスに挑む日本のベンチャー企業は、決して多くない。ここ2カ月の間に筆者は立て続けに二人を取材する機会に恵まれ、大いに興奮した。彼らが思い描く事業が純粋に面白く、しかもスケールが大きい。それだけではない。二人は、ITの進化とポテンシャルを改めて感じさせてくれる存在だった。

お金を保管する。それだけで価値がある

写真1●日本植物燃料の合田真代表取締役
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 バイオ燃料を扱う日本植物燃料(NBF)の合田真代表取締役は、マダガスカル島の対岸に位置するモザンビークで銀行設立の準備に奔走している(写真1)。人口の7~8割が居住する農村部の住民向けに銀行口座や電子マネー口座を提供し、モバイルをベースとした決済、送金サービスなどを手掛ける考えだ。

 合田氏の事業戦略は、モザンビークにとどまらない。同国での銀行事業にメドが立ち次第、速やかに近隣のアフリカ諸国や東南アジアに打って出る。都市部への事業拡充よりも、海外の農村部にサービスを水平展開することを急ぐつもりだ。19カ国が加盟する東南部アフリカ市場共同体(COMESA)の本部とも、やり取りを始めている。

 バイオ燃料の会社がなぜ、アフリカで銀行の設立を目指すのか。スタートは実にシンプル。「お金を安全に保管する。それだけで価値がある」(合田氏)ことに気づいたからだという。

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