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木村岳史の極言暴論! 日経コンピュータ

「IT部門は無用」を公言する経営者やベンダー、そりゃ無責任!

2016/07/19
木村 岳史=日経コンピュータ (筆者執筆記事一覧
『SEは死滅する』の第2弾登場!ITproの名物コラムニストが再びIT業界の不条理を斬る。日経コンピュータ元編集長の木村岳史の本『 SEは死滅する 技術者に未来はあるか編』。定価1500円+税。2月23日発行!

 最近、ユーザー企業の経営企画や事業部門の幹部、そしてITベンダーの幹部やコンサルタントは皆、軽やかに「IT部門スルー」を口にするようになった。「IoT(インターネット・オブ・シングス)などデジタルビジネスのためのITを担うのはIT部門には無理。というか、そもそもIT部門の役割ではない」などと誰もが平気で話す。「IT部門は企業の情報化の要」と持ち上げていた以前と比べ、随分な様変わりである。

 「そりゃ、木村さん、あんたが極言暴論で『劣化したIT部門はもうダメ』などと散々ディスったからじゃないの」と読者から言われそうだが、私としては客観的事実と論理的結論を述べたまでで、IT部門を貶めたつもりは毛頭ない。それに私の論説がそこまで影響力があるとも思えない。むしろユーザー企業の事業部門などが「ITのことはIT部門」という思考停止から脱却し、デジタル化を我が事と考えるようになった結果だろう。

 ご存知の通り、2000年前後にユーザー企業で基幹系システムの構築が一段落し、IT部門のリストラが急速に進んだ。今や多くのIT部門が基幹系システムの保守運用で手一杯、と言うか、それさえも外部のITベンダーに依存する必要最小限の素人IT担当者の集団に落ちぶれてしまった。もはや自社の業務も最新ITも分からない。デジタルビジネスのためのシステムをIT部門が担当するなど、土台不可能なのだ。

 そんなわけでITのことであってもIT部門をスルーし、自ら技術者を抱えて“内製”するかITベンダーに外注するかは別にして、事業部門自身がシステム構築や運用を主導する。経営層もそれを当然と考えるようになってきたし、当のIT部門ですら「厄介な事に巻き込まれなくて済む」とIT部門スルーを歓迎したりする。で、ITベンダーもIT部門に気を使うことなく、大手を振って事業部門に提案に赴く。

 いやぁ、素晴らしい!…とは言わない。むしろ逆だ。ユーザー企業の経営企画の幹部らが能天気に「デジタルビジネスは事業部門の仕事だから、そのためのITも事業部門自身が担えばよい」と話すのを聞いたりすると、「大丈夫か、この会社」と思ってしまう。ITベンダーにしても、今まで散々IT部門にゴマをすっていたのに、今や事業部門にIT部門スルーのススメを説き始める始末。何と言う節操の無さだろうか。

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