【トロント=共同】世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが18日、カナダのトロントで記者会見し、2014年ソチ冬季五輪でロシアが同国スポーツ省の監督の下、ロシア選手の禁止薬物使用が発覚しないように検体をすり替えるなど、検査結果を操作したとする調査結果を公表した。
ロシア陸上界に続き、同国で開催された冬季五輪での組織的な不正が認定されたことで、8月5日に開幕が迫ったリオデジャネイロ五輪からロシア選手団全体の締め出しを求める声が高まる可能性もある。調査チームを率いたカナダの法律家、マクラーレン氏は「調査結果には極めて自信がある」としながら、具体的な処分の勧告は控えた。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は調査結果を受け「関与した個人や団体に最も厳しい処分を科すことも辞さない」との声明を発表した。IOCは19日に電話による緊急理事会を開き、リオ五輪に関する処分を検討する。
ソチ五輪を巡っては、ドーピング検査所の元所長ロトチェンコフ氏がロシア選手への禁止薬物投与や国ぐるみの検査の不正を米メディアに告白していた。ロシアは同五輪の参加国・地域でトップとなる金メダル13個、総メダル33個を獲得。「金」は3個だった10年バンクーバー五輪から大幅に増やした。
ロシアは組織的なドーピング問題で国際陸連に科された資格停止処分により、リオ五輪の陸上にチームとして参加できない。個人参加の道は残されているが、ロシアはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴している。