マスクの下も怪物級(いい意味で!)。
映画「エルム街の悪夢」にでてくる人をいたぶるのが大好きなドSモンスターのフレディ・クルーガーの出自も、映画「13日の金曜日」のジェイソン・ボーヒースの悲劇的な事故も有名ですが、そういったホラー映画界を引っ張るスター・モンスターを演じた俳優のことをどれくらい知っているでしょうか?
Looperがピックアップしたモンスター俳優たちをご覧ください。
ダグ・ブラッドレイ(映画「ヘルレイザー」/ピンヘッド役)
クライブ・バーカー監督作品の常連俳優として知られる英国の俳優ダグ・ブラッドレイですが、彼らは学生時代からの親友。バーカー監督がピーター・アトキンス( 「ヘルレイザー」シリーズの脚本家)と脚本を書きはじめた頃に、ブラッドレイは演技の勉強を始めています。
「ヘルレイザー」ではセノバイトのリーダーである魔導師ピンヘッドを演じ、その後ビデオリリースを含む8作で同役を演じています。彼はホラー映画を中心に活躍する俳優ですが、意外な(本当に意外!)ところではオスカー・ワイルドの戯曲を映像化した映画「理想の結婚」にも出演していたりします。
ガンナー・ハンセン(映画「悪魔のいけにえ」/レザーフェイス役)
チェーンソーを振り回しながら、しつこく被害者を追いかけ回す恐怖のテキサス殺人鬼を演じたのは、193cmという長身のガンナー・ハンセン。
アイスランドに生まれ、5歳でアメリカに移住。11歳までメイン州に住んだのち、テキサスに引っ越しテキサス州立大学に進みました。高校卒業後に彼が初めて経験した仕事はコンピューター・オペレーター。大学在学中にいくつかの演劇の仕事にも携わり、1973年にトービー・フーパー監督とスタッフが街に映画制作のために街に来ていると耳にしてオーディションを受けることに。レザーフェイスの役を見事射止めた彼は、撮影終了後に作家の道を志し、雑誌の編集者になりました。俳優業の傍、執筆だけでなく映画ドキュメンタリーの制作もしているのです。
なお、ガーナーはなにかとチェーンソーと縁がある俳優で、日本未公開ビデオリリースの映画「モスキート」では、チェーンソーで巨大な蚊と戦っています。
ボラジ・バデジョ(映画「エイリアン」/ゼノモーフ役)
リドリー・スコット監督の傑作SFホラー映画「エイリアン」でゼノモーフを演じたのは、ナイジェリア出身のデザイン学校に通っていたボラジ・バデジョ。彼はもともと俳優ではなく、「エイリアン」の撮影スタッフがバーで身長208cmのバデジョを見かけスカウトしたことからゼノモーフを演じるきっかけに。
彼の細く、ひょろ長い手足はゼノモーフのそれにぴったりで、またパントマイムや太極拳の心得があったことも幸いし、着ぐるみ感のないエイリアンが実現したのです。彼は1979年の「エイリアン」にしか出演していませんが、その演技はのちのゼノモーフにも多大なる影響を与えました。
なお、ナイジェリアに戻ったバデジョは、1992年に鎌状赤血球症で39歳という若さで亡くなってしまいます。
ケヴィン・ピーター・ホール(映画「プレデター」/プレデター役)
両親、兄弟そろって190cm以上の長身家庭に生まれたケヴィン・ピーター・ホール。最終的に身長220cmに育ったホールですが、学生時代はバスケットボールにはげみ、奨学金をえていました。ワシントン州のジョージ・ワシントン大学に進学してからはバスケットではなく演劇に力を入れていましたが、卒業後は再びバスケットの道に進むためにベネズエラへ移ります。
その後、バスケットに興味をなくしたホールは、大学で知り合った、のちに音楽プロダクションを設立するジェイ・ フェニチェルを頼りにロサンゼルスに引っ越しました。そこでフェニチェルとともに演技とミュージカルを売りにしたナイトクラブを経営しています。
本格的に映画の世界に足を踏み入れたのは1979年の映画「プロフェシー」でのこと。その後、テレビシリーズを中心に活躍し、1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画「プレデター」で長身で醜い地球外生命体(とヘリコプターのパイロット)を演じて一気に注目されるように。
今後の活躍が大きく期待されていた俳優でしたが、その後、ロサンゼルスで自動車事故にあい、手術で行なわれた輸血が原因でHIVに感染。それを発表し、妻の献身的な看病を受けていましたが映画「プレデター2」の公開後、しばらくして35歳という若さで肺炎のために死亡したのです。
ニック・キャッスル(映画「ハロウィン」/マイケル・マイヤーズ役)
ジョン・カーペンター監督の低予算映画「ハロウィン」で執拗に妹の命を狙うマイケル・マイヤーズを演じたニック・キャッスル。才能豊かなキャッスルは俳優業に止まらず映画監督や脚本家という顔も持っており、カート・ラッセル主演の「ニューヨーク1997」では脚本を、スティーブン・スピルバーグ監督のファンタジー映画「フック」では原案を担っています。
これはトリビアですが、映画「ザ・フォッグ」のトム・アトキンス演じるニック・キャッスルというキャラクターは、彼の名前からきているのです。
ティム・カリー(映画「IT」/ペニーワイズ役)
有名モンスターを演じた俳優はホラー業界を中心に活躍する俳優が多い中、コメディからドラマまで、さまざまなジャンルで素晴らしい演技を見せているのがペニーワイズで有名なティム・カリー。
1946年、メソヂスト派の牧師の父、学校秘書の母の元に生まれたティム・カリーは、バーミンガム大学とケンブリッジ大学で演劇と英文学を学び、そのと舞台の道へ進みます。
スティーブン・キング原作の映画「IT」のペニーワイズ役意外で知られるのは映画「ロッキー・ホラー・ショー」のフランクン・フルター博士や、映画「ホームアローン2」の意地悪なホテル支配人でしょう。
作曲家や歌手といった顔もあり、自分のバンドをつれてヨーロッパやアメリカでツアーも行なっています。
ケイン・ウォーレン・ホッダー(映画「13日の金曜日」の7〜10作目/ジェイソン・ボーヒース役)
映画「13日の金曜日」のジェイソン・ボーヒースは、ホッケーマスクで顔を隠した姿が広く知られていますが、1980年に公開された第1作の殺人鬼はジェイソンではないうえに、トレードマークとされているホッケーマスクをかぶり始めたのは第3作目から。ジェイソン・ボーヒースを演じた俳優は10人にのぼりますが、この中でもっとも有名なのは「PART7 新しい恐怖」、「PART8 ジェイソンN.Y.へ」、「ジェイソンの命日」、「ジェイソンX」のケイン・ウォーレン・ホッダーでしょう。
1955年に5kgオーバーの巨大ベイビーとして生まれたホッダーは、順調に189cmという長身に。しかし1970年代に、ある映画のスタントの事故が原因で全身の50%に第3度熱傷のやけどをおう大怪我を経験しています。これがきっかけになっていると思われますが、彼はひどいやけどをおった患者が治療を受けるセンターに入院している子供達を訪れては励ますといった、心やさしい一面を持っているのです。
また強面な外見とは裏腹に非常にフレンドリーで、ジョークも大好き。彼は「Part7」の撮影で、深夜2時に現場から遠く離れた衣装室に向かう途中、ショートカットのために森を横切り、後ろからやってきて「君は映画の関係者か? 」と聞いてきた人を無視してジェイソンの格好で驚かせた、なんてお茶目な(やられた方はたまったもんじゃない)ことをしたこともあるそう。
他の人よりも長くジェイソンを演じているホッダーは、ジェイソンにたいして「ジェイソンは大人は殺すが、子供や動物には手を出さない。また、逃げる被害者を走って追いかけてまで殺すようなヤツじゃない」と考えており、「Part8」の最後ではそばにいた犬を蹴り飛ばすシーンがあったようですが、ヘッダーは「ジェイソンは犬を蹴るほどチンケな男じゃない」と拒否しています。
ロバート・イングランド(映画「エルム街の悪夢」/フレディ・クルーガー役)
ラストを飾るのは映画「エルム街の悪夢」シリーズでフレディ・クルーガーを7度も演じたロバート・イングランドです。
9歳の頃、友達の誕生日パーティでカウボーイの映画を見る予定がプログラムの不手際でなぜかホラー史上最も邪悪でサイコパスな少女がでてくる映画「悪い種」を見てしまい、以来、数年にわたってお下げ髪の少女が怖くなるという経験をしているイングランド。
王立演劇学校とカリフォルニア州立大学で古典劇の訓練を受け、シェイクスピア作品の道化役のほとんどを演じたのち、ウェス・クレイブン監督の「エルム街の悪夢」で夢の中で人々を殺すフレディ・クルーガーとして世界中の人々を怖がらせる存在となりました。
今はホラー映画を中心に活躍しており、1988年には映画「ホラー・スコープ」で監督を経験しています。
source: Looper, imdb 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8
(中川真知子)