はやくも第4回の開催。
ちょっとはウケているのかもしれないと、勘違いをはじめそうな筆者である。
この企画は、私、石岡ショウエイが読者の方からお題を頂戴し、うるおぼえの記憶を頼りに、似顔絵イラストを描くもの。
題して「見ないで描いてみよう大会 in 自室でひとり」
マツコ・デラックス、奥田民生、リリー・フランキー×吉田鋼太郎、と回を重ねてきたが、今回は、「星野源」
最近、大活躍してる印象の星野源。
ぼんやりと浮かぶ顔が「薄い」のだが、それは造形的に薄味ということなのか、私の記憶があいまいすぎるということなのか・・・。
一度見たら忘れられない顔、ではない気がする。何度か見ないと覚えられない顔。
整っているということかもしれない。整った顔立ちというのは、つまり特徴に乏しいということであり、強調すべきポイントがないので、イラストとして描くには難易度が高い。
うーむ、似ないわ面白くないわ、という展開になったらどうしよう。
不安を抱えつつ、トライしてみることにする。
◆星野源(ほしの げん 1981年1月28日 - )
俳優、ミュージシャン。
俳優としては「大人計画」に所属、ミュージシャンとしては2015年の「紅白」に出場、タレントとしてはNHK『LIFE!』のレギュラー、とそれぞれの活動でしっかり評価されている。
そのすごさをオーラとしてまとっていないのが魅力である気がする。「そのへんの兄ちゃん感」がある。
Wikiにあった好きなエピソードがこれ。
ラジオ好きであり、特にTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』のヘビーリスナーである。
同番組が2011年に番組内で使用するジングルを募集した際には「スーパー・スケベ・タイム」というラジオネームを名乗って応募し、最優秀賞を受賞。
このジングルは作者が星野源であることを番組スタッフにも気付かれぬまま、その後2年以上に渡って使用されていた。
「ジングル」とは、テーマの切り替えなどのタイミングで使われる、ごく短い音楽のこと。
選ばれてしまう才能もすごいが、その後も正体を明かさないおちゃめさに惹かれる。私も「ウィークエンド・シャッフル」は好きだし、どうしよう、今回の挑戦を機に、星野源ファンになってしまうかも・・・。
【第4回 見ないで描いてみよう大会】お題:星野源
私の記憶力が明晰ならば、どんなお題でもすらすら描けるのだろうが、残念ながらまったくそんなことはない。
ゆえに、外見的イメージに加え、内面的イメージも加味しながら、理屈っぽく描いていくのが、この企画の特徴である。
【1】まずはシルエットから。
色白できゃしゃな印象があるので、首を細めに設定。
輪郭は、面長ではない。幅を感じるから、少々えらを張らせてみようか。
かなり明るい性格のはず、あごをややあお向けに。
【2】ファッションイメージが、完全に音楽PVでの駅長さん姿になっている。サビの部分がヘビーローテーションで脳内にかかりだした。
星野源の歌声に感じるのは、堅い木で造られたギターをかき鳴らしたときのような、硬質感。響かないようで、遠くにまで届くふしぎな感じ。
駅長さんの衣装ってこんなんか? そもそもあれ、駅長だっけ。地下鉄のホームが舞台だった気がするが。
【3】髪型は、オシャレすぎないさじ加減での今風な感じ。
輪郭をもう少し骨張らせてみようか。
うん、間違ってない。はず。
【4】口はほほ笑んでいてほしい。
「笑み」というよりは、「にやけ」に近いかも。スーパースケベさんだからね。
うん、悪くない。
関係ないが、星野源は「バナナマン」とラジオで共演していて、日村にバースデーソングを贈る企画があったのだが、そのクオリティが毎回、音楽としてもネタとしてもすばらしかった。
【5】さあ、似顔絵イラストにおける最重要パーツ、目だ。
私の印象によると、星野源の「薄い」イメージの源泉は、目にある。
アイライン、上はあるが下はなく、冷ややかともとれる感じにしてみる。
ほんのすこし、ほんのすこーしだけ、配置が離れていた気が。えらも含めて、わずかに魚っぽさを意識する。
おや? 森山未來に近づいたか?
荒木飛呂彦先生の短編を舞台化した『死刑執行中脱獄進行中』、生で観てみたかったなあ。
【6】眉はとくにイメージがない。無難なものを配置しておこう。
星野源は「植木等」へのリスペクトがすごかったはず。まじめにふまじめ、な空気を忘れないようにしたい。
この絵も、上着は駅長姿だけど、下はパンツ一丁なんだ。しかも女性物。
【7】なんか足りない。なんか足りない。
あっ! ほくろ的なものがあったはず!
でもどこだっけな。いい感じに、男前すぎないようにしてくれてるんだよ。
この辺?
正解かはわからんが、必要な空気は発せられた。
うん、遠からずじゃないだろうか。下はパンツ一丁だって伝わる要素がほしいけど。
【8】ここまでを下絵として、本線を入れていく。
オシャレ度を上げたいなあ。髪をややボリュームアップして、きのこテイストを加えようか。
悪くない悪くない。
脳内の星野源には近づいている。正解に近づいているかは不明。
いま気づいたけど、頭の中でかかってる曲、駅長姿のやつじゃないや、『SUN』ってやつだ。
君の、顔を、描かせ~て~♪(替え歌)
【9】ふざけさせたい。口の配置を下げてみる。
特徴のない、似顔絵にしづらい「平均顔」からは、はずれてくれた。
なんでもできる星野源、イラストは描けるのかな。描けちゃうのかもな。
【10】目はね、下のラインはやっぱりないほうがいい。上のラインも細い印象。
黒目は、丸い。丸いの当たり前じゃん、って思われるかもしれないが、黒目というのは、全部が見えてるわけではないので、三白眼ぎみの人だと「半円」にしか見えなかったりする。
星野源の場合は、「円」として認識できる印象。
うん、森山未來とは明確な違いを見せてくれた。
視線、どこを見てるんだろ。きっとナイスバディのお姉ちゃんを見つけたんだな。スーパースケベさんだからね。
【11】眉はやっぱり無難なものを配置しておく。
ちょっとゲジってるかな。まあ、保留ってことで。
個人的に星野源に惹かれる要素のひとつは、かなりのオタクであるところ。
ラノベが好きだったが、のちにそれを恥ずかしく思ってその事実を封印するも、さらにのちに、封印したこと自体を恥ずかしく思う、なんて青少年時代を送ってこられた。
【12】星野源って若いのか年なのか、わかんないところがある。
トークを聞くとわりとおっさんくさい。ちょっと老けさせてみよう。
むむ、なぜだ!? 蚊よけスプレーのCMで、マッチョ姿に合成されてる「笹野高史」に見えてきた。髪があるのに!
ちょっとハゲさせて、しわを足してみようか。
ほら、名脇役、笹野高史!
あれっ? なぜだろう、「イモトアヤコ」にも見えてきた。逆に髪を思いきり足してみよう。
遠からず!
む、今度は「大久保佳代子」要素を感じはじめた。ほうれい線を足すと・・・、いや脱線が過ぎる。星野源に戻ろう。
【13】しっくりこないので、口の配置位置を上に戻す。
薄い方向性は間違ってないのだが、なにかもうひと声ほしいところ。
【14】下絵をオフにして、黒目をすこし修正。
うーん、浦沢直樹先生の作品に出てきそうなデザインになってきた。
じつは極悪の偽警官、ってキャラ設定。主人公のピンチで本性を現し、さらなるピンチを招く、っていう展開。
【15】黒目の丸さがほしいな。やや小さくもしてみる。
うーん、悪い本性を隠せてないなあ。
でも挑発的な面も、星野源からはもれてるんだよなあ。このままいってみるか。線画はアップ!
【16】着色。肌の色はけっこう白いイメージ。
むむ? なんか「大森南朋」に近づいたような・・・。駅長ではなく警察官。
いまは出世して管理職となった大森南朋警視の、若き巡査長時代、って感じ。主人公に、「あのころの正義を思いだしてください!」とかいわれるの。
【17】コスプレを徹底させようか。PVでも、帽子かぶってたよね。
女性警官っぽくなった・・・・。駐車禁止にきびしそう。
【18】帽子はなしで。
ずっと迷ってたんだけど、ほくろの位置、向かって左側かもしれない。
賭けだ、移動させてみる。
やはり「薄い」顔は難しい。どうしたら星野源なんだ。
なにを特徴として強調すればいいのかわからない。私が思いだせないだけなのか・・・。
ちくしょう、ギブアップ!
自己評価、25点。
正解を描きます。
【19】うおっ、ほくろの位置はあってたが、それどころではない。
じ、事件だ・・・!
正解が、似ない!
これ、星野源に見える? イマイチだよね? どこの韓流スターだ?
むむ、私の中で星野源がゲシュタルト崩壊しはじめてる。なにをもって星野源なのか、さぱりわからなくなってきた。
星野源って、だれ?
え? ふむふむ、ああ、なるほど、スーパーなスケベさがむしろ好感度の高さにつながってる人ね、わかった。
【20】いちおう見比べてみる。
正解がイマイチだから比較することに意味を見いだしづらいが、決定的な違いは、目だ。
下がり目として描いてしまったが、実物の目は下がってはいない。
ただ、目尻は下がっている。目尻が、星野源を星野源としているポイントかもしれない。途中経過の【6】あたりのニュアンスを維持できればもっと近づいたかも。
うーん、難しい!
◆『星野源の描き方』ポイントまとめ
・輪郭は角張りぎみ
・目はほんのすこしだけ離し、黒目は丸みがわかり、目尻だけ下げる
・鼻はしっかりと存在感あり
・ほくろ
以上の点に気をつければ、星野源! ・・・になるかも。
デフォルメ強めで描いてみる。
いやあ、難しいわ、自信がまったくない。V6の「いのっち」にも近づいてきた。
今回は、正解すら似せられないという歴史的敗北に終わった。
この企画をつづけていいのか、かなり自信を喪失した私であるが、星野源のことはけっこう好きになった。いつか再挑戦するかも。
第5回のお題もゆるく募集しております。
ストックされたお題もあるのですが、私の頭にまったく絵が浮かばない場合は採用することができません。また、開催日までにテレビなどでその姿を見てしまい、うる覚えでなくなった場合も、つまらなくなるので見送ることにさせていただいております。
過去の開催模様はこちらから。
◆第1回 マツコ・デラックス編
◆第2回 奥田民生編
◆第3回 リリー・フランキー×吉田鋼太郎編
*
森山未來との類似にも苦しんだ今回だったが、『聖☆おにいさん』のアニメ版は、イエスを森山未來、ブッダを星野源が声を担当してたんだった。
中村光先生、アフレコ現場で二人の似顔絵を描かされる、なんて展開にはならなかっただろうか。私なら双子を描いていたかもしれない・・・。
連載四コマ2本立てッ!
ゆる四コマ『まぐねっこ』(by 五郎)
欠かさず原稿を送ってくれる五郎氏、勤勉だなあ。五郎先生と呼ぶことにしよう。
◆その15
ネコなのに役に立つなんて!
ゆる四コマ『ペットボトルくん』(by ショウエイ)
記念すべき第50話まであとあと4話!
◆その46
宇宙飛行士、ニール・ペットボトロング!