【ロンドン=黄田和宏】ソフトバンクグループの孫正義社長は18日、ロンドンで英半導体設計大手アーム・ホールディングスの買収発表の記者会見を開き、あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」について、「大きな機会がある」と述べた。孫氏はアームについて「過去10年間尊敬してきた」と説明。買収の発表について「とても幸せだ」と話した。
孫氏は「IoT」の可能性について、「自動車やインフラなどあらゆるものがインターネットにつながるようになる」と話し、「今はまだ始まりにすぎない」と説明した。アームは「IoT」の時代に対応したセキュリティー技術などにも強みを持ち、ソフトバンクは買収により同分野を強化できるという。
ソフトバンクはアーム買収後も英国への投資を継続する方針。孫氏は「私は英国の強い信奉者だ」といい、英国の欧州連合(EU)離脱決定後も事業を拡大する。孫氏は2週間前に買収交渉を始めたことを明らかにした上で、英国の国民投票の結果は「買収の判断に影響しなかった」と述べた。
アームのケンブリッジ本社を維持するほか、今後5年間でアームの英国の人員を倍増する考えだ。また、事業面ではアームの経営の自主性を尊重する方針を示した。
孫氏は同日、ハモンド英財務相と会談し、アームの買収の意向を伝えた。ハモンド氏は同日、「アジア企業による英国への投資として過去最大規模になる」と歓迎の意向を表明。「英国は海外の投資家を引き寄せる力を失っていない」と述べ、英国が企業に開かれた国との考えを強調した。