英半導体大手ARMを3.3兆円で買収
ソフトバンクグループは18日、英国の大手半導体設計会社ARMホールディングスを約240億ポンド(約3.3兆円)で買収することで合意したと発表した。ARMが開発した半導体はスマートフォンなどに使われており、最先端の技術開発力や特許などを持つ会社として知られる。ソフトバンクグループはロボットやAI(人工知能)の開発を進めており、ARMの技術や特許を今後のビジネスに活用できると判断した。
孫正義社長は同日、「ARMは世界的に名高いテクノロジー会社であり、この分野で圧倒的なマーケットリーダーとして高く評価してきた。今回の投資はIoT(モノのインターネット)がもたらす重要なチャンスをつかむことになる」と述べた。
ソフトバンクグループは9月末までにARMの全株式を取得し、完全子会社とする。買収資金のうち、1兆円はみずほ銀行から借り入れ、残る2.3兆円は手元資金で賄うという。
ソフトバンクグループは今年6月以降、孫社長の後継者と目されていたニケシュ・アローラ前副社長が中国の電子商取引(EC)最大手アリババグループの株式の一部を売却したほか、スマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ」を手がけるガンホー・オンライン・エンターテイメントの株式も大半を売却すると発表。フィンランドのゲーム子会社スーパーセルも中国のIT大手テンセントに売却することを決めている。一連の資産売却による調達資金は2兆円近くになり、資金の使途が金融市場で注目されていた。
一方、ソフトバンクグループは、これまでに相次いだ企業の買収で有利子負債が11兆9200億円(16年3月末現在)ある。年間の売上高9兆1500億円(16年3月期)を超えており、財務体質の悪化を懸念する声もある。【川口雅浩、田口雅士】