矯正視力0・六

ロッキンオンジャパンにまだイースタンのインタビュー載るとは思わなかった。
立ち読みしただけだけど、吉野さんの
底辺の人たちの側でいたいっていう言葉はすごくわかる。
その言葉が聞けただけでもよかった。

そこに忠実でありたいっていう。
だってもしそこを捨てちゃったら
自分なんて無きに等しいのだから。




いまよりずっとずっと酷いところで働いていた頃、
珍しく、仕事を辞めたあとも会う人たちがいた。
そこを辞めて半年ぐらい経った頃
おれはその職場で先輩だった人の車の助手席にいた。
その人もまたそのとき、5,6年働いていたその職場を辞めるところだった。
そのとき彼が言っていた言葉を思い出す。

みんなさ、どうすんだって言うんだよ、これから先、次も決まってなくて、そんなに甘くないぞって、そうそういいとこすぐに見つかんないぞって。確かにさ、おれはもう30だし、次探すったって限られてるわけよ、実際、なかなかないんだよ。・・・でもさあ。関係ねえよな、そんなの。そんなこと自分が一番よくわかってんだよ。そういう問題じゃねえんだよ。

おれはその人の言ってることがほんとうによくわかったし、
自分と同じような人がいてとてもうれしかったのを覚えている。

結局おれら、矯正視力0・六で、裸眼じゃ何も見えない。
目先の1メートルのことしか見えてなくて
でもそこに、固執してる。
だって意地は捨てられないから。
おまえなんて一生ロクな人間になれない、
そう言われ続けてきて
それはその言葉を見事に証明してるわけだけど。
だからこそ、言われてきたその言葉を捨てることなんて
絶対にできないのだから。





仕事を辞める日っていうのは、いつだって
とってもとっても、もううんざりするぐらい晴れた日に決まってて
見渡す限り青空。
曇りがちな自分の心を嘲笑うかのように。
そんな空を見上げながら、
ああほんとに辞めるんだ、おれはやっぱりこうするんだ、って
自分がことごとく最悪に転がり込んでいくのを
他人事のように実感している。

仕事を辞めるときに次が決まってたことなんてない。
だからすぐに職探し。
貯金なんてあった試しもないし。
早くしないと食えなくなっちゃう。
それでことごとく面接に落ちたりして。
もう最悪で。最低の気分で。
もうこんなことは終わりにしたいんだけど。
そんなときにいつも、ものすごく高揚してくるものがあって。
危機が目の前にあるからこそ、ものすごくリアルな感情。
大げさに言っちゃえば、生を実感する瞬間。
ほんとうに最悪だ、でもなんて素晴らしいんだ、って。
ひしひしと、体中に感じる最悪の実感。
結局おれはそれを味わいたくてコロコロ職を転々としてるようなもんだ。
妙な性癖のために人生を無駄にしてるようなもんだけど。
だけど何も得られないということ
それが、自分の居場所だったら
不平を言うことも、裏切ることもできないのだから。





今日もまたバカみたいに青空で
青空を見てるとそんなことを思い出す。
最悪で、部屋でうずくまって
茫然しながら、なんだかにやにやしてくる
そんな日々のことを。



昼過ぎに駅のカレー屋で飯食ってたら、
カウンターの向こうで、だるそうな女の子の店員2人が
コイバナに花を咲かせてた。
「好きになっちゃったら何言われても許しちゃうんだよね~」
そんなもんかね、と思っておれはカレーをかっ食らいながら
「お正月はカレーでしょ」というCMを思い出していた。
あのCMを作った奴は天才だな。
初めて見たときは笑ったよ。何の関係もないんだから。

ゆっくりと食べ終えて店を出る。
相変わらずの青空だ。
汗ダラダラ。
涼しい顔して街を歩いてるあの子たちとは
きっと何かが、大きな何かが違うんだ。
でもまあ、知ってるよ。
青空は敵でも味方でもない。
汗ダラダラでヒーヒー言ってんのはおれの勝手だ。
ワールドカップが始まる頃には、いまの職場のことも考えとくかね。

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