トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

高安、止まらない 1敗キープ、Vチャンスだ

2016年7月18日 紙面から

栃煌山(左)をはたき込みで下す高安=愛知県体育館で(石川彰保撮影)

写真

◇名古屋場所<8日目>

 (17日・愛知県体育館)

 小結高安(26)=田子ノ浦=が苦手の栃煌山を下し、1敗をキープ。三役返り咲きとなったこの名古屋を、賜杯争いのトップタイで折り返した。横綱白鵬(31)=宮城野=は松鳳山を送り出し、史上1位の幕内勝利数を900に伸ばした。横綱日馬富士、綱とりの大関稀勢の里を加えた4人が1敗で並び、宝富士ら平幕の4人が2敗で追う。

 高安の勢いが止まらない。過去3勝17敗(不戦敗含む)と苦手にしている栃煌山戦の前。「冷静に、冷静に、と思って肩の力が入らないように意識した」。テンションが上がりすぎないように“おまじない”をかけて土俵に上がった。

 栃煌山を懐に入れさせまいと高安は突き合いで勝負に挑む。「前に出られなかったので」。土俵際で左に回り込んではたき込んだ。「これしかできない。まわしを取れば相撲になるけど。栃煌山関はなかなかまわしを取らせてくれないから。苦手な相手だったので、結果オーライです」。勝ち越し王手にも顔色一つ変えずに振り返った。

 先場所から締め込みを新調した。これまでの深緑色から鮮やかなパステルブルーと大胆なイメージチェンジを図った。心機一転の意味も込めて、あえて誰も付けていない色を選んだ。効果は抜群。先場所で9勝(6敗)を挙げて三役返り咲きを果たし、今場所は優勝争いに絡んでいる。

 3度目の小結で迎えた今場所は「三度目の正直」の精神で戦う。過去2度は5勝10敗、6勝9敗と振るわなかった。場所中の朝稽古後に高安は「そろそろ一皮むけないといけない時期。ここで上に上がれなかったら成長はない」とまで言い切っていた。今場所に懸ける並々ならぬ闘志がプラスに働いている。

 高安が勝ち続ければ、部屋の兄弟子・稀勢の里の綱とりへのアシストにもなる。後半戦で上位との対戦を残すが「毎日気持ちよく相撲を取れていますし、毎日やっていて楽しいですね」と気力は充実している。さらに、1敗を守って賜杯争いでもトップに並ぶ。藤島審判長(元大関武双山)は「もともと力のある力士ですから。稀勢の里の援護射撃じゃないけど、高安にも(優勝の)チャンスがある」と評価する。絶好調の26歳が後半戦の鍵を握りそうだ。 (永井響太)

 

この記事を印刷する

PR情報