時代の正体〈359〉闘いはこれからだ 憲法学者の宣戦布告

 改憲勢力が憲法改正の国会発議に必要な3分の2を占めた参院選。安倍晋三政権打倒を掲げ政治団体「国民怒りの声」を立ち上げた憲法学者で慶応大名誉教授の小林節さん(67)=横浜市港北区=は自身を含め立候補者11人全員落選という惨敗劇にも前を向く。「闘いは終わっていない。憲法を守る闘いは始まったばかりだ」

 参院選から一夜明けた11日、東京・新橋駅近くにある事務所で小林さんの表情には疲労が色濃かった。選挙のちらしが乱雑に積まれたまま。午後になっても訪れる人は少ない。国民怒りの声の比例代表得票総数は約46万票。目標の半分にも届かなかった。

 「野党としての知名度がなかったことが敗因。与党にも野党にも投票しようと思わなかった無党派層の受け皿になろうとしたが、私が立候補したことすら、多くの人に知られていなかった」

 1議席を得た社民党は約153万票、生活の党は約106万票。投票率54・70%は前回2013年参院選から2・09ポイント増えたにすぎなかった。

 支持はなぜ広がらなかったのか。「安倍政権の憲法改悪に反対してきたが、憲法問題への危機意識の薄さを街頭で感じた。憲法はこの国の根幹だが、憲法そのものに関心がない人が多かった」。だが、落ち込んでいる様子はない。「次の闘いに向けて、学ぶことは多かった」

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