【マニラ=佐竹実】アジア開発銀行(ADB)は18日、2016年の先進国(日本、米国、欧州)の国内総生産(GDP)成長率見通しを1.5%に下方修正したと発表した。英国の欧州連合(EU)離脱で先行きの不透明感が高まったほか、米国の経済指標が市場予想を下回っているためで、3月の前回予想よりも0.3ポイント下げた。17年の予想も1.9%から1.7%に引き下げた。
2016年 | 2017年 | |||
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前回 予想 | 修正 値 | 前回 予想 | 修正 値 |
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先進国 | 1.8 | 1.5 | 1.9 | 1.7 |
米国 | 2.3 | 1.9 | 2.5 | 2.5 |
欧州 | 1.5 | 1.3 | 1.6 | 1.1 |
日本 | 0.6 | 0.5 | 0.5 | 0.8 |
アジア 新興国 | 5.7 | 5.6 | 5.7 | 5.7 |
※アジア開発銀行調べ。単位は%
Brexit(英国のEU離脱)の欧州経済への影響についてADBは、「金融市場の混乱などを通じて下方リスクが高まった」と指摘した。ただ、「2015年のEUから英国への輸出は全体の6%程度にすぎない」として、EUへの影響は比較的小さいと分析した。
アジア新興国の16年の成長率見通しは、前回から0.1ポイント引き下げて5.6%とした。17年は5.7%で変わらず。ADBの魏尚進チーフエコノミストはBrexitの影響について「アジアの通貨や株式市場が反応したが、実体経済への短期的な影響は小さいだろう。ただ、先進国経済の見通しが弱含む中、各国は成長を維持させるために外的ショックに備える必要がある」と話した。
ADBは毎年春に「アジア経済見通し」を公表し、四半期ごとに修正値を発表している。アジア新興国は、先進国を除くアジア大洋州の45カ国・地域が対象だ。