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【芸能・社会】

上間綾乃、2年ぶりアルバム「魂うた」 テーマは原点回帰

2016年7月14日 紙面から

福山雅治作品のアレンジャーとしても知られる井上鑑をサウンドプロデューサーに迎え、「聴きやすいサウンドになっていると思う」と話す上間綾乃=東京・虎ノ門の日本コロムビアで(由木直子撮影)

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 民謡をベースにJポップのテイストも盛り込んだ独自の世界を歌っている沖縄出身のシンガー上間綾乃(30)の2年ぶり4作目のアルバム「魂(まぶい)うた」が、20日発売される。テーマは、原点回帰。東京に拠点を移して3年。離れて見える故郷の良さや自分自身を見つめ直して「全部好き」な7曲に魂を込めた。

 1曲目「命結−ぬちゆい」は、加藤登紀子(72)のオリジナル。「すごく合うと思うわよ」と勧められた。「そう言ってくれたのが驚き。素直にうれしかった」という。知人のミュージシャンを通じて、デビュー前から交流が続き、今では「東京のお母さん」と慕う。

 その加藤が、東日本大震災後に完成させた曲で「ひとりでもひとりじゃない 命結にむすばれて」と歌う。「そうだよなーってずっと思ってたことが登紀子さんの詞に全部あって、歌詞に自分が入っていくんじゃなく、自分の中にふーっと入ってくる感じ」。そして、「時代とか場所とか関係なく通じるものがあると思う」。

 沖縄地方の方言ウチナーグチで歌った「さとうきび畑」は、昨年、戦渦で失われた沖縄の原風景を復活させようという「緑の惑星プロジェクト」から依頼され、沖縄だけでシングル発売した曲。特に年配の世代に喜ばれたそうで、今は、沖縄以外でも歌っている。聴きながら涙を流す若者もいて、「ウチナーグチが分からなくても胸に響くものがあるよ」と言われたことがうれしかった。

 原点回帰を象徴するのが、「懐かしき故郷」だ。中学1年の時、ハワイの「オキナワン・フェスティバル」に招かれ、沖縄からの移民の人たちの前で歌った時に、おじい、おばあが泣きながら懐かしがる光景を見て「歌う覚悟」が定まった。昨年、ハワイに行く機会があり、思いをめぐらせているところへ、今年9月に行われる同フェスへの招待状が再び届いた。

 「何が大事なのか、何がうれしくて歌っているのか、誰に必要とされて歌っているのか、どこに向かって歌っているのか」。この2年で、あらためて確認できた。さらには、「沖縄をどれだけ愛してるか。知らない自分が見えた」とも。沖縄民謡の遊び唄「道三世相の唄」、4年ぶりに作詞作曲した「アマレイロ」などバラエティーに富んだ内容になった。唄者(うたしゃ)としての自覚をますます強め、これからも人とつながる歌を志す。 (本庄雅之)

◆今は「電車も友達」

 東京生活にも慣れて、今は「電車も友達」と笑顔を見せた上間。最近、餃子を手作りする時に皮の包み方がうまくなったのが自慢とか。ストレス解消を兼ねて、キックボクシングのジム通いもこの1年で始めた。

 ▼アルバム発売記念ライブ 8月12日名古屋ブルーノート、同15日大阪ビルボード、11月26日東京・日本橋三井ホール

 

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