ウランは昔から地球上にあり、現在、カナダやオーストラリアなど様々な国から産出されています。ウランには燃えやすい(核分裂を起こしやすい)ウラン235と、燃えにくい(核分裂を起こしにくい)ウラン238があります。天然ウランのうち大部分(約99.3%)は、燃えにくいウラン238であり、残りの約0.7%は燃えやすいウラン235です。 日本の原子力発電所(軽水炉)では、ウラン燃料を使用していますが、これは燃えやすいウラン235の割合を3〜5%に高めたものです。原子力発電の特徴のひとつでもありますが、原子力発電所で使い終わったウラン燃料(使用済み燃料)は、再処理することでリサイクルできます。 原子力発電所で使い終わった燃料には、まだ再利用できるプルトニウムとウランが残っています。そこで、使用済み燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混合してつくった混合酸化物燃料が、MOX(Mixed Oxide)燃料です。 MOX燃料は、ウラン燃料と同じように、ペレットに焼き固められ、被覆管内に密閉されて、燃料棒となり、燃料集合体に組み立てられます。
大間原子力発電所で使用するMOX燃料集合体は、基本構造は十分な実績のある高燃焼度8×8型ウラン燃料集合体と同一で、1本の太径ウォータロッドを集合体中央に配し、そのまわりに60本の燃料棒を8行×8列に配列した構成としています。燃料棒は、ペレット材としてUO2-PuO2を使用するMOX燃料棒と、UO2-Gd2O3を使用するガドリニア入りのウラン燃料棒から構成されます。
MOX燃料集合体内は、核分裂性プルトニウムの富化度を燃料集合体外側の燃料棒で低く、また内側の燃料棒で高くすることにより、出力分布の平坦化を図っています。集合体平均の核分裂性プルトニウム富化度は約2.9wt%で、ウラン濃縮度は約1.2wt%(MOX燃料棒のベースとして使用される劣化ウランとガドリニア入りのウラン燃料棒に使用される濃縮ウランを平均した値)です。また、取出燃料集合体平均燃焼度は約33,000MWd/tで、集合体最高燃焼度は40,000MWd/tです。
MOX燃料の基本仕様
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項目 |
ウラン燃料 |
MOX燃料 |
燃料集合体 |
配列 |
高燃焼度8行×8列 |
同左 |
全長(つかみ部除く) |
約4.47m |
同左 |
燃料棒本数 |
60本 |
同左 |
ウラン濃縮度 |
約3.5 wt% |
約1.2 wt% |
平均核分裂Pu富化度 |
− |
約2.9 wt% |
最高燃焼度 |
50,000 MWd/t |
40,000 MWd/t |
燃料棒 |
ペレット材 |
UO2 |
UO2-PuO2(MOX燃料棒) |
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UO2-Gd2O3 |
UO2-Gd2O3(ウラン燃料棒) |
ペレット直径 |
約10.4 mm |
同左 |
被覆管外形 |
約12.3 mm |
同左 |
被覆管厚さ |
約0.86 mm |
同左 |
被覆管材料 |
ジルカロイ-2 (Zr内張) |
同左 |
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軽水炉でのMOX燃料利用は、既に海外で6,350体以上に及ぶ使用実績があり、また、国内においても少数体のMOX燃料照射が実施されています。さらに、平成15年3月に運転を終了した新型転換炉ふげん発電所でも772体のMOX燃料が使用されました。このようにMOX燃料利用は着実に進められています。

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