14日に告示された東京都知事選(31日投開票)で、共同通信は16、17両日、電話による世論調査を実施し、取材結果を踏まえて序盤情勢を分析した。自民党の推薦を得られなかった元防衛相の小池百合子氏(64)とジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)=民進、共産、社民、生活推薦=が競り合い、元総務相・増田寛也氏(64)=自民、公明、日本のこころ推薦=が追う展開。3候補による混戦ながら、本命候補の増田氏が予想外の苦戦を強いられている。ただ、約4割は投票先を決めておらず、残り2週間で情勢は変化する可能性がある。

 告示から最初の週末を迎えた知事選序盤。小池氏、鳥越氏が先行し、増田氏が追う展開となった。

 自民党の推薦を得られず無所属での出馬となった小池氏は、自民支持層の3割強を取り込み、無党派層の3割から支持を受け、女性からの支持も高い。「後出しじゃんけん」で告示2日前に出馬表明した野党4党の統一候補・鳥越氏は、民進、共産の支持層の6割近くを固め、無党派層にも浸透する。

 一方、自民党本部と公明党本部から推薦を得た増田氏は、公明支持層をまとめる一方、自民支持層を3割ほどしか固められていない。参院選では、東京選挙区、比例代表ともに、自公で都民から200万票以上を獲得し、告示前は増田氏有利との見方が強かったが、小池氏と分裂選挙になった影響を受けているようだ。

 一歩リードの小池氏を支援する自民党の若狭勝衆院議員は「街頭演説の反応が非常に良い。自民党支持者をさらに取り込んでいく」と手応え十分。「大政党のはざまに女1人」「組織対個人の戦いです」―。街頭演説で党都連や都議団の批判を繰り返し、対立をあおって存在感を高める小池氏の戦術に、増田氏の陣営は危機感を抱く。

 増田氏の最大の弱点は知名度の低さ。対抗する手は「実績」と「組織力」だ。岩手県知事も務めた実務経験を強くアピール。与党幹部らも続々と応援に入り組織戦を展開。2候補にやや出遅れていることにも、自民党都連幹部は平静を装い「こちらには組織があり、焦る必要はない」と巻き返しを図る。

 一方、知名度抜群なのは鳥越氏。民進党都連幹部は「今は知名度にだけ頼っている状態」と分析。事務所幹部は「出馬表明が一番遅かったので、これからさらに支持を広げられるのではないか」と期待を示す。

 ただ、各陣営とも参院選直後の都知事選で、組織戦を展開する陣営からは「選挙疲れで組織が機能していない」との声も。小池氏は一部の都議、区議の支援を受けるが、「最初は勢いがあってもどこかで息切れする」と自民党都連幹部。鳥越氏は政策面の弱さに加え、76歳という年齢から体力に不安があるとの声が有権者の間にある。