【コラム】中国の報復がそんなに怖いのか

 習主席の時代を世に知らしめる上で、もう一つ突出しているのが対外戦略だ。中国はこれまで「低姿勢でひそかに力を蓄える(韜光養晦、hide and bide)」という戦略によって周辺国との摩擦を避けてきた。ところが、習近平政権は日本と争う姿勢を見せたり、南シナ海に多くの人工島を造ったりして、太平洋への進出にも露骨な姿勢を見せている。そして、米国の高高度ミサイル防衛システム「THAAD(サード)」の配備をめぐる韓国との対立も新たに加わった。

 日本は中国の豹変(ひょうへん)に驚き、すぐに米国との同盟を強化した。続いて台湾やベトナム、フィリピン、オーストラリアも米国との関係を強化した。THAADの配備をめぐって国内での対立を抱える韓国が忘れてはならないのは、米中両国の対峙(たいじ)という構図だ。

 習近平政権は今後、さらに6年間中国を統治する。米国や日本では政権が代わっても対中警戒論が台頭し続けるだろう。米中両国が、表向きには笑顔を見せながら、内心では刃(やいば)を向け合うという構図は今後30年以上続くかもしれない。そのような構図の中で生き延び、成長していかなければならないのが韓国だ。このような状況を悲観するあまり、中国の報復を過度に誇張する反応もみられる。しかし、中国経済は現在停滞している。中国が武力による報復に出れば、中国も被害を受けざるを得ない。北朝鮮のように核実験をやったわけでもないのに、韓国に対し制裁措置を講じれば、国際的にも笑い者になるだろう。全面的な報復の可能性は低い。だが、面目を保つべく、象徴的な措置を講じる可能性はある。貿易戦争が5-10年も続いているのでない限り、たとえ幾つかの企業が倒産したとしても、韓国は安全保障のため、ある程度の犠牲を甘受するしかない。むちで打たれながら進んでいく方がむしろましだ。

宋煕永(ソン・ヒヨン)主筆
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