中国映画の主役に決まっていた台湾の俳優が「反中」論争に巻き込まれ降板した。
ニュースサイト「鳳凰網」など中国メディアによると、中国映画「没有別的愛」(他に愛はない)の制作陣は15日、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」を通じ、主演の台湾俳優である戴立忍(レオン・ダイ、49)を交代させることを明らかにした。
制作陣は「戴立忍が台湾独立を支持するかどうかについて明確な態度を示さなかった。祖国統一を断固堅持し、今回の一件について謝罪する」と説明した。同作品を製作してきた中国の有名女優兼映画監督の趙薇(ヴィッキー・チャオ、40)も微博で「いつになっても我々は自分が中国人であることを忘れてはならず、国家と民族の利益をあらゆることよりも優先すべきだ」と主張した。
戴立忍の降板は中国共産党の青年組織である中国共産主義青年団(共青団)による批判が発端だった。共青団は最近微博などで、戴立忍が2014年に香港で起きた「雨傘革命」など反中デモを支持している様子を伝える台湾メディアの写真を公開。共青団はまた、戴立忍が中国政府が非合法化している気功団体「法輪功」系のメディアのインタビューを受けた事実を示し、「反中傾向を示している」と指摘した。共青団は戴立忍が出演した映画3本を挙げ、不買運動も呼び掛けた。論争が起きると、戴立忍は「台湾独立を支持しない」と釈明したが、結局降板を避けられなかった。