17都府県のコンビニエンスストアの現金自動受払機(ATM)で偽造クレジットカードを使って約18億6000万円が不正に引き出された事件で、現金引き出し役の「出し子」が全国で約600人に上るとみられることが、捜査関係者への取材で分かった。これほど多くの出し子を集めて一斉に現金を引き出すには、背後に大規模な犯罪組織の存在が不可欠とみて、警察当局は全容解明を進めている。
事件では5月15日の午前5時ごろから同8時ごろまでにかけて、全国のコンビニなどに設置されたセブン銀行やイーネットなどのATM約1700台から現金が引き出された。南アフリカのスタンダード銀行が発行したクレジットカードの情報を書き込んだ偽造カードが使われていた。
全国の警察がATMのカメラの映像を分析した結果、出し子が約600人に上るとみられることが分かった。都府県別で最悪の約5億7300万円の被害が出た東京都内では、約100人が関わったとみられている。マスクや帽子で顔を隠しているケースと、顔を隠していないケースがあった。
これまでに警視庁や神奈川、愛知県警などが約30人を窃盗容疑などで逮捕した。ほとんどが20~30代の若い男で、「知人に仕事があると誘われた」と供述するなど軽い気持ちで関与した容疑者もいるという。
事件の全体像はいまだ不明な点が多いが、暴力団が関与した可能性も出ている。福岡県内では、事件があった時間帯に暴力団関係者が乗る車が被害店舗の周辺の防犯カメラに映っていたことが判明。新潟県警は今月12日、暴力団幹部の30代の男を窃盗容疑などで逮捕している。
新潟県警は5月、逮捕した振り込め詐欺グループの関係先からATMの操作方法などを指示する手順書を押収。引き出しに使われた4桁の暗証番号などが書かれており、こうした詐欺グループが事件に関わった疑いもあるという。
捜査幹部は「出し子への報酬の額や指示の内容は事案ごとに異なっていて、統一されていない。しかし、これだけ大勢の出し子を集めており、背後に大きな組織が関わっているのは間違いない」と話している。【斎川瞳、川上晃弘】
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