10代の有権者は ネット情報に慎重

10代の有権者は ネット情報に慎重
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今月10日に投開票が行われた参議院選挙から1週間。新たに選挙権を得た18歳と19歳の有権者は、選挙についての情報の多くをインターネットを通じて得ている一方で、いわゆるSNSで発信された候補者や政党の情報に対しては比較的慎重に捉えていたことが、東京大学などの研究グループの調査で分かりました。
東京大学情報学環の橋元良明教授らの研究グループは、新たに選挙権を得た18歳と19歳の有権者を含む全国の有権者およそ1800人を対象に、選挙に関する情報をどのように得たかをインターネットを通じて調べました。

この中で、情報をどこから得たかについては、すべての世代の平均では、テレビが83.0%、新聞が52.6%、インターネットが37.3%となっていたのに対し、18歳と19歳では、テレビが80.4%、インターネットが50.9%、新聞が34.4%と、ネットと新聞の順番が逆転していました。インターネットから情報を得たという回答が50%を超えたのは10代の有権者だけです。

一方で、10代の有権者に信頼できた情報源を尋ねると、新聞が80.0%、テレビが67.9%だったのに対して、政党や候補者のウェブサイトが63.0%、政党や候補者のSNSが51.6%などとなっていました。10代のSNSへの信頼度はすべての世代の平均の55.1%を下回っていて、情報を比較的慎重に捉えている様子がうかがえます。

今回の調査結果について、橋元教授は「ネット上の情報は玉石混交ということを若い世代はよく知っていて、今回の選挙でも情報を冷静に見ている。その一方で、ネットだけで情報を集めると、自分と同じ意見にだけ目を向ける傾向がある。さまざまなメディアを通じて自分の反対意見にも目を向ける習慣を身につけてほしい」と話しています。

投票した19歳の女子大学生は

今回の参議院選挙で初めて1票を投じた19歳の女子大学生です。新聞はあまり読まず、ニュースなどはほとんどテレビやスマートフォンで見ています。今回の選挙にあたっても、情報源はテレビのほかインターネットの短文投稿サイト、ツイッターが主でしたが、「大勢の人がつぶやいている情報でも、これは違うんじゃないかなと思うものも見かけるので、情報の出どころを見たりして、信じられる情報かどうか判断しています」と話し、SNSで流れる情報を慎重に捉えていたといいます。

その一方で、投票先については、「争点に関するアンケートに答えると考え方が近い政党を教えてくれる」というインターネット上のサービスを参考にしたということで、「今回は選挙について調べる時間が十分取れなかったので、次は一つの情報源に偏らずにいろんなところから情報を集めて投票に行きたい」と話していました。