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未題

今後のための欠片を、願わくば届きますように。

せっかくだから、コーチングについてわかりやすくまとめてみたよ!

 我に返っちゃいけない気がする。今ここで我に返ると、恥に恥を重ね上塗りしてきた現実が一気に音を立てて崩れる感じがする。……なにがいけないんだろう?なにが足りないんだろう?もはやそんなことを考えるでもなく走りつづけないと、いつこの車輪が錆びつくかわからない。やはりどうにも健全ではない感じがするのだけれど、立ち止まるよりよっぽどいい。歪んでいるだろうか?

 きょう、妹のともだちが我が家へ遊びに来た。遊びに、と言っても大学のテストが近いということで、ふたり仲良くお勉強していた。わたしも妹のともだちとはともだちみたいなものなので(勝手に馴れ馴れしくしている)、きょうの記事を書き上げてからリビングで合流し、すこし混ぜてもらいお勉強した。
 なんだかこの記事を書き上げてからきょうは自分のなかの様子がすこしおかしくなってしまった気がする。
shurir.hatenablog.com

 どうやらふたりはスポーツ科学という講義で今、コーチングについて学んでいるらしい。そういえば大学時代わたしもコーチングを齧ったことがあったな、と思い出した。アメリカでは主流になっているみたいなはなしをそのときは聞いた気がする。要は夢の実現に向けて現実的にアプローチできる段階まで落とし込み、導いてゆくのがコーチングだと学生時代のわたしは認識した。

 コーチングの習得は、人間関係を良好に保ち、またお互いの相乗効果を生み出すためにも非常に有用なスキルだと思う。コーチング、という響きがいささか仰々しい感じを醸し出すけれども、とどのつまり相手が現時点で立ち止まっている理由を知るためのきっかけを与える、みたいな位置づけでよいのではないかと考えている。そんなにむずかしいことではなくって、みんながそれなりに日常のなかでもやっている相互作用のことだ。

コーチングの基本スキル

1.聴く
2.観る
3.伝える
4.褒める
5.質問する
6.提案する(アドバイス)

聴くとは

 簡単にみえてもっともむずかしいスキルだと語られている。元来、人間は相手の話は聞かず、自分の話をしたがる生き物だ。忙しくて余裕がないときなど特に、相手に対しそういう態度を取ってしまうことがある。大切なのは、自分自身が相手にとっていかに話しやすいにんげんであるか、ということだ。ここでこころを閉ざされてしまうと、その後の会話が成り立たなくなる可能性が高い。
 また、相手の発することばの客観的事実をただ認識するだけでなく、なぜ相手がそのことばを発したのだろう?というこころの動きまでをも感じ取る必要がある。言語とはあくまで内面を語るうえでの共通ツールにすぎない。相手が考えているもっともっと深い、形にさえできない感情にこそ、ほんとうに言いたいことが隠れているものなのだ。

観るとは

 相手がどんな状況にあるか、事態はどのくらい深刻なのか、今なにを考え、なにをしようとしているのか。或いは自分に対する信頼度、期待度、受容の度合いがここで判断できる。ことばで言うのは簡単だけれど、そう生易しいフェーズではない。個人的には、ひとと話すときにこころの距離感だけは常に見定めようと心掛けている。
 基本、相手が近づいたらその分だけ近づくし、離れたら自分もさっと離れるようにしている。じゃないと、傷つくし。というのは完全に個人的感情だけれど、要は相手にとっていかに心地よい関係性を築くかということが問われている。ここでそれなりの関係性が見い出せれば、聴く際に重要であった、相手にとって話しやすいにんげんとして認識してもらえるようになる。

ノンバーバルコミュニケーションの重要性

 メッセージと音声表現、つまり声にまつわる情報は、全情報の45%と意外に半分にも満たない。そのなかでも、音声のみのメッセージは7%で、抑揚などの音声表現情報は38%を占めている。なにを語るかより、どう語るかが大切なこともある。鈴木奈々さんをみてもらえばわかると思う。彼女は音声表現情報の発信力が凄まじいと考えられるだろう。
 さらに、それをも上回るノンバーバルコミュニケーション能力にも長けていると言えそうだ。こちらが残りの55%を占めている。アイコンタクト、身振り、手振り、表情。彼女が話すときの様子を思い出してほしい。だいたい、相手がいる場合にも物理的距離感により観ることは可能だ。この漠然とした全体の雰囲気として、いわゆるオーラがあるとかないとかで語ることもできる。

伝えるとは

 伝えるには三段階のフェーズが存在する。

 第一に、共感。これは相手の会話のなかでいちばん重要な部分をオウム返しにくりかえす行為だ。
①言っていることをようやく理解したとき
ex.「田崎さんですか?」「はい?」「田崎さんですよね?」「たさき…?」「田崎、です。」「ああ!田崎さんですね!(これ)」
②再度確認する必要があると感じたとき
ex.「お名前は?」「田崎です。」「かしこまりました。田崎様ですね。(これ)」
③驚きを示したとき
ex.「田崎といいます。」「田崎!?!?(これ)田崎ってあの田崎かよ!?」(いったいどんな田崎なんだ……)

 第二に、置き換え、要約。
①自分も同じきもちの場合、同感(共感)していることをはやめに伝える
→伝え遅れるといつの間にかすれ違いが起き、関係性を修復できなくなる可能性がある
②支援していることを伝える
→自身が相手の力になりたいんだという素直なきもちを伝える
③親近感を深める
→相手のきもちに立ち視点を共有することで、お互いの理解が深まり自ずと親しくなる

 第三に、フィードバック。
①自分のコメント、きもちを徐々に開示していく
→ひとり相撲ではお互いの関係が進展しないので、自身の考えが深まらない可能性がある
②理解を深める
→べつべつの価値観を共有することでのみお互いの理解が深まっていく
③支援関係を強化する
→お互いの不足分がどこにあるのか発見し、補い合えるところは補い合えるだけの関係性を築いていく

褒めることの重要性とそのむずかしさ

 これがめちゃくちゃ重要だと個人的には思っている。基本的にはにんげん、褒められてわるい気はしない。けれど、だからと言ってやたらめったら褒めても逆効果になる場合がある。相手を褒めるとき、それは本心であることが大切だし、無理して褒めても相手にはきちんと伝わらない。それじゃあ意味がない。

 以前、高校入学と同時に通い始めた塾のせんせいに、こんなことを言われたことがある。
君たちは選ばれた人間だ!君たちは天才だ!君たちはなんでもできる子なんだ!
 正直言ってめちゃくちゃにきもちわるくなってしまい、その後せんせいの授業を受けることが精神的に困難を極めた。そのあとすぐ、わたしはクラスから離れた。
 たぶん、東大めざそうぜ!みたいなハイレベルなクラスという位置づけがあったからかもしれないんだけれど、だからってそんな時代錯誤な選民思想があるだろうか?たしかに自分はやればできる!と奮い立たせることは大切だけれど、さすがにこれだとバランスがわるすぎる……と当時思った。
 まあ、これはわたしが高校受験をギリギリで通過したにんげんゆえの拒絶反応だったのかもしれないし、それまで受験でたいへんお世話になったせんせいが「おまえほんとばかだな!」って言いながら丁寧におしえてくれる超絶ツンデレせんせいだったから、単にそのギャップについていけなかっただけかもしれない。

質問するとは

 問題点を引き出そうとするのが目的であり、自分のやり方を押し付けるのでは決していないことを念頭に置く必要がある。
 大概、とまっているひと、なにに向かえばよいかわからないひとというのは、かなりの確率で自身のコンプレックスを無意識的に内面へ押し込んでいる。これは自己防衛としてそうしている確率が高いので、踏むと危ない。相手の拒絶反応をモロに引き出してしまうこともあり得るし、度が過ぎると矛先がこちらへ向かってくる可能性もある。
 また、問題点を浮き彫りにさせることと相手のこころの痛みを晒すことはまさに紙ひと重の作業だと考えたい。相手のことを大切に思っていないのなら、いっそやらないほうがいい。そのくらいの覚悟は要る。問題点を引き出すのは相手を丸裸にすることではない。まず、自分が丸裸になることだ。相手のこころの痛みを受けとめるということだ。そのくらいの気概が必要だ。
 また、丸裸になるということは自ずと自身のコンプレックスをも空気に晒すことになる。こうなると陥ってしまいやすいのは、自身の考える方向につい誘導尋問してしまうことだ。自分の思いどおりに相手が動いてくれないとカッとなったり、よくわからない怒りが込み上げてくる可能性がある。この感情ともうまく向き合うことで、相手との信頼関係を深めていけるのが理想だと言える。

提案する、アドバイスとは

 指示命令だとたいていのひとは嫌がる。「こうしてはどうかな?」と提案する形で入るととても良い。指示命令型のコーチングは、コーチの知識や成功体験を選手に対し押し付けているだけにすぎない。仮にその方法がコーチにとっては正しかったとしても、その選手の能力を最大限引き出すのに最善の方法かどうかはわからない。むしろ方向性を知っているのは選手自身であり、あくまで指針を導き出すのは本人次第なのだ

 また、資料ではA~Dと4つのカテゴリーに分けたひとそれぞれの褒め方を紹介している。自身がどのタイプにあてはまるか、或いは今関わりたいひとがどのカテゴリーの人間なのか、考えながら読んでいただけると想像しやすいだろう。

A.結果第一主義のクールなひと
・他人に悩まされるのがきらいで人間関係より結果を優先する
・強み:行動力、決断力がある
・弱み:鈍感で自説にこだわりすぎる
成果をストレートに褒める。課題と報酬を与えるのが有効。
・目標を明確にし、目標達成後の評価を明確にすると良い

B.常に注目されたいひと
・ひとに影響を与え、周囲を巻き込んでしまう。地道な作業がきらい
・強み:アイディアが豊富、想像力がある
・弱み:ひとの話を聞かない、飽きっぽい
活躍を期待し、注目していることを伝える、とにかく褒める!

C.合理的なひと
・正確さと合理性をなにより追求する。計画を立て慎重、臆病で失敗を恐れる
・強み:分析力、計画力
・弱み:変化に弱い
結果の質とプロセスについて褒める。より具体的に褒めよう。
・目的と内容をはっきりさせ、成果は具体的かつ正確に評価する

D.良いひとでいたいひと
・他人との協調を優先し、気配りが上手で忍耐強い。意見を言わない
・強み:協調性があり、聞き上手
・弱み:受身、八方美人
誰が褒めているのかに力点を置く
・成果をこまめに褒め、相談に丁寧に応じる

 「Bだな!
 突然言われたのではじめ、なんのことかさっぱりわからなかった。妹とともだちとが話していた感じ、わたしは完全にBタイプだということらしい。まあ、たしかにそうかもしれない。それでも、褒めまくるっていうのはどうなんだろう?
 たしかに社交辞令でさえ、わたしはすぐ真に受けて浮かれてしまうタイプではある。けれど「褒めることの重要性とそのむずかしさ」で書いたように、テキトーな褒められ方では好かないことがあるし、変な頼られ方をするとなんだか腑に落ちず、ぷいとそっぽを向く可能性もある。
 結局、にんげんがそうきれいに4タイプきっちり分けられるなんてありえない。だから、これらの方向性は加味したとしても、その都度相手がどういうにんげんかということについてお伺いを立てる必要がありそうだ。これには時間が必要だし、相手のことを相当思いやっていないとむずかしいかもしれない。けれど、そういうひとつひとつのやり取りがのちの深い信頼関係を結ぶのに非常に重要なのだ。

最後に

 いかがだっただろうか?コーチングというより、これはもはや相手とのコミュニケーションそのものを示していると言っても過言ではないだろう。とはいえ、こうして学術的に体系化されるとよりわかりやすくなるのは明白だし、わたし自身、大学を卒業し今さらながら“学ぶ”ということの重要性を再認識する良き機会になったと思う。
 これまで学術書はあまり読まず、小説や漫画など想像の世界だけに浸ることが多かったのだけれど、今後はすこしずつ物事の論理性についても学んでいくとよいかもしれない。伝統とか、格式とか、廃れずに形が残ってきたものというのはそれだけで、それなりの意味が含まれることをよくよく意識する時期が迫ってきたのだろう。では、そういう機会があればまた今度。