[PR]

 モンゴル・ウランバートルを訪問中の安倍晋三首相は15日、中国の李克強(リーコーチアン)首相と会談した。南シナ海での中国の領有権主張を否定する12日の仲裁判決を受け、安倍首相は法に基づく紛争の平和的な解決を求める日本の立場を伝えた。だが、李首相はこれに反発し、両首脳の主張は平行線に終わった。

 安倍、李両首相による首脳会談は昨年11月にソウルで開かれて以来、約8カ月ぶり。アジア欧州会議(ASEM)首脳会合の合間に約35分間行われた。

 日本政府の説明では、安倍首相は南シナ海問題で懸念を伝え、「我が国は従来、法の支配のもとで紛争を平和的に解決していくことの重要性を指摘してきた」と語った。安倍首相は中国が進出を図る東シナ海問題にも言及したという。一方、中国国営新華社通信によると、李首相は安倍首相に「南シナ海問題について、日本側はあおり立てたり干渉したりすべきではない」と述べたという。

 両首脳は世界経済についても意見を交わした。安倍首相は「経済面での連携を強化し、日中ハイレベル経済対話を早期に開催したい」と提案。李首相は「日中が協力し、金融危機が再来しないよう対応したい」と応じた。両首脳は戦略的互恵関係を尊重し、日中関係を前進させることでも一致した。(ウランバートル=山下龍一、西村大輔