電ファミにて私が執筆中の連載、「なんでゲームは面白い?」の二回目で『FF』について語ったのだけど、その記事でもちょろっと触れているが『FF』シリーズの一大転換ポイントはダンジョンにセーブポイントを追加し、ダンジョンの難易度を大幅に下げた時だと思っている。
この記事では主にダッシュとジョブチェンジシステムについて語ったのだけど、その後より当時のRPGシーンが如何にダッシュを導入していったのかについて調べていったらまた面白い事実がわかったので、そのことは電ファミの連載かこのブログででも触れることにする。
ダンジョンにセーブポイントが追加されたの『FFⅣ』からであるが、直接そのことを指示したのは誰だろうと長年疑問に思っていたのだけれど、最近発売された本に、セーブポイントの追加を指示した張本人の証言が載っていた。
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『FF』シリーズの最大の転換点(と自分は思っている)、ダンジョン中のセーブポイントの追加を進言した人物、それは少年ジャンプの編集者、鳥嶋和彦である。彼のインタビューでの発言を引用しよう。
ー『ジャンプ』は『FF』シリーズとの縁も深かったですね。生みの親である坂口博信さんとのお付き合いはありました?
鳥嶋 坂口さんとは当時週1回飲んでたし,今に至るまで飲んでるね。直前に、僕はよそで『ドラクエ』と『FF』のどっちがすごいという大議論をしていたの。その余韻があるときに坂口さんと会ったから、ここぞとばかり『FFⅢ』の悪口を言ってね。最大の問題は二つで、1つはダンジョンに入ったらセーブができないこと。それからキャラクターの書き方に難があって、ちょっとセリフがわかりにくいし、独りよがりな感じがあった。申し訳ないけど、これでは『ドラクエ』を抜けないって言ったと思うよ。
電ファミでのインタビューでもそうだったが、まあ歯に衣着せぬとはまさにこのこととでも言うような発言がこの前後も続くのだが、それは直接書籍を買って読んで欲しい。それにしても改めて鳥嶋和彦という人物が、『FF』シリーズが国民的RPGへと舵を切って行く上で非常に重要な役割を、ゲームの内容に及ぶレベルで担っていたことがよくわかる。
この人が居なかったら『ドラクエ』も生まれていなかっただろうし、『FF』が『ドラクエ』に匹敵する存在になることもおそらくは無かっただろうし、傑作、『クロノ・トリガー』も発売されることは無かっただろうことを考えると、どんだけマシリトの掌の上で自分の青春時代が転がされていたんだろうかと圧倒されると同時に、ここまで明確に意志を持って我々に面白いゲームを送り出す黒幕みたいな人物がはっきりといたっていう事実になんだかとっても嬉しくなるのである。