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【社説】

都知事選告示 試される選ぶ側の眼力

 舛添要一氏の辞職に伴う東京都知事選がきのう告示された。人気投票に流されることなく、今度こそ、都政のかじ取りを委ねられる本物のリーダーを選ばねばならない。試されるのは都民の眼力だ。

 首都の顔選びは、この五年余りで四度目となる。石原慎太郎氏をはじめ、任期途中での降板が三代も続いたからだ。知事の任期は本来四年。異常極まりない事態に終止符を打たねばならない。

 猪瀬直樹氏と舛添氏は、政治とカネの問題で信頼を失い、都政を混乱させた。あらためていう。真剣、誠実、清廉潔白はリーダーの必須条件である。

 立候補したのは、ジャーナリストの鳥越俊太郎(76)、前岩手県知事で元総務相の増田寛也(64)、自民党の前衆院議員で元防衛相の小池百合子(64)の三氏ら二十一人。

 政党支援の枠組みをみると、民進、共産、社民、生活は鳥越氏を、自民、公明などは増田氏を推す。参院選一人区とほぼ同じ与野党対決の構図が持ち込まれ、安倍政権の是非も同時に問われよう。

 自民の援軍を欠く小池氏は、かえって組織の束縛から逃れ、フリーハンドを得たといえるかもしれない。野党票の集約を狙い、元日弁連会長の宇都宮健児氏が出馬を辞退した経緯と併せ、政党主導の論理への疑問もかき立てよう。

 衆参両院では、憲法改正発議に必要な三分の二の議席を改憲勢力が握るに至った。緊迫する国会情勢を遠景にみての首都決戦だ。

 首都の顔にふさわしい資質や能力を、候補者が持ち合わせているかどうかは、公党の折り紙付きかどうかや知名度とは無関係だ。歴代知事から学んだ教訓である。

 スウェーデンの国家予算に匹敵する十三兆円規模の予算。十六万六千人に上る職員。千三百六十万人の都民の命と暮らしを守るために、それらを切り盛りする責任の重大さは並大抵ではない。

 東京には大きく生活都市、経済都市、国際都市の三つの顔があろう。優先順位をどうつけるのか。

 高齢者の介護や医療の仕組みを見直さねばならない。約二十年後、都民の三人に一人は六十五歳以上になる。保育所に入れない待機児童の解消や、貧困と格差の是正も待ったなしである。

 東京は日本経済の心臓部である半面、一極集中が少子化や地方の疲弊を招いている。その視点からも、負の遺産を残さない五輪・パラリンピックが求められる。

 トップ退場の愚を繰り返さない。それは都民の責任でもある。

 

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