2016-07-15

カルボナーラ構造と組み立て方

ペペロンチーノと並んで、物議を醸し出すのがカルボナーラ

最近WEBメディア適当記事をあげてカルボナーラ警察摘発されていたことが記憶に新しい。

でも、ブコメ読んでる人からすれば「何が正解なの!?」と混乱してしまうよね。

というわけで、カルボナーラの組み立てを、できる限り分解しながら考えてみる。

【人はカルボナーラに何を求めるのか】

料理はすべて、最終ゴールになにを求めるかで作り方が変わる。

最初に出来上がりのカルボナーラ像を意識しておくことが非常に大事

具体的にカルボナーライメージとしては

チーズの旨味はどれくらい効いてるとよいか

生クリームを入れるか?全卵に挑戦するか?

・仕上がりのテクスチャさらさらからドロドロのどの辺りを狙うか?

・卵はどれくらい効かせるか?追い卵黄はするか?

黒胡椒パンチはどれくらい欲しいか

・買い物しても最高系を目指すか、妥協して家の材料で作るか?

などなど。作る前に仕上がるイメージを考えて、それぞれに適当料理法を行うと良いと思う。


【作り方】

カルボナーラの作り方は、材料の配合や分量などは千差万別あるが、基本的な動きは以下になる。

1.パスタを茹でる

ソースが濃厚なので太麺が良い。細麺だとソースが絡みすぎて重たいし、余熱で麺に火が入りすぎてしまう。

パスタの絞り口がブロンズダイス(ディチェコ)か、テフロンダイスバリラ)かは好みによって分ける。ブロンズダイスの方が表面がざらついているのでソースの絡みが良くなる。さっぱり食べたければテフロンダイス

カルボナーラ用の麺を茹でる時の塩は1%。徹底的にアルデンテにこだわりたい時は3%の塩分濃度で茹でてお湯ですすぐ方法があるが、カルボナーラのようなクリームのもったりソース場合は、そこまでアルデンテにこだわらなくて良い(というか好みだが私はアルデンテよりもしっかり茹での方が美味いと思う)ので、そのまま美味しい1%で茹でる。

・茹で時間は通常のトマトソースよりも和えてからの加熱が少ないので、表示時間の30秒〜1分少ないくらい。

2.パンチェッタなどの加工肉をフライパンで焼き、ゆで汁(orお湯)を入れる

・表面にしっかり焼き色をつけてメイラード反応で旨みを引き出す。

フライパンに何もしかないよりも、軽くサラダ油などを入れた方が肉から余分な脂が出やすい(脂は油に融解するため)

パンチェッタ、グアンチャーレなどを使うと仕上がりに燻製香がつかなくなる。カルボナーラ自体を卵とチーズのソリッドな料理なので燻製香は本来不要。ただし燻製香の効いたカルボナーラが好きであれば、ブロックベーコンでも良い。薫香つけたくないけど、ブロックベーコンしかない場合は一度茹でて燻製香を抜くという手法もある。

パンチェッタよりもグアンチャーレの方がコクが強く、この料理にはよくあう。

フライパンに流れた油は基本的には使わない。肉の油は「臭い」や「雑味」が出やすい。また、ただでさえ濃厚なソースに肉の油は余計であるキッチンペーパーできっちり拭き取った方が美味しいカルボナーラになる。

・加工肉にしっかり火が入ったら、最後にゆで汁かお湯をお玉1〜2杯入れて2〜3分程度、中火で軽く煮る。これは乳化の意味合いもあるが、肉の旨みをソースに移すため。加工肉の塩味商品によってマチマチなので、しょっぱいものを使う場合はゆで汁を使うと塩気が強くなりすぎるのでお湯を入れる。

・味の調整の仕方は、まずはゆで汁を1杯入れて軽く煮て、味を見てしょっぱかったらお湯か水を入れると良い。煮た汁の味が丁度良い塩分になったら完成。火を止めておく。

3.すりおろしチーズ、卵、生クリームなどをボウルで混ぜて卵液を作る

胡椒の辛味が欲しい場合はここで入れる。胡椒香りは熱に弱く飛びやすいので、仕上げにもかける。

生クリームか全卵か。生クリームを使う最大の理由は、卵の熱凝固をマイルドにするため。カルボナーラは「チーズはしっかり溶かす」けど「卵は固めない」というラインの温度帯を作ることが最も大事なこととなる。具体的には「チーズの溶ける温度 55度〜65度以上」「卵白が固まり始める温度 60度〜」「卵黄が固まり始める温度65度〜」「卵黄・卵白が完全にゲル化する温度 70度〜」「卵黄や卵白が完全に固まってバサバサになる温度80度〜」となるので、全卵でトロッとしたクリーミーな濃厚ソースを作るためにはソースの温度が65度〜70度で止めることが好ましい。(しかも、たんぱく質は急激に変化するので1度単位テクスチャがかなり変わってくる)

・また、卵黄プラス生クリームをすることで卵黄の熱凝固点が上昇するため、生クリームの分量を増やせば増やすほど熱のコントロールがしやすくなる。

・卵の旨味は「卵黄」が鍵になるので、「卵白」や「生クリーム」を加えすぎると卵の旨味が減ってしまう。

卵白と比べ、生クリーム+卵黄の組み合わせのカルボナーラは、卵白の熱調整のファクターが減る分だけ簡単になるし、時間が経った時もトロッとした状態が保ちやすい。生クリーム自体が旨味の強い食材という点もあり、一般的に広く支持されるようになったと思われる。

チーズの美味しさを食べる料理なのでチーズは極力こだわりたい。パルジャミーノレッジャーノ、ペコリーノロマーノ、グラナパダーノあたりから好きなものを選ぶと良い。一般的には熟成年月が低い方がマイルドミルクっぽい味になる。実はこれ2〜3種混ぜて使うと更に美味しい。パルジャミーノはとりわけ旨みが強いので、パルジャミーノ+ペコリーノロマーノorグラナパダーノがおすすめ

4.茹で上がったパスタパンチェッタを煮たフライパンに入れる

湯切りをしたパスタパンチェッタフライパンに入れて弱火にかける。

・ぐるぐる回してパンチェッタ煮汁を麺に吸わせるイメージで2〜30秒かき混ぜる。

・この時、パンチェッタ煮汁飛ばし切らないのが大事飛ばし切ると、フライパンの温度が100度以上に高くなるため卵液入れた時に一気に卵焼き化して失敗する。

5.卵液をパスタの入ってるフライパンに入れて、火を入れる。

・流し込むとパスタフライパンの熱で卵液が熱いところから一気に固まるので、すぐによくかき混ぜる。

・おそらくこの時点ではトロリとするよりもシャバシャバだと思うので、加熱していく。

・コンロを弱火にかけ、よくかき混ぜながら5〜10秒加熱。火から離してかき混ぜるをとろみが出るまで繰り返す。(チーズを溶かしつつ、卵黄をゲル化させる作業

・とろーーっとしてきたら、完成。皿に盛り、黒こしょうをたっぷり振って完成。

6.冷めると硬くなるので早く食べる。

チーズは温度が下がると固まるため温かいうちに、できるだけ早く食べたいところ。

生クリームをつかってあげることで、固まりにくくはなる。

盛る容器は事前にお湯たレンジで温めておくことも大事

材料の分量比考察

・卵黄:卵白 or 卵黄:生クリーム比率

まず、一人分の分量、卵黄(M玉18g)を基準に考える。卵黄、卵白生クリームはそれぞれが1:1:1になるように調整する。

例えば全卵1個だとM玉で(卵黄1:卵白2)の重さなので、卵黄を1個足してあげると良い。

生クリームを使う場合は卵黄M玉1個だと大さじ1強入れてあげると重量比が1:1なるので丁度いい。

卵白生クリームの分量をこれより減らすと、温度調整が難しくなるし、増やすと味がぼやける。

このあたりは個々人のテクニックもあるので、微調整しながら色々と試してほしい。

・卵黄:チーズ比率

次にチーズは卵黄1に対してチーズ2が適量。

分量の出し方は、パルミジャーノなどのハードチーズは3%〜程度の塩分濃度。

卵液自体塩分濃度が美味しい塩分量になるためには

(チーズXg×0.03)÷(卵黄18g+生クリーム18g+チーズXg)=0.01〜0.014程度(美味しいと感じるのが0.9%の塩分濃度で、今回はソースなのでそれより少し高め)

となれば良いので、チーズの分量は卵黄の約2倍の36g程度が適量となる。(薄味が好きならば多少減らしても良いと思う)

パンチェッタの分量

これは好みで入れて良いが、多すぎると肉の味が強すぎたり、しょっぱくなりやすい。

個人的な好みだが卵黄の2〜3倍程度の分量が妥当だと思う。

これを読んで、作ろうという気になる人が居るかは怪しいが、ぜひカルボナーラについて思いを馳せてほしい。

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