27年前に発売が断念されたNES(海外版ファミコン)用ゲームのプロモーション動画が最近「再発見」され、レトロ(クラシック)ゲームファンの間で話題となっています。
これは、腕にはめるグローブ型コントローラー「パワーグローブ」に対応した『The Terror of Tech Town』という作品の動画。パワーグローブでの操作を前提とした先進的な内容などは、27年の時を経ても驚く点があります。
さて、パワーグローブとは、日本では1990年にパックスコーポレーションから販売されたグローブ(手袋)型の周辺機器。特徴は当時としては非常に先進的だった、腕の位置を感知できるコントローラーだった点です。
グローブをはめて手を動かすと、TV上部に取り付けたセンサーが動きを検知、コントローラーの動きに変換。腕を動かすとその方向にキャラクターが動き、手を開閉すればボタンを押したことになるという、未来的な操作でゲームを遊ぶことができる、という具合。
その先進的な思想は多くの人の心を掴んでおり、2014年にはドキュメンタリー映画『THE POWER GLOVE.』の制作プロジェクトがクラウドファンディングサイトに登場している辺りからもインパクトの強さが伺えます。
『The Terror of Tech Town』は、1991年頃に発売される予定だったゲーム。メカニカルな手を操作し、迷路の中に落ちているパーツを拾って仕掛けを解いたり、敵を倒すといった内容です。
同時発表されたパワーグローブのプレスキットによれば、迷路を抜け、時空間を越えて旅するというストーリーだったそうです。
諸般の事情から発売されなかった同作ですが、『Defender of the Crown』などの作品で知られるプログラマー兼アーティストのJames D. Sachs氏からは、同氏がコモドール64用に作成した『Time Crystal』との類似が指摘されています。
さて、The Terror of Tech Townの動画は、ゲーム雑誌『Game Player's magazine』が発行したビデオ『Game Player's Gametape Vol. 1 No. 9』に収録された、パワーグローブと合わせたPR動画の中に収録されたものですが、このPR動画自体も現在ではかなり注目できるもの。
同ビデオは「グローブマスター」なる青年が、ゲーム少年にパワーグローブの魅力を伝える......という内容ですが、それが当時の雰囲気を伝える、現在では数少ない資料ともなっているため。
当時NASAが開発していたHMD+グローブ式VRシステムの映像も収録されているなど、なかなか興味深いものとなっています。
ビデオにはパワーグローブを使って既存ゲームを遊ぶ時の解説も含まれており、グローブを着けた手の動きで『ゼビウス』や『マイクタイソン・パンチアウト!!』をプレイする様は2016年の今から見ても未来的といえるでしょう。
当時は残念ながら理解を得られなかったパワーグローブですが、現在でもその先進的な開発思想にシビれたファンの間ではアツいアイテムとなっています。昨今はVRの関係もあってモーションコントローラーが注目されているタイミングだけに、ともすれば再評価されることもありそうな雰囲気です。