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 南シナ海での中国の権利を否定した常設仲裁裁判所の判決に関連し、中国政府が外交ルートで日本の対応に「不満」を伝えていたことがわかった。日中関係筋が14日、明らかにした。

 12日の判決を受け、岸田文雄外相は「当事国は今回の判断に従う必要がある」との談話を発表。中国外務省は、陸慷報道局長名で反論コメントを出し、「日本は南シナ海問題に介入し、騒ぎ立てることをやめるよう望む」と反発していた。これに関連し、在北京日本大使館は14日、日本や米国、フィリピンなどの大使館周辺で厳重な警備態勢が敷かれているとし、デモ警戒も含め在留邦人や渡航者に注意を呼びかけた。

 一方、陸氏は同日の定例会見で、「判決は拘束力がある」などと外相らが発言したとされる豪政府に対しても同様の申し入れをしたことを明らかにした。陸氏は「豪指導者らの誤った発言に断固反対する。豪州は南シナ海問題の当事国ではない。発言を慎み、中豪関係を損なういかなる事もしてはならない」と強く牽制(けんせい)した。(北京=倉重奈苗)