連続テレビ小説 とと姉ちゃん(89)「常子、花山の過去を知る」 2016.07.15


(君子)精のつくものね召し上がって頂けるといいんだけれど。
そうですね。
(花山)これも駄目。
駄目。
駄目。
ここも駄目。
(常子)ほとんど全部じゃないですか。
ああほとんど駄目だからな。
(美子)あっこの挿絵は悪くないですよね?悪い!
(鞠子)私の文章だっていいところはあるんじゃないですか?君の文章で使えるのはここだけだ。
「洋服」って単語だけじゃないですか!ほかは全く使えん!そんな…。
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」これ以上はインクの無駄だな。
それとそこにある在庫を値下げして売るつもりならやめておけ。
紙屋に引き取ってもらった方がマシだ。
そんな言い方しなくても…。
「駄目だ駄目だ」ばかりじゃなく具体的にどこが悪いのか言って頂けませんか?それはこれからだから。
これから教えて頂けるんですよね?よしいいだろう。
一度しか言わないからよく聞け。
はい!
(2人)はい。
まず5メートルの円柱が並んで2本立っている。
ん?その2本の上部に更に2本の円柱が平行に備え付けられている。
横向きで備え付けられた円柱の上部の方が長く下部は上部よりも短い。
さあ今言ったものが何か教えてくれ。
一体何の話を…。
グズグズするな。
さっさと答えんと帰るぞ!すみません。
分かりました。
お待ち下さい。
5メートルの…。
円柱ってまるい…まるい柱。
全然頭に入ってこなかった。
言葉だけで説明されても何が何だか…。
まるい柱でしょ。
5メートル…5メートルが横?あの…もしかしてそれって鳥居ではないですか?そのとおり!よくぞお分かりに。
アハハ!どうぞ。
ありがとうございます。
確かに円柱に2本の柱…。
言葉だけでどれだけ説明されてもなかなか頭に入ってくるものじゃない。
だがこうして絵で見れば一目で分かる。
つまり文字だけではなく挿絵を使って表現しろ。
視覚に訴えるんだ。
(三姉妹)なるほど…。
君たちはこの雑誌で鳥居を口で説明するようなまねをしていた訳だ。
いかに愚かな事をしていたか。
お絵描き娘これで分かったな?分かりました。
挿絵をもっと増やせばいいんですね?まるで分かってない!えっ?君の単調で面白みのない挿絵を増やしていい訳がないだろう!ひどい…。
おぉ泣け泣け!あ〜よっちゃん我慢して!常子君鞠子君立ちなさい。
(2人)えっ?早く!帰るぞ。
はいはいはい。
角度をつけたり立体的に描くんだ。
あ…。
君が描いた挿絵は正面から描かれたものばかりだった。
だがそれでは動きがなく服のよさを十分に伝えられない。
あらゆる角度から視覚に訴えるんだ。
そうか…。
よしそれでは文学娘!はい。
この挿絵に見出しをつけてみろ。
えっ?モタモタするな!分かりました!
(一同)お〜。
ほう…100点。
すごい。
すごい!1,684点満点だ!この雑誌は小説を読みたい人が買うんじゃないだろ!そんな叙情的な文章は必要ない!分かりやすく簡潔である事が大事なんだ。
では花山さんが見出しをつけるとしたら?そのくらいでいいのか…。
確かに分かりやすい。
これからはそんな感じの言葉でお願いね。
うん。
よしそれではいよいよ次号に向けての作業を…。
待て待てそうはいかない。
えっ?まだ分からんのか。
まだ一番の問題点が解決してないだろ。
一番の問題点?それを改善せねば…この本の二の舞になるぞ。
君たちは大きな事を見落としている。
どんな服を雑誌に載せるかばかり考えているがそれよりも大事な事がある。
それって一体…。
帰る。
(一同)えっ?それを見つけない限り進める事はできないな。
今日はこれで失礼する。
は…花山さん…。
見送り結構。
そんな時間があったら考えたまえ。
服よりもまず大事なもの…。
服よりもまず大事な…。
あ〜気になってお買い物に集中できない。
私も。
衣服に関する雑誌で服よりも大事なものって本当にあるのかしら?禅問答みたいで考えれば考えるほど答えが分からなくなるね。
(水田)あっこんにちは。
あっ。
水田さん。
先日は妹がお世話になりました。
(水田)あっいえ大した事じゃ…。
喜んでもらえてうれしいです。
そんなにたくさんの服を抱えてどうしたんですか?ああこれですか?さっきまで組合の金を徴収していたんですけどお金を払えない人が着ていた衣服を代わりに渡してきたもので。
着ていた服を?お金がないと着ている服を一枚ずつ剥いでお金や食べ物に換える。
いつか下着だけしか残らないんじゃないかって心配になります。
あ…。
えっ?それですよ。
は?「それです」ってまさか服よりも大事なものが分かったの?多分。
(花山)…で答えは?服よりもまず大事なものそれは…下着ではないでしょうか。
そもそも洋服を着たいと思っても下着がなければ着られません。
洋服を着る際の大前提です。
ですがそれを忘れてすてきな洋服の作り方を説明しても手が出せない方がいらっしゃるのではないでしょうか。
つまりまずは下着の作り方から載せる必要があった…。
違いますか?ご名答!これまで着物を着て生活していた人は洋服用の下着を持っていない人も多い。
かといって外で買うにも高価で手が届かない。
どうやって下着を作り繕うのか。
それを伝えれば洋服を着たい人が安心して着られるという訳だ。
(3人)ああ…。
(君子)なるほど。
乳バンドなんて作らないものねえ。
(笑い声)ん?乳バンドって…。
ねえ。
今どきそんなふうに言いませんよ。
そうなの?はい。
ええ。
今は「ブラジア」というのが一般的です。
ブラジア…。
(花山)ええ。
あの…どうして花山さんは女性の洋服に詳しいのですか?知識だけでなく女の人の目線もお持ちなような気がします。
うん。
帰る。
えっえっどうして?帰るといったら帰る!あっでもほら今から下着の作り方について話し合うんじゃ…。
それは君たちでやってくれ。
いくら私でも羞恥心というものはあるんだ。
じっくりと下着を研究し記事にまとめなさい。
それができたらまた呼びに来なさい!
(戸の開閉音)全くもって迷惑な話だ!
(五反田)えっ?お前がたきつけたんだろ?おかげで大変だ。
素人三姉妹に一から教えねばならん。
ハハハ…だけど断る事もできたんですよ。
花山さんも何かに引かれて参加してるんじゃないんですか?押し切られただけだ。
そうですかねえ…。
いいですよね常子君。
まっすぐで何でも吸収しようとするから教えがいあるんじゃないですか?空っぽなだけだ。
空っぽだから何でも入っていくんだろう。
まあ長女よりも妹たちの方が頑固かもしれんな。
不思議な3人だよあれは。
姉妹なのに親子のようでもありでも妹も姉を守ろうともする。
「とと姉ちゃん」ですからね。
あぁ気になっていたんだ。
それはどういう意味のあだ名だ?「とと」父親代わりという事らしいです。
十やそこらで父親を亡くして以来常子君は家長として生きてきたそうです。
そうか…。
フッ…まあ母親の力も大きいのだろうな。
女だけで出版社を作るなんて普通は反対するだろう?これまでも止める事なく見守る事で娘たちが伸び伸びと生きてきたんじゃないか?フフフ…。
彼女たちの事褒めてませんか?どうですか?もう一度ペンを握る気にはなりましたか?うん…。
まあ合格点をあげよう。
(一同)はぁ…。
(せきばらい)これを作るのに誰かの下着を犠牲にしたのならすまなかった。
いえ。
ではこの下着の記事を中心に次号を組んでいきましょう。
(美子鞠子)はい。
はい。
常子たちが花山と苦心の末に作り出した「スタアの装ひ」第二号は…
想像以上の反響で売れていったのです
1冊頂戴!押さないで下さい!ありがとうございます。
順番にお求め頂きます!「スタアの装ひ」です!あ〜ありがとうございます!2016/07/15(金) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん(89)「常子、花山の過去を知る」[解][字][デ]

花山(唐沢寿明)が常子(高畑充希)たちの雑誌作りに参加する。喜ぶ常子たちだが、それもつかの間。前作の『スタアの装ひ』にどんどんダメ出しをされ、三姉妹は閉口する…

詳細情報
番組内容
花山(唐沢寿明)が一度きりの約束で、常子(高畑充希)たちの雑誌作りに参加することになる。喜ぶ常子たちだが、それもつかの間。花山は『スタアの装ひ』にダメ出しをしていく。美子(杉咲花)の挿絵もダメ。鞠子(相楽樹)の文章に至っては単語しか残らない始末。簡潔に、なるべく挿絵で表現しろと指導する花山に、素直に従う常子たち。早速作業にかかろうとすると、一番肝心な核がまだだと指摘され、常子たちは顔を見合わせる…
出演者
【出演】高畑充希,木村多江,相楽樹,杉咲花,及川光博,伊藤淳史,唐沢寿明,【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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