オイコノミア「ホントに必要?学歴の経済学」 2016.07.15


(テーマ音楽)
(又吉)「お前も高校2年生。
いよいよ来年は受験だな」。
(息子)「何でパパは絶対大学に行けっていうの?」。
「お父さんは大学行かれへんかった。
だからお前には行ってほしいんや」。
「でも僕には僕の夢があるんだ。
パパを超える芸人になるのに大学教育なんか邪魔なんだよ!」。

(又吉)「でもな…」。
何で親の言うこと聞いてくれへんのや。
声がちょっと小さいからかな?今日のテーマはズバリ「学歴」!そもそも学歴って本当に必要なんでしょうか?中学校も出ていないのに総理大臣になった人もいれば世界に名だたる大企業を興した人たちもいます。
かの偉大な発明王エジソンに至っては小学校に3か月通っただけだとか。
それでも我がこととなると学歴は高いほうがいいと考えてしまいがちなのはなぜでしょうか?学歴は私たちに何をもたらしてくれるのか?経済学でひもといてみましょう。
夜の街を疾走するのは本日のゲスト宇治原史規さん。
京大法学部卒!芸能界有数の高学歴の持ち主です。
「立派な学歴があるのになんで芸人やっているんですか?」って聞かれることありませんか?
(宇治原)メチャクチャありますけどね。
まあ最近はそこまででもないですけどまあこの仕事始めた当初は結構いやもう…やっぱり…。
ご両親はどうでしたか?まあ芸人になるって言ったときは猛反対でしたけどね。
特に大阪の場合はね何かこう……って言われたりとかいう感じでしたからね。
それを押し切り高学歴をひっさげて芸人の世界に飛び込んだ宇治原。
その学歴を経済学がどう迎え撃つのでしょうか?こんにちは。
あっよろしくお願いしま〜す。
お願いします。
(安藤)今日はどうもありがとうございます。
お願いします。
お願いします。
(チャイム)いつの間にか芸人でも大学を卒業してからなるという人が増えたんですけど僕がデビューした17〜18年前は珍しかったんですよ。
ああ。
まああの僕からすると高学歴の芸人が増えないほうがいいんですけどね。
(笑い声)珍しかったですよね。
20年ぐらい前って。
う〜ん。
まあ増えてくるぐらいの段階やったんかなぁ。
最近聞いたらでもホンマに半分半分ぐらいのイメージ。
そうですね。
ああ。
東大の子もね。
いますよね。
ねえ。
う〜ん。
この数字ちょっと見ていただきたいんですけども大学進学率が51.5%。
これは大学の学部に行った割合ですね。
ちょうど2人に1人をちょっと超えたぐらいという状況な訳です。
この数字どう思いますか?いや多いと思いますね。
大学行かない人のほうがもう少数派になってしまったと。
はい。
大学っていうとねかつては最高学府と言われ学士様なんていう言い方もあったわけで高等教育の場という感じだったんですけども最近は普通に行くものという感じみたいですね。
宇治原さん名門大学を卒業されてますけどそこからどうして芸人になられたんですか?僕の場合はねちょっと逆というか高校の時相方が同級生で芸人やろうかという話になってそこから大学に行ったんですよね。
でまあ芸人になった時に何となくこうひとつ触る部分というかいじられる部分があったらば便利かなということでうちの相方が「お前勉強得意やから京大行ったら芸人になった時何か言われたらおいしいんちゃう?」みたいな話があってああそれやったら京大行くわということで。
だから僕芸人になるために京大行ったんですよ。
そうなんですか。
そうそう。
僕らが思ってるのと逆なんですね。
そうそう。
だから「何で京大行ったのに芸人になった?」ってよく聞かれるんですけどいや芸人になるの決めてから京大行ってるから。
はいはい。
別にそこで何か大学行ってから考えたんじゃないんですよ。
それで行けるのがすごいですけど。
更にカッコいいですねこれは。
メチャクチャカッコいいでしょ。
ご本人いやアハハハハッ!でもそらもう必死で勉強しましたよ。
その代わり。
入るためにはね。
もちろん。
へぇ〜!そこで心は動かなかったんですか?あっ僕がですか?はい。
いや僕はなかったですね。
それは高校の時からもう決めてるというのもありましたけど。
それにしても大学進学を志すにはそれなりの理由があるはず。
まあひと言で言えば進学すると…選択肢が増える。
こういうことだと思うんですね。
例えばこちらご覧いただきたいんですけれども。
恐らくですね大卒でできる仕事の範囲と高卒でできる仕事の範囲といったらどちらでもできる仕事もあれば例えば大学に行ってないとできなさそうな仕事もありますよね。
はい。
これに対して例えば早い段階で高校を出た段階でまたは中学の段階で働き出して修業をしたほうがうまくできそうな仕事もあるわけじゃないですか。
ああ!それもあるんですね。
でもどちらかというと大学まで行ったほうがよりできる仕事が広がると。
円がだいぶ大きいですもんね。
はい。
まあ例えば大学の教員になるというのは。
はい。
大学に…。
行かないと。
でもそうじゃないんですよ。
えっ!?例えば中学校までしか出てないけれども東京大学の先生になった人もいますし。
へぇ〜!はい。
ですが例えば高校とか中学校とか小学校の先生これはやっぱり教員免許が必要ですから基本大学に行ってないとできない。
そうか。
逆にそっちのほうができないんですね。
大学の先生のほうは行かなくてもできるんですね。
そうなんですね。
これが不思議なとこなんですけど。
この高卒でしか出来ない仕事というのもあるんですか?そうですね。
例えば高卒でしか出来ないというよりは高卒でやったほうがより有利なものってあるかもしれないですね。
例えばプロのスポーツ選手とか本当に一線級で活躍する人はもう高校を卒業するぐらいの段階でプロに行ってしまう。
ああ。
舞妓さんとかも高卒でももう間に合わないんですよね。
もうちょっと早くないと。
宝塚歌劇団とかね。
ああそうですね。
割と早く入って長くやったほうが修業が早かったほうがいいとか。
う〜ん。
そうか。
だから修業するような仕事とかは割と早く始めたほうが有利かもしれないという可能性が高いということですよね。
はい。
そのとおりですね。
じゃあ何で大学に行きたいと思うのか?その理由をちょっと考えてみましょう。
はい。
まずですね日本の企業は初任給から高卒と大卒で給料違ったりしますよね。
厚生労働省の調査によれば平均の初任給は大卒で200,400円に対して高卒で158,800円。
その差は4万円以上!これってまだ一日も働いてない新入社員なのに「なんで給料違くするの?」と。
高卒の人でも大活躍するかもしれないし大卒の人でもあれっていう人がいるかもしれない。
まあね僕らはね一緒ですからね。
はい。
又吉は大学行ってない?行ってないです。
はい。
僕は行ってますけど最初のギャラ一緒ですもん。
一緒ですね多分舞台の。
一番最初に舞台立ったらね。
はい。
500円じゃなかった?500円でした。
あれほんで源泉徴収取るでしょ。
はい引かれますよねちゃんと。
税金ね当たり前ですけども1割引きますから。
はい。
明細に「450」って書いてあって。
はい。
それが最初ですよね。
最初それですよね。
はい。
でも一般の企業では高卒と大卒で給料の違いがあるような設定をする場合があるわけです。
経済学ではいくつか説があるんですが2つ大きな説があります。
なぜ大卒だと高い給料が支払われるのか?1つ目の説が「人的資本論」です。
人的資本とは人間の能力や技術を資本と捉える考え方。
大学に通った人間は4年間知識や技術を蓄積しているのだから会社に利益をもたらすことを期待できるというわけです。
人的資本を理解するために病院を例に考えてみましょう。
A病院もB病院も同じ最新の設備を備えているとします。
A病院B病院。
はい。
A病院はとても技能が優れた神の手みたいなお医者さんがいると。
うん。
B病院はなりたての人。
はい。
他の事全部一緒なのにどっちに行きたいかといったら…。
Aですね。
Aですよね。
そうですね。
というわけでAは高度な技能を持っているお医者さんがいますよ。
高度な訓練を受けました。
と言いましたがそのためにこの病院はこの病院を経営している方はあることをしないといけなかった。
何をしたでしょう?どうやってこの人を連れてきたのか?ああ例えばえ〜とまあ…スター選手を呼んでくるみたいな感じで。
そうですよね。
やっぱりお金かかるかもしれないですね。
はい。
又吉…すぐ正解言うやん。
アハハッ。
すみません。
A病院は優秀な医師つまり高度な人的資本のおかげで経営が潤っています。
そういった人材をB病院に取られてしまわないように高い給料を支払うことになるのです。
これと似たような感じで高校を出て働き出した人と大学まで行った人というのは4年生分までの訓練を受けた人というわけでその分優秀な人の可能性が高い。
優秀な人に来てもらおうと思ったら高卒の人とはちょっと違う給料を提示したほうが人は集めやすいんじゃないかと会社は考えるわけです。
この考え方を最初に使ったのはアダム・スミス。
アダム・スミスは知ってるやろ?まあ聞いた事ありますよね。
この番組の中で。
はい。
はい。
はい。
はい。
やっぱりポンポン出てきますね。
いやいやこの辺りはもう一番得意な分野ですから。
得意っていうのはクイズに出るっていう意味ですよ。
(笑い声)クイズとして覚えてるんですか?そうそうそう。
うろ覚えのあなたにおさらい。
ちょっと話否定するわけやないですけどそこで大卒があまりにもこう就活なんかでね優遇されすぎじゃないかっていう話が起こるのって「ホンマにそんなに勉強してるか?」っていうのがちょっとうっすらみんな怪しんでる。
これ先生の前で言うのはなんですけど。
フフッ。
これは世代の違いもあって今の若い学生たちはホントよく勉強します。
だから今の人的資本論の考え方というのは大学に行けばその間で勉強したことが役に立って自分がお金を稼ぐ能力が上がるということを主張してるわけですね。
例えば又吉さんは吉本の塾というか学校に行かれたんですよね。
養成所みたいな所に。
はい。
それに行ってお勉強をすると芸人さんになれる確率が格段に上がると。
その中で勉強して。
だから行くんだっていうのがこの人的資本の考え方なんですよ。
はいはい。
そうですよね。
それで言うと僕は養成所行ってないんですよ。
吉本の。
そうですよね。
そうそう。
だから吉本的な学歴でいうとここ逆転してんねん。
ああ僕はNSC行ってますからね。
そうなんですよ。
吉本の学歴でいうと僕のほうが低いんですよ。
ただ全く威張れる学歴じゃないんですよ。
アハハハッ!東京NSCっていう。
ウフフッ。
でもそこで人的資本としてNSCの間に何か培ってるはずだというね。
だから本当は1回目の舞台のギャラは又吉のほうが僕より高くてもいいんですよね。
この人的資本の話でいうと。
(2人)ああ。
その養成所出てると…。
養成所出た人間のほうがギャラ高いはずなんですよね。
この話では。
そうしとけば後の宇治原さんみたいな方が大学卒業したあとにじゃあそういう状況なんやったら1回養成所入っておこうかなと思うかもしれないですもんね。
そのメカニズムが働くためにはその劇場同士の競争が必要ですね。
ああ!吉本の養成所を出た人吉本興業の人たちっていうのが吉本の舞台にしか立てないんだったら違う給料をつける意味がないじゃないですか。
いろんな劇場で若手の芸人さんを奪い合ってるんだったら優秀な人にうちに出てほしい。
じゃあ養成所出たんだったら優秀に違いない。
この人に高い給料払ってでもうちでぜひネタをやってほしい。
これが働くかどうかですよ。
う〜ん。
そうか。
これこの話危険やな。
(笑い声)危険ですね。
あまり踏み込みすぎると。
お前たちなんだ?吉本を壊そうとしてるのか。
なんかもくろんでんのか?いやいやいや。
でもそうか。
やっぱ何て言うか今すごいスッときましたね。
その「経済学」の話ですよね。
まさにそうですね。
さて大卒の給料が高くなる理由2つ目の説は「シグナリング」です。
車の販売店を舞台に客の服装によってお店の対応がどう変化するか見てみましょう。
(支配人)「これはこれはいつもごひいきに。
さすがお目が高い。
世界でも30台しか生産されてない特別なモデルでございましてお客様のような方にこそふさわしいかと…。
ハハハッ」。
(支配人)「あっ!?何でしょう?道に迷われたんですか?うちは交番じゃありませんよ。
ああもう!勝手に触らないでくださいよ。
もう」。
ものすごく人を見た目で判断してましたね。
はい。
はい。
分からないでもないですけど。
はい。
多分経験してるんでしょうね。
そういう格好の人がいっぱい買っていったし涼みに来ただけの人が多かったみたいなそういうのもあるんでしょうね。
うん…。
どうですか?いやでも実際あるやん。
はい。
で僕らってそれ気にしてるでしょ。
ああそうですね。
恐らく。
はい。
どんな衣装を着ようとかどんな髪形にしようとか又吉も又吉ふうにしようってちょっとあるやん。
いやそんなん言われたら恥ずかしいですけど。
(笑い声)でもまあまあ自分の。
明らかにさ天才ふうにしてるやん。
いやしてないですよ。
いやしてますよ。
才能ある感じの服になってるってことですか?服とか髪形とかさ表情しゃべり方全て天才ふうに味付けしてるやん。
そんな恥ずかしい分析しないでください。
アハハハッ。
僕もでも真面目ふうにしてますもん。
ああその衣装もそうですよね。
そうそうそう。
だんだん今はこれが自分の中で好きなんですけど。
もともとでいったら自分の服装ってこの服装じゃなかったし何となくだんだん寄ってきたというかそれって人の見た目に寄っていってるってとこあるじゃないですか。
そうですね。
人の期待に合わせてるようなとこありますね。
というねところもあるし。
だから見た目で判断されるというところにあえて踏み込んでいってるような仕事かなと思いますね。
僕らの場合は。
そうですね。
そうですね。
先生これはどうして学歴の話と結びつくんですか?はい。
お店としてはやっぱり買ってくれるか買ってくれないか分からないと。
じゃあ何で判断しますかといったら身なりとか振る舞いで考える。
ここまではふるい分けを行うわけですよ。
相手を外見でふるい分けをしてしまう。
じゃあ……ってことがやっぱり大事なわけですね。
そうですね。
お客の身なりによってお店の人が態度を変える。
同じように学歴によって企業が態度を変えるという事が起きるのです。
会社が人を雇うとき…能力が高い人を欲しい。
でもなぜそれを学歴で判断するかと言ったら恐らく大学を出てる人というのはまさに宇治原さんのように受験勉強をしてその時には遊ぶのも少し我慢して。
で実際に合格してると。
本番に結果を出して。
というとやっぱり頭がいいんじゃないかなと推測できるわけですね。
努力も出来る人だ。
これが大事なんですね。
一応その実績があるというか。
そうですね。
受験勉強これだけやったからここに受かったんだろうとか。
…いう予想はつきますもんね。
何となくのね。
うん。
そのように選ぶ側が判断するということが分かっていたらそれをふまえて高校生は大学に行くかとか何学部に行くかとかこれを考えるわけです。
やってみせることで自分の能力を示す。
これを何て言うんでしたっけ?「シグナリング」ですね。
おお!覚えてますねさすがに。
立派な学歴を持っていることがそれを手に入れるための努力をしたことや能力があるということを企業に伝えるシグナルとなるのです。
だって芥川賞もそうでしょ?あっそうですね。
いや又吉の本は面白いのは別に賞を取ってようが取ってまいが面白いわけじゃないですか。
でも次また作品書くってなったときにどれぐらい売れるかってなったら芥川賞取ってるか取ってないかで全く変わってくるでしょ。
はいはい。
だから1作目の芥川賞取ったというのがまさにシグナリングで面白さは別に一緒なのに賞を取ってるか取ってないかで売り上げが全然違うでしょ。
はい。
シグナリングというのは自分で努力して行動を決めるのでだからこれ又吉さんが芥川賞を取るつもりで私は芥川賞を取れる作品を書くぞと言って取ったんだったらまさにシグナリングですね。
ほう。
ただ一部この芥川賞の場合選考委員が選んでるという面があるんでもちろんリンクはありますよ。
しっかりした作品を作ったからこそ賞が取れたという意味では努力していい作品を出しました。
この人は優秀だ。
お墨付きをもらいました。
合格したのと同じことですね。
はい。
ただそこのリンクが恐らく大学受験の勉強をして大学に入ったというところと。
ちょっと違うんですね。
賞を取る時にはちょっと何だろ。
本当に優れた純文学の作家さんでも賞を取ってない方もいらっしゃいますよね。
実は…例えば又吉さんの場合には有名な北陽高校サッカー部でレギュラーだった。
はい。
これは体力も運動神経もそして努力する精神力もあるって事の証明になるんじゃないですか。
そう又吉さんはインターハイ常連の高校サッカー名門校の出身。
そこでレギュラーを務め活躍していたんです。
りりしい。
何か練習がしんどいサッカー部って有名やったんで僕よりも上の世代の方とお仕事をサッカーとかでするとみんな「ああ北陽でやってたんだ」って声かけてもらえるんで。
もしかしたらそれはもう全くそんなことがあるとは想像もしてなかったですけど僕にとってはすごくいい影響を与えてくれてますね。
今でもね役に立ってるわけですもんね。
はい。
やっぱり北陽のサッカー部で辞めずに続けてたわけでしょ。
はい。
というのは何か1つのことをすごい努力できるとかすごいしんどいことがあっても頑張ってやり遂げれるというまあシグナルになってるじゃないですか。
はい。
それをでも今の雰囲気が完全に打ち消してるよね。
そうっすね。
その草食的雰囲気が。
頑張らなさそうですもんね。
なさそうに見えるやんやっぱり。
あのでも人的資本でもシグナリングでもお金が無くて大学に行けないという人は救われないんじゃないんですかね。
う〜ん。
お金が無かったらなかなかこうねえ。
大学には。
大学に行くのは難しいわけですよ。
今はね塾に通ったりとかもね必要だったりもするので。
はい。
というわけでお金が無くて大学に行けなかった。
そういう場合でもお金があって真面目に勉強をしたんだけど受からなかった人と同じく扱われちゃうという何かちょっと理不尽なところがありますよね。
ああ。
これを「統計的差別」と言います。
はぁ〜!こういうことがあるから学歴で差別するなっていう事を言いだしたりまさにここですよね。
人を属性で振り分けるのです。
その自分よりも学歴がある人のほうがどう考えても自分よりも仕事ができないとか。
自分のほうが給料学歴のせいで安くなってるけどもあの人よりも絶対自分のほうが仕事ができるとか。
そんな事って世間一般にたくさんある。
事実あると思うんですよ。
あのうそれこそ先生ご専門かも分かんないんですけど雇用の部分というかそこで今男女の格差みたいなことってすごく話題になってたりするじゃないですか。
まあでも例えば非常に力を使うような仕事ってやっぱり基本的には男性のほうが女性よりも力としては強いというのが当然というか普通であってだからその力仕事を就職で採ろうとするときにやっぱ採る側としては単純に男女で男やから採るとなりますけどでも実際に何か物を運ぶ仕事をやらせてみたらこっちの女性のほうが仕事が有能だという可能性もあるわけじゃないですか。
それをパッと男やから力仕事という事で採るというのはこれも統計的差別ですか?はいそのとおりです。
ということですよね。
はい。
でもこの統計的差別を完全に就職においてなくすというのは恐らく不可能に近いじゃないですか。
就職するということで言うと。
例えば試用期間を十分に長く取って本当に能力があるかどうかちゃんとはかってから雇うかどうかを決める。
インターンを5年10年やるとか言ったらもう無理じゃないですか。
なのである程度の期間で判別をしないといけない。
そうすると平均的にいい属性平均的に当たりが多いグループの人はやっぱり選ばれやすくなる。
それを考えると逆説的にというか逆に大学行くことの意味があるというか。
はい。
統計的差別はもうどうしようもなくあるものとして統計的差別を受けないためには学歴があったほうがいいという裏返しになりますよね。
これはまあ努力でできる可能性があることですからね。
ここまでの結論としては会社に勤める場合はとりあえず大学を卒業したほうが給料が高くなるという事ですかね。
ところがですね最近「オーバーエデュケーション」というのが問題になってるんです。
これ注目されてる概念なんですが教育が過剰だ。
過剰教育。
過剰資格ということなんですね。
はぁ〜。
お〜。
その仕事にその学歴必要ないでしょ。
アハハッ…。
例えば有名な大学を出たのに芸人になったりするような人のこと言うんですかね。
表面的には多分そういう事ですね。
オーバーエデュケーション。
俺自分のこと京大芸人やと思ったけどオーバーエデュケーション芸人やったんや。
(笑い声)肩書としてはそっちもカッコいいですけどね。
何か分からへんかったらね。
宇治原さんはでもすごい生かしてますもんね。
はい。
一応ね普通に就職する方とは違う生かし方ですけど一応仕事に活用していると言えば活用してるかな。
だから今の大学進学率がおよそ50%。
ということは半分の人が行ってる。
となると大学を出たからといって大卒者向けの仕事に就くっていうことがみんながみんな出来ることではないと。
そういうことですか。
はい。
ある調査によると日本では31%の人がオーバーエデュケーションの状態だと感じていると言います。
オーバーエデュケーションについて簡単に説明してみたいんですけれどこちらをご覧ください。
今ですね10人高校生がいたとします。
そして今の比率に合わせて5人が大学に進学しました。
はい。
また残り5人は又吉さんのように高校を出て働き出したと。
こういうキャリアを考えてみましょう。
はい。
4年後大学に進んだ学生が就職する時を迎えます。
この時大卒者向けの求人が2人分しかなかったとすれば残りの3人は学歴不問の仕事に就かざるを得なくなります。
つまり10人中3人がオーバーエデュケーションの状態になってしまうのです。
なるほど。
だからこれがあるからまあ就職活動している大学生なんかに話聞いたらもう何個も落ちた。
ずっと決まらない。
なんていう話ってよく聞きますけど要はこういうことが起こってるわけですよね。
もちろんみんな大卒向けをまず行きたいわけですもんね。
そうですね。
大学行ったからにはねう〜ん。
まあでその大学生の比率が増えているというね昔よりは。
そうですね。
ということもありますよね。
必ずしも大学に行けば大学に行ったという人生人生というかその後が歩めるっていう時代でもなくなってきてるってことですね。
うん。
まあ大学国立だと50万ぐらいですか?年間。
違いますかね?はい。
じゃあこれ見てみましょう。
はい。
昔年間36,000円。
えっ!75年の頃。
はい。
へぇ〜!それが一世代で535,000円。
いや〜。
上がりましたね。
はい。
国立に行くのも大変。
(2人)うん。
じゃあ大学に行きたいけれどお金が無い。
といったらどうすればいいでしょう?う〜ん。
まあでも奨学金制度を使うとか。
はい。
奨学金ありますよね。
大学にお金がかかるようになって奨学金をもらってる人の割合がどんどん増えてます。
はい。
今は半分ぐらい半分以上ですか。
…の人が大学に行くときに奨学金をもらっていると。
それこそ学歴不問の仕事というのがまあ何となく平均的に給料がそんなに高くなかったりすると大学卒業してオーバーエデュケーションで学歴不問のところに入ってしかも給料があんまりよくない。
でも奨学金を返していかないといけないとなるとホントに大学行ったの何だったんだっていうことになりますよね。
運よく大卒向けの仕事に就き定年まで勤め上げることができた場合。
生涯賃金は高卒に比べ大卒のほうが平均でおよそ3000万円多くなります。
とはいえ勤める企業の規模によって賃金に大きな差が出るのは事実。
高卒で大企業に勤めた場合生涯賃金が2億7240万円に対して大卒で小さな会社に勤めると生涯賃金2億1500万円。
この場合高卒のほうが6000万円近く生涯賃金が高くなっています。
だから企業規模とか企業の経営状態これは給料に相当大きな影響を与えるのでどの企業に入るのかっていうのはとても大事で。
大事ですね。
僕今まで話聞いてねこれ番組否定するつもりないんですよ。
でもこれはまあだから経済学的に学歴とか大学とか勉強のことを今考えてるわけじゃないですか。
でも僕が思う大学とか勉強とかって絶対にコスパみたいなことで考えてはいけない。
というふうに思ってるんですよね。
教育ってもの自体を。
要はもちろん統計学的にとか大卒なったら高卒なったら賃金がこれぐらいでってすごく重要な話ではあると思うんですがじゃあ勉強するとか大学に行くということを考えるときにそれを最優先にするのは僕はあまり好きじゃない。
はい。
勉強する。
大学に行く。
学問を学ぶっていうことってこれがじゃあ一体コストパフォーマンス的にどうなんのか?これ得なのか損なのかっていうこと考え出すとそれはもう勉強ではなくなってしまってると思ってて僕はどっちかというと勉強してるのが楽しかったんでそういう事が一番重要なのになあっていうのは思うんですよね。
え〜大学で学ぶということが一体どういうことなのか自分の目で確かめたいと思います。
大学に進学しなかった又吉さん。
今日初めて大学の授業に参加します。
日本大学芸術学部の文芸学科は作家吉本ばななや林真理子の出身校。
文学作品の研究や分析ではなく小説を書くための実践的な授業を行っているところです。
失礼します。
(一同)こんにちは。
こんにちは。
ああお邪魔します。
こんにちは。
ようこそ日芸へ。
(笑い声)いいですか?ここ。
どうぞ。
すいません。
失礼します。
どうも。
よろしくお願いします。
お願いします。
(一同)お願いしま〜す。
大学に行ったことなくて。
うん。
あの皆さん何年生ですか?
(一同)4年生です。
みんな4年生ですか?はい。
ゼミっていうのはクラス?クラス。
私たちが創作した作品をみんなで赤入れしたり佐藤先生に赤入れしてもらったりしながらみんなで…。
えっ?皆さん自分で選んでこの…。
そうです。
ゼミに入ってるんですか?じゃあ皆さんちょっとそういう文学関係。
みんな文芸で書いているメンバーです。
こちらがゼミを主宰する佐藤洋二郎教授。
(笑い声)
(佐藤)ああ何か緊張するね。
(笑い声)大学を卒業後全国を放浪し人間の孤独をテーマに作品を書く小説家。
そんな現役の作家が小説を書くことについて具体的に指導するゼミなんです。
作家を目指すならどんな生活を送るのか?そこにもこだわるべきだと言う佐藤先生。
(佐藤)君たちはほら学校休んで恋人とデートして酒飲み行ってケンカする。
クシャクシャする。
うちに帰る。
また缶ビール飲む。
冷蔵庫開けて。
今日は面白くなかった。
テレビ見る。
それからお風呂入る。
で11時ぐらいになってちょっと時間が余ったからさて小説でも書きましょう。
そんなの駄目だよね。
一番大切なものをやっぱり一番初めにやんないと。
書いてると1〜2時間すぐ終わるから帰ったらすぐ机に向かうんだよ。
小説家になりたい。
そういう書きたいという人たちは案外と諦めない。
諦めきれないですよね。
なんか心の中にこう持ってるんじゃないの。
何で俺はこういう人生なんだろうかとかさ。
どうして俺はこういう環境に生まれたんだろうとか。
なんか表現したくなるだろう。
多分又吉さんに聞いても何で作家になったのかなぁ?文章書いたのかなぁ?多分…。
どうですか?分かりますか?なんでですかね。
ねえ。
誰も分からないですよね。
はい。
最近の学生たちはね優しさを…。
すぐ何かこう恋人ができんですよ。
(笑い声)
(佐藤)ですぐ別れるの。
だから3か月もったらお祝いやろうとしてる。
3か月もったよな。
もちました。
お〜!実は言葉というのはえ〜自分が幸福な時には案外と届かないね。
さっきと同じように。
自分がうまくいってないときに言葉が向こうから寄ってくる。
…ような気がする。
恋人がいたりすると楽しいからね言葉が逃げていってしまう。
うまくいかない時のほうが言葉が向こうから寄ってくる。
又吉さんありますか?幸福。
幸福ですか?うん。
何でしょうね。
自分で幸福これを幸福としようと決めればあるかもしれないですけど。
基本的にはないですよね。
(佐藤)ないね。
はい。
僕はないと思うな。
だから幸福なんてこう夏の夜の流れ星みたいなもんだと思ってるよ。
たま〜にあるからいいんだよ。
たまにあるからお祈りするんでしょ?またいいことがありますようにって。
幸福って何でしょうね?又吉さん。
幸福感を感じすぎてると言葉が自分のとこに来ないというのはもう実感としてすごくありますね。
ええ。
あの…皆さんないかもしれないですけど好きな人出来てつきあえるかつきあえへんか分からへんみたいなときすごく…何かこう嫌な思いとかいい思いとかするじゃないですか。
こう感情が動くって。
あの瞬間が生きてるなって思うんですよね。
でつきあえたらあれ?あんま好きじゃなかったんかなみたいな。
(笑い声)手に入った瞬間そこまで好きじゃなかったんかなとか思うことってありますよね。
何か人生も人生とかどんなことでも割とそれに近いのかなぁと思って。
先生のお話聞いててすごく思いましたね。
そういう時のほうがいろんな言葉とか風景とか誰かお世話になってる人の何やろやってくれたこととかがこう目に留まるというか。
はい。
それはすごく感じましたね。
あんまりいい暮らししちゃ駄目ですね。
(佐藤)そうです。
おいしい物を食べちゃ駄目。
フフッ…。
はい。
それを肝に銘じて頑張っていきます。
フフフッ。
ありがとうございました。
どうも。
(一同)ありがとうございました。
(拍手)初めて大学で授業を受けたんでなんか面白かったですね。
うん。
あの何でしょう。
自分と同じものに興味を持っている人たちが何人かいて先生の話聞いてそれぞれ思ってる事言ったりするっていうのが。
ああこういう場所なんやっていう。
でも結局大学でどうやって学ぶんやろう?書き方なんて。
どうやって教わるんやろうと思ってたんですけど結局ちょっとしか読んでなかったらあのあかんし。
で書きたいんやったら自分が思っている以上にやらんとあかんという。
そのすごい根本のとこなんですけどそれ気付くか気付かないかで多分全然違ってくるやろうなという部分も全ての職業に通じる事やと思うんですけど。
その小説とかだけじゃなくて。
それをすごい感じました。
やっぱり又吉が芥川賞を取るとかなってきたらいや作家になるの小説書くのに別に大学の勉強要らないだろうというふうになりがちやんか。
話が。
はい。
でもやっぱり大学で勉強する事にも意味があるやんか。
はい。
もちろん。
又吉が将来子供できたら…。
はい。
これ大学とか学歴とか勉強とか教育とかどうしようと思ってるの?いやまだ具体的に考えてないんですがでも行ってほしいですけどね。
大学に?はい。
ああそれは思うんや。
そうですね。
結構ミーハーなとこあって僕自身が大学とかで何て言うんですかね。
Dialogue:2016/07/15(金) 00:30〜01:15
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「ホントに必要?学歴の経済学」[解][字][再]

過半数が大学に進学する日本。大卒余りの世の中で、大学に行く意味とは?大学に行かなかった又吉さんが、京大法学部卒の宇治原史規さんとともに、学歴を考えます。

詳細情報
番組内容
大学進学率が50%を超えた日本。学歴社会というけれど、大学に行くのは何のため?高い収入?立派な仕事?もはや大卒など珍しくない世の中で、“大卒だから”得することって何でしょう?ひょっとして、大卒余りの世の中では、学歴がムダになる?経済学から導き出される、大卒のメリットとは?大学に行かなかった又吉さんが、吉本屈指の高学歴芸人、京大法学部卒の宇治原史規さんとともに、大学に行く本当の意味について考えます。
出演者
【ゲスト】宇治原史規,【出演】又吉直樹,【解説】日本大学総合科学研究所准教授…安藤至大,【語り】朴ろ美

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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