熊本地震で被災した美術工芸品や古文書を保護して応急処置を施し、一時保管する「文化財レスキュー(被災文化財救援)」事業が13日、熊本市中央区東阿弥陀寺町の善教寺を皮切りに始まった。文化財の廃棄や散逸を防ぐのが狙い。
善教寺で、びょうぶの状態を確かめる県職員ら=熊本市中央区
県から文化庁への要請に基づいた事業で、実施主体は、国立文化財機構(東京)など関係機関が連携してつくる救援委員会。県教委に現地本部を置く。対象は、絵画や彫刻、工芸品、古文書、有形民俗文化財など。国や県、市町村の指定の有無を問わない。事前に県の文化財保護指導委員28人が、保護対象の文化財(未指定含む)がある約2300施設を調査。少なくとも29施設で倒壊や解体の恐れがあり、保護が必要と判断した。
この日は、同機構や県の職員、大学の研究者ら16人が、大きく損壊した善教寺に入り、段ボール50箱分の古文書や屏風[びょうぶ]などを梱包[こんぽう]。県博物館ネットワークセンター(宇城市)に運び入れ応急処置を施した。県によると、29施設については、約1カ月でレスキュー活動を済ませる。(中原功一朗)
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