どうも、hashiken(@conteanime)です。
筆者はこれまで十数年、『絵を描く』仕事のジャンルで複数の業界を経験してきました。運良くどこの職場でも共通して携わることが出来たのが『キャラクターデザイン』という業務でした。
知らなかったんですが専門学校で『キャラクターデザイン』の学科があるんですね、それだけ興味を持つ人が多い仕事なのかもしれません。
ということで今回は『キャラクターデザイン』の道を目指す若い人に向けて、現場の実際のところやちょっとしたコツなどを実体験からまとめてみたいと思います。
目次
キャラクターデザイン一本を目指す怖さを知っておこう
まず、はじめからキャラクターデザイン業務一本だけを目指すのはかなり危ないと思っています。
『結果的にキャラクターデザインもやれた』となる方向性を目指すべきです。
へたすると将来的に、まったく潰しが利かなくなる可能性があります。
・・・筆者はかつていた会社で、経営不振による開発室閉鎖で全員リストラという大技をおみまいされたことがあります(笑
当時はアニメの原画を描く部署に属していましたが、その後臨んだ転職活動では自分含めその部署の人間が最後まで苦労していたイメージです。逆に、デザイン部署や撮影部署にいた同僚は非常にスムーズに転職を決めていきました。
現在、ソーシャルゲームのカードイラストの大量生産によって世の中にはイラストレーターがあふれています。そんな世界で上位者に入り生き残っていくのは至難の業です、安全策を取るのは決して臆病なことではありません。
『キャラクターデザイン』という言葉の響きに憧れを持つのは、自分自身そうだったんでものすごくわかります。ただし、そこに辿り着くためには様々なルートがあるんだってことだけは絶対に知っておいて下さい。
自分は専門的に絵を学んだことなんて一切ありませんでした、ただ巡り合わせと運が良かっただけです。思い返してもっとも大事だと思うのは、
これはチャンスと思った時は必死でもぎ取りに行く!!
・・・もう、本当にそれだけだと思います。キャラクターデザインの機会を獲得するために必要なのは、技術やセンス以上にチャンスの時に前向きな動きが出来るかにかかっています。チャンスの神様には前髪しかないってやつですね。
業界ごとのキャラクターデザインの違いについて
キャラクターデザインの実態は、業界によってもすごく大きな違いがあります。絵本とゲームでは違いますし、ゆるキャラと遊技機も全く異なってます・・・まあ当たり前なんですが。
多くのキャラクターデザインが依頼があって初めて作るものなので、絵柄や技術も含め依頼主の意向に添えるかどうかが優先事項の場合が多いですが、漫画だけはかなり違った系統となります。
一番大きな違いはやっぱり、作家性がむき出しになることでしょう。
わざわざ書くまでもないですが、漫画家自身がアイディアから絵まで構築するのがほとんどなのでゲームやイラストのキャラデザ作業と比べるとかなり違ったイメージになります。
じゃあ他のキャラクターデザイン業務に作家性は必要ないのかって話ですが、おそらくあまり求められていません。必要な物を求められている作業だと理解することも大事です。下手に自分の特性を込めすぎて悪目立ちすると、依頼主の意向に沿わない恐れもあるのでさじ加減には注意しましょう
業界によってキャラクターデザインの捉え方が結構違うために、方法も難易度も全く違ってきます。どうすれば自分の目指す道でスムーズにたどり着けるのか? リスクを背負わないで進むための安全策は何か?? くれぐれも狭い視野にならないように進めてみて下さい。
キャラクターデザインのやり方とコツ
最後は、業界ごとのキャラクターデザインのコツなどを簡単にまとめてみます。
漫画
漫画家さんそれぞれのやり方になりますが、他のキャラデザと違って個性をそのまま出せる作業となります。
ただし、連載においては過酷な締め切りに追われつつになるのでクオリティがどこまで維持できるかはなかなか難しい状況もありえるでしょう。ただ密にストーリーと紐付いてデザインされるため、よほどでないと読み手が違和感を覚えることはないともいえます。
遊技機(ぱちんこ・パチスロ)
版権物
遊技機で圧倒的に多いのが漫画・アニメの版権や、芸能人を使ったタイトルになります。
前者であれば既存の設定を使って、液晶画面上で映像として動かす設定を保管する作業がメインになるでしょう。ただ中にはアニメなどの設定を借りられずにフルで描き起こす場合もあります。そして版元チェックがうるさいと非常に難儀します、まさにギャンブル・・・(笑
芸能人は多くの場合、実写と2~3頭身アニメキャラの両パターンが存在します。実際の人に似せつつ愛嬌あって本物よりも可愛くすることが多いでしょう、
衣装なども本人に沿わせつつ、さらにアニメで動かすことを考え作画しやすいかどうかが重要となります。また最近は3DCGでキャラを動かすことも多いので、2Dで三面図を起こす状況もかなり増えています。
オリジナル
筆者がその昔にキャラデザを担当した『2027Ⅰ・Ⅱ』というパチスロのように、原案がなく完全にメーカーオリジナルのものは当然ながらゼロからデザインを起こします。
担当者を指名して始まることもありますが、基本的には色々な絵柄やデザインパターンをまず見てみたい企画側の意図もあり社内コンペから進むことが割と多いでしょう。
オリジナルなら縛りも少なく簡単とおもいきや、内部だからこそ何度も好き勝手なリテイク出されたり無茶な要求を平気でされたりして微妙に揉めることもないではありません(笑
スマホゲーム
量産型のカードイラスト
グリー・モバゲーのソーシャルゲーム全盛期には、ゲーム内のカードイラストが日々大量に生産&消費されていました。なのでpixivなどに趣味で個人絵を出してた人が企業からスカウトされてイラストレーターになったケースも、数多くありました。
基本的にはキャラクターの制作指示書をもらい、それに合うキャラクターイラストを作っていく作業となります。
ただ多くの場合が一回こっきりのゲーム内課金用途なため、キャラクター性というものは皆無な場合が殆どです。他ジャンルのキャラクターデザインと比べた場合、純粋に一枚絵のイラスト作成というイメージで考えるべきかもしれません。
ゲーム内の主要キャラ
最近のスマホゲームはほぼ家庭用ゲームと変わらないレベルの作りこみが求められてますので、ストーリーに絡む主要キャラクターになるとかなり密な描写が必要になります。
多くの場合プロデューサーの思いつきで始まり、描き手が叩き台のデザインを作った上で壮絶なちゃぶ台返しを喰らい、直して直して・・・というパターンになるでしょうか?(・・・そうでない場合もたまにはあるでしょうが/笑
ソフトなどの現物がなくデータのみのスマホゲームの文化は、将来的に人の記憶にどこまで残るのかかなり疑問です。キャラクターデザインとして強く名を残したい場合は、他の業界を選んだほうが無難かもしれません。
企業向けマスコットキャラクター
企業などが商品の販売やブランディングのために使う、いわゆるイメージキャラクターのデザインになります。
何に使うキャラクターなのか、どういうものを宣伝したりするのかなどの要素をしっかり汲み取りつつ、先の展開も引き出せるデザインにすることが望まれます。
キャラクターマーケティングという言葉にもあるように、戦略的に使うことで大きく成長する可能性を秘めているのがビジネス用のマスコットキャラです。
さいごに、
『キャラクターデザイン』と一口に言っても、業界ごとに作成手順も目指す方向も全く違ってきます。
最初にも書きましたがキャラクターデザインのみを目指すんじゃなく、結果的にたどり着けたらいいな・・・くらいの姿勢で他のこともやりながら臨む方がいいでしょう。
夢をかなえるためには、辿り着くための様々な道順を知っておくことが非常に重要です。
視野が狭くなるといい部分だけしか見えなくなったりするので、くれぐれも気をつけて下さい。キャラデザの機会に恵まれた際は、依頼主も自分自身も最大限成果が得られるように全力で新たなキャラクターをこの世に誕生させてあげましょう。