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怒れる中間層が蜂起…トランプ氏を支持

米中西部イリノイ州ペオリアで開かれた州共和党大会で、「ヒラリーを負かせ。トランプに投票しろ」と書かれた横断幕に署名する白人女性たち=2016年5月21日、國枝すみれ撮影

 米大統領選に向けた全国大会を18日に控えた共和党が、中間・富裕層支持者の「蜂起」に直面している。その衝撃波に乗るのが実業家ドナルド・トランプ氏(70)だ。反移民、人種差別、女性蔑視と党幹部にさえ批判されながら予備選を勝ち抜き、今や党候補の正式指名を待つばかり。予想外の展開をもたらした「怒れる米国人」たちに、会いに行った。【ウィル郡(米中西部イリノイ州)で國枝すみれ、オーランド(米南部フロリダ州)で長野宏美】

18日から共和党大会

 「共和党も民主党も、主流派の政治家たちは怒鳴りあうだけで、国民の声を聞いてこなかった。だから蜂起が起きている」。公務員のジョセフ・クラルさん(47)が言う。米中西部イリノイ州シカゴから車で約1時間のウィル郡。米CNNによると、3月の予備選でトランプ氏は46.4%を得票し、圧勝した。クラルさんも票を投じた一人だ。

 緑の芝生が美しい住宅地には白人が多く住み、平均世帯年収は8万5000ドル(約897万円)を超える。クラルさんも年収8万ドル(約842万円)で生活に不自由はないが、最大のいら立ちの種は税金だ。

 イリノイ州の固定資産税率は収入の約2.7%で全米一。毎年上昇し続け、ウィル郡では1世帯あたり年約5200ドル(約55万円、20007〜11年平均)に及ぶ。「『この調子で税金が上がればやっていけない』と町を出る人は多い」とクラルさんは言う。

 近所の住民バーバラ・ハーマノウィックさん(65)は「我々の税金が不法移民の教育や医療に使われている」と思っている。だからこそ、「メキシコ国境に壁を築き不法移民を締め出す」という主張が気に入って、トランプ氏支持を決めた。

目立つ高学歴者

 「低学歴、低所得の白人男性」と言われてきたトランプ氏の主な支持層だが、今や、中所得者層以上にも拡大しつつある。選挙情勢分析で定評のあるウェブサイト「ファイブサーティーエイト」によると、トランプ支持層の平均年収は7万2000ドル(約760万円)。全国平均の5万6000ドル(約590万円)より3割近くも高い。

 高学歴者も目立つ。イリノイ州ペオリアで5月下旬、トランプ氏支持を呼びかけた州共和党大会には弁護士や大学教授などの人々も少なくなかった。学士号二つと修士号を持つという女性会計士、リンダ・スツァンさんは「女性の扱い方は(民主党の)ケネディ元大統領だってひどかった。大事なのは国を救えるかだ」とトランプ氏を擁護した。

 米南部フロリダ州オーランドで自動車修理工場を経営するリック・フォーセットさん(55)は、過去の大統領選と熱狂度の違いを実感する。この10カ月間でトランプ氏の名前を書いた車用ステッカーを6000枚近く配ったが、多くの人が「投票したいと思ったのは初めてだ」と語ったという。

参加意欲増す

 トランプ氏は、既存の政治家を徹底的に批判し「強いアメリカ」再生を訴える。この構図は、トランプ氏支持・不支持は別としても、多くの有権者の政治参加の意欲をかき立てたようだ。

 米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、今回の予備選で共和党に投票した人は全有権者の14.8%にあたる約3000万人。統計のある1980年以降では最高で、前回12年予備選から1000万人以上も増えた。

 フォーセットさんは、治安や雇用悪化の原因として不法移民を攻撃するトランプ氏は「真実を語っている」と評価している。「私たちはみな良い仕事、安全な国が欲しい。成功した実業家であるトランプ氏なら、それが実現できるはずだ」

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