南シナ海仲裁:全面敗訴の中国、天安門以来最大の外交的打撃

 調停団の構成に関しては、日本をやり玉に挙げた。陸報道局長は「仲裁法廷が日本の柳井俊二元国際海洋法裁判所(ITLOS)所長によって構成され、当初から公正性を失っていた」とした。柳井氏が安倍晋三首相の安保法制懇談会の座長を務め、集団的自衛権の行使を可能にした立て役者だったため、仲裁自体が政治化されたとの主張だ。

 中国政府がこれほど激しい反応を示すのは、それだけ外交的な打撃が大きいためとみられる。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは「今回の判断は中国には最悪のシナリオが現実となったものだ。1989年(天安門事件)以来最大の外交的ショックだ」と報じた。米国の専門家も「今回の判断を強制する手段はないが、中国には巨大な圧力になるはずだ」との見方を示した。

 中国は軍事的圧力で対抗した。中国の劉振民外務次官は記者会見で、防空識別圏設定の可能性を警告した。防空識別圏は自国の領空に接近する他国の軍用機を早期に識別するため、任意に設定する空域を指す。劉次官は「中国は南シナ海に防空識別圏を設定する権利を保有している。設定は(脅威に対する)中国に総合的な判断に基づき決定される」と説明した。

 12日には052型イージス艦で中国最大のミサイル駆逐艦である「銀川」を南シナ海に追加配備した。これにより、南シナ海を管轄する中国のイージス艦は4隻に増えた。また、中国人民解放軍は11日から20日まで北西部の基地で陸上演習に突入した。

ワシントン=ユン・ジョンホ特派員 , 北京=李吉星(イ・ギルソン)特派員
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