最大手メガバンクである三菱東京UFJ銀行がVISAデビットカードをはじめたことにより最近、利用者が徐々に増えつつあるVISAデビットカード(2つのVISAについての違いは下記記事を参考に)。
VISAカード同様にVISA加盟店(カード払いが使えるお店のこと)での支払いに使えるだけでなく、即時決済により銀行残高以上に使えない…等々、VISAデビットカードならではのメリットが支持されているのがこの好調の理由ですが、では反面、VISAデビットカードを使う上でのデメリットについては、あまりよく知らない…という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は参考までに、VISAデビットカード利用上のデメリットについて詳しくまとめてみたいと思います。普段からVISAデビットカードを使っている方はもちろん、これからVISAデビットカードを作るかクレジットカードにするか迷っている方も是非、参考にしてみてくださいね。
VISAデビットカードのデメリットまとめ:
1.クレジットヒストリーが構築できない
いきなり難しい話題になってしまって申し訳ないのですが、VISAデビットカードはVISAカードと異なり、どこでどんな風に支払いで使ってもクレジットヒストリー(クレヒス)が出来ないのが、個人的には一番のデメリットだと思っています。
- VISAカード:保有すればクレヒスが出来る
- VISAデビットカード:クレヒスが出来ない
クレジットヒストリーとは簡単にいうと、あなたが過去&現在に利用したクレジットカードやローンの履歴のこと。
この履歴がいいと良い条件でローンが組めたり、より高いランクのクレジットカードが作れたりするなど様々な恩恵があるのですが、クレジットヒストリーが悪い人やそもそも存在しない方の場合には悪い条件でしかローンが組めない可能性大(このあたりの記事を参照に)。
- クレヒスが良い人:世の中を生きやすい
- クレヒスが悪い人:ブラックリストに掲載された状態
- クレヒスがない人:年齢次第ではブラックリスト掲載に準ずる状態
『俺は将来にわたって住宅ローンも車のローンも組む予定はないっ!』という方であればそれで問題はありませんが、この先、失業や病気等でお金に困る可能性が少しでもあるならば、クレジットカードを作ってちゃんとしたクレヒスを構築しておいたほうが無難でしょう*1。
2.紛失時のリスクが高い
2つ目はVISAデビットカードの多くは銀行のキャッシュカード一体型のクレジットカードゆえ、紛失時のリスクが高いのが弱点。
クレジットカードは下記記事のように紛失しても盗難保険がその損失分をカバーしてくれますが、VISAデビットカードが仮に盗難されてしまった場合には、不正利用&銀行預金の引き出しというとんでもないトラブルに発展することになります。
まぁ銀行口座残高がいつも数万円だ…という方ならそれほど心配することもありませんが、100万円以上の残高があるという方だとVISAデビットカードのほうがハイリスクかもしれませんね。
盗難保険の上限がある:
尚、VISAデビットカードも4桁の暗証番号が漏洩しない限りは、不正利用分は盗難保険の対象となりますが、なぜかVISAデビットカードの盗難保険には年間申請可能な上限が設けられていることがあるのでご注意ください。
- クレジットカード:1億円使われようが盗難保険申請で負担0円
- VISAデビットカード:上限100万円までというカードがある
実際、三菱東京UFJ銀行のVISAデビットカードには下記のような記述有り。仮に銀行口座内に300万円とか500万円とか入っている方の場合にはどうするんでしょうか…。かなり心配な補償内容であると思います(こちらより引用)。
不正利用補償
偽造・盗難カード等が第三者によって不正利用された場合、当行が連絡を受けた日から60日前まで遡り、その日以降に発生した損害について、年間100万円を限度に補償します。
どうしてもVISAデビットカードを利用するのであれば1日に支払い可能な金額の上限を設定するなど自己防衛を忘れずに!お気をつけください。
3.ポイントが貯まりにくい
VISAデビットカードの3つ目のデメリットは、クレジットカードに比べてポイントが貯まりにくいという点。
楽天JCBデビットカードといった一部例外はあるものの、ほとんどのデビットカードが1,000円利用しても2~5円分程度のポイントしか貯まらないので、クレジットカードを利用するよりも圧倒的に損な制度になっています。
- クレジットカード:1,000円支払いで10円以上ポイントが貯まることも
- VISAデビットカード:1,000円支払いで2~5円程度のポイント獲得
『なんだ、数円の違いじゃないか?』と思われるかもしれませんが、金額を少しあげて考えるとその差は驚くほどに広がることに。
例えば100万円あたりで計算した場合、クレジットカードでは1万円以上のポイント獲得が可能な反面、VISAデビットカードは2,000円~5,000円程度のポイント獲得がせいぜいなので、その差は決して馬鹿には出来ません。
また、1年間ではなく3年や5年、10年といった期間で考えると数万円~10万円以上の差になることもしばしば。これを安いと見るかどうかについてはお任せしますが、私ならその差を覚悟してまでVISAデビットカードを使う気にはなれないと思います。
4.支払えないものが結構ある
VISAデビットカードのデメリット4つ目は、VISAカードでは支払いにつかえても、VISAデビットカードでは支払いに使えないものが結構あるという点です。
代表的なのはガソリンスタンドと高速道路の料金所での支払いですね。これらの場所では原則、VISAデビットカードを支払いに使うことは出来ません*2。
ETCカードも作れない:
また、クレジットカードでは当たり前のように作ることが出来るETCカードも、VISAデビットカードでは作成不可。
前述のようにVISAデビットカードは銀行口座残高がないと使えないカードなので、高速道路の料金システムのように、通行するまでいくらかわからないものには使えないのですね(ガソリンスタンドも給油するまでいくらかわからないから使えない)。
尚、昔は使えないよ…と説明されることが多かった電気代やガス代、携帯電話料金といった支払いには現在、ほとんどのVISAデビットカードが設定できるようになってきました。この点はご安心ください。
5.銀行残高分しか使えない
5つ目のデメリットは、銀行口座残高分しか利用できないという点。
これ、『VISAデビットカードはそれがいいから使おうと思っているんだけど?』と肯定的に捉えている方も多いかもしれませんが、お金が手元にあるときはそれで構いません。
しかし、失業や病気などでお金がなくなってしまった時、クレジットカードであれば分割払いやリボ払い、ボーナス払いといった支払いでその場を凌ぐことが出来るのに対し、VISAデビットカード利用者はどこからかお金を借りなくちゃいけないのは立派なデメリット。例えるなら失業保険に加入せずに働くみたいなものです。
- VISAデビットカード:口座残高がなくなれば使えない
- クレジットカード:お金に困った時は分割払いやリボ払いが使える
そのため、もし自分の職業は不安定だという方や、銀行口座残高が100万円以下しかないよ…という場合には、「保険」としてクレジットカードを作っておくのがおすすめ。
年会費無料のクレジットカードであれば維持費は0円なので、普段はVISAデビットカードを使いつつ、クレジットカードは必要な時のみ使うようにしてもらえればと思います。
即時決済のためにどこまで捨てるのか?
ここまでVISAデビットカードを使う上での5つのデメリットを紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
ご存知のようにVISAデビットカード最大のメリットは、支払いに使ったら即座に銀行口座から引き落とされるということなわけですが、このメリットを得るためにポイントを捨て、クレヒス構築を諦め、そして失業時のリスクを抱えることについてどう考えるか。
これからVISAデビットカードを作る予定があるなら、そのメリットとデメリットを天秤にかけ、どうすべきか考えてもらえればなと思います。
以上、VISAデビットカードを使う上でのデメリットまとめ!そのメリット・デメリットを比較して、VISAデビットカードを作成すべきか検討を…という話題でした。
参考リンク:
クレジットカードを作ったことがない方が、クレジットカードに関して誤解していることをまとめた記事は下記をどうぞ。クレジットカードはみなさんが思っているよりも、安全で便利な支払い手段ですよ。