●かんべえの不規則発言



2016年7月 






<7月1日>(金)

○Brexitや参院選の陰に隠れておりますけれども、7月10日参院選が終わると、その直後の7月14日は都知事選の公示日である。そして投票日は7月31日である。このスピード感、あまり理解されていないような気がします。

○それというのも、小池百合子衆議院議員が出馬宣言をしたときに、「俺は聞いてないぞ」みたいな反応が一部にあったのですが、この後に及んでそんなことを言ってちゃダメでしょう。おそらく小池先生のことですから、ポスターの写真などは、とっくの昔に撮り終えておられるものと拝察いたします。これって大事なことなんですよ。(後記→どうやら7月3日に撮影されたようです。失礼しました)

○公示日というのは、都内の全ての掲示板に、少なくともその日の午前中にはポスターを貼り終えなければならない日のことを意味します。そうでないと、「××選対は人が足りないらしい」という噂が立って、有権者が去っていきますからね。公示日の午前中には「出陣式」がありますけど、そこに集まる人とは別に、ポスター貼りのボランティアを用意しなければならない。その人たちをいかに確保するか、というのは選挙戦の初歩中の初歩です。

○しかも東京都は意外と広い。23区だけじゃなくて、三多摩地区もあれば島嶼部もあるんです。ポスターは最低でも7月11日(つまり参院選の翌日)には出来上がっていて、都内各地に届いている必要がある。逆算していくと、6月中から準備しておかないととても間に合わない。「参院選の結果が出てからゆっくり考えよう」などという人は、既に負け組なんです。

○ということで、この週末くらいからバタバタと立候補宣言が相次ぐのではないかと思います。さらに世の中には、「参院選に迷惑をかけてはいけないから」と、今は黙って準備を進めていて、7月11日以降にやおら立候補宣言をする人もいることでしょう。「後だしジャンケン」が有利なことは、過去のパターンから立証済みですし。

○もっともポスターはいいとして、政策の準備をどうしたらいいものか。2代続けて現職都知事を引き摺り下ろして、急場で選挙をやっているものだから、どんどん変な知事、お粗末な政策になっていくのは目を覆わんばかりです。せめてこの上は、次期都知事は「2019年4月には辞任する」ことを公約にして、都知事選のサイクルを昔のように統一地方選挙のときに戻してくれたらいいのにな、と思います。そうすれば「東京五輪直前の混乱劇」は回避できますしね。

○東京都政をめぐる現在の混乱は、2012年12月の衆院選において、石原都知事が突如として国政に出てしまったことに始まります。それが猪瀬都知事を生み、それがコケてしまった。そこで急場の選挙をまたやって、舛添都知事を生んだけれども、それがまたコケたわけでありまして。抜き打ち選挙は、準備不十分の首長を作ってしまう。だからなるべくなら、首長選挙は統一地方選挙のサイクルに戻すのが良いと思います。

○とまあ、東京都知事選について語り始めると、ついつい嘆かわしくなって腹立ちモードになってしまいます。でも、いっそ開き直って、それもいいことなのかもしれません。要するに、あれは娯楽だと割り切ればいいんです。東京都は財政だって余裕があるんだし、官僚機構も優秀ですから。東京都知事選で遊ぶくらいなら、大丈夫、日本の国は亡びはしません。この際だから、芸能人やスポーツマンの都知事でもいいじゃありませんか。

○なにしろ世の中には、「EUを抜けるべきかどうか」という大問題で国民投票という火遊びをして、シャレにならない事態に陥っている国も居るわけですから。国債がいきなり2ノッチ落とされる、というのはまことに深刻な事態です。通貨は下がるし、金利は上がるし。よりによって、あの現実主義者の英国人がそんなことをしてしまうなんて・・・・。酷な言い方になりますが、英国は「貧すれば鈍する」という通りの展開だと思います。でも、日本の有権者に「東京都知事選で遊ぶ」という心のゆとりがあれば、きっと国政で変な過ちをしでかす恐れは少なくなることでしょう。

○ということで、7月はこの娯楽を心行くまで楽しみたいものだと思います。


<7月3日>(日)

○その昔、1990年代前半に長女がお世話になった共同保育所の同窓会がありました。諸事情があって、2007年春に解散したのでありますが、そのときに関係者一同が集まって以来、ほぼ10年ぶりに往時の保育士や父母たちに会ってみると、なるほどこれは幾星霜。なにより当時の園児が立派な母になっていて、幼児を連れてきていたりする。就職やら結婚やらいろんな人生模様がある。逆に父母は歳月を経ていて、適度に肉体的な劣化もこれあり、定年やら引退やらその後の人生やら、介護やら趣味やら健康法といった話が中心となる。そうか、ワシ(55歳)はまだしも若い方だったのか。30代の頃には、互いの年齢差などはまったく気にしていなかったのだが。

○昔々の共働き世帯の子育てというのは、そりゃあもう大変などというものではなくて、認可の公立保育園に入れるのはよっぽどの僥倖というものでありました。当時の柏市では、無認可の共同保育所くらいしか選択肢はなかったのであります。もちろん行政の支援などはまったく当てにはできなくて、父母が経営の主体となって、保育料から保育士の給与から園児募集までを決めていたというのが実態でありました。年に2回のバザーの時などは、「これで保育士さんたちにボーナスを支払わねばならない!」という熱意がほとばしったものであります。

○そしてまた、当時の保育というのはまことに自由闊達というか、天衣無縫というか、今の基準から考えると夢のようにおおらかなものでありました。お蔭で子どもたちは、とってもワイルドに伸びのびと育ちました。もちろん、当時はまだモンスターペアレンツなどというものは存在しませんでしたし、子育てや少子化に対する関心も低かったし、世の中的にもうるさいことは言わなかったのであります。当時、安い給料で献身的に働いてくれた保育士の皆さんには、今となっては多謝あるのみです。

○そういう立場の人間として、かねがね腹に据えかねていたことは、「保育園落ちた、日本死ね」なんて贅沢言うんじゃねえよ!ということでありました。昔はねえ、それはそれはもう大変だったんだよ。駅型保育も、NPO法人も、携帯電話もインターネットも、当時はまだ存在しなかった。電車の中に乳母車を持ち込むことさえ、考えられない時代だったんだよ。父親が抱っこ袋で子供を連れて歩くことさえ、奇異な目で見られたものなんだよ。「子連れはご遠慮ください」といろんな店で言われたりもしました。でも、仕方がないからいろんなことを我慢をしたのだよ。それにしたって、1970年代に比べればずっとマシだったんだけどねえ。

○ということで、以上は年寄りの繰り言でした。25年もたつと、世の中は全く別世界だねえ。


<7月4日>(月)

○今朝は「モーサテ」に出演。特集テーマは「米大統領選 苦しいトランプ」。もうあと2週間で共和党大会ですから、そろそろこの話題は欠かせませんね。とりあえず副大統領候補は、近々発表されることでしょう。

○そこで赤丸急上昇中なのは、党大会まで3回しかない貴重な週末の中から1日を使って、トランプ候補が一緒にゴルフをしたというマイク・ペンス知事(インディアナ州)。インディアナ州は中西部の製造業集であるし、ペンス氏は下院議員が長かったので、議会の取引にも通じている。57歳と年齢のバランスもいい(トランプは70歳)。ただしものすご〜い保守派で、今どきLGBTなんか大っ嫌い、というから敵もいっぱいいる。とりあえず、「宗教の自由法」という名前を覚えておくとよいかと思います。

○今日のおまけはこちらをご参照。米大統領選に関するよもやま話をしているところに、ちょうどメジャーリーグの中継の仕事を終えたばかりの森田アナが乱入。なんと徹夜で仕事をしていたんですね。お疲れ様であります。本日ご一緒した野沢アナとは、ともに「ウィニング競馬」で競馬中継をやっている先輩後輩でもあります。ということで、その後は朝食をとりながら、お二人と競馬談義に花が咲いたのでありました。

○本日の経済視点は「政治日程」といたしました。この夏の政治日程は面白いですよ。


7月

英保守党で下院議員による党首候補絞り込み(7/5→7→12)
参議院選挙(7/10)
仲裁裁判所による南シナ海判決(ハーグ、7/12)
ASEM首脳会議(ウランバートル、7/13-14)
東京都知事選公示(7/14)
自民党が大型補正予算案を発表(中〜下旬)?
共和党大会(クリーブランド、7/18-21) 
民主党大会(フィラデルフィア、7/25-28)
日銀、金融政策決定会合(7/28-29)→追加緩和?
東京都知事選挙(7/31)

8月

内閣改造、自民党役員人事?
臨時国会召集(8/1-4?)→参院議長を決定
リオ五輪(8/5-21)
内閣府が4‐6月期GDP速報値を公表(8/15)
イエレン議長の講演(ジャクソンホール、8/26)
TICADY(ナイロビ、8/27-28)
*その前後にイラン訪問、サウジ訪問の可能性も

9月

日ロ首脳会談(ウラジオストック、9/2-3)→年内にプーチン訪日目指す
G20首脳会議(中国・杭州、9/4-5)
ASEAN関連首脳会議(ラオス、9/6-8)
英保守党が党員投票で新党首を決定(9/9)
9/11同時多発テロ事件から15周年(9/11)
国連総会(9/20〜)→安倍首相出席
日銀、金融政策決定会合(9/20-21)
民進党代表選(9月中)
秋の臨時国会召集(9月末)→大型補正、TPP審議、消費増税延期法案など


<7月6日>(水)

○ドイツの新聞記者が取材に来訪。日本経済に関するインタビュー。

問い。「アベノミクスは失敗しているように思うけど如何に」。
答え。「失敗であれば、とっくの昔に忘れられているはず。アベノミクスが今年で4年目、ということはそれ自体が経済政策として成功している証であろう」

○経済政策というものは、ちゃんと時間をかけて続けなければならない。手ごたえがないから、みたいな理由でコロコロ変えるのはよろしくない。というか、1年以内で姿を消した政策は過去にもいっぱいあった。特に毎年のように首相が変わっていた時期には、官邸が「新しい成長戦略のアイデアを持って来〜い!」と発破をかけても、各省庁は「ほっとけ、来年になったらどうせ変わるんだから・・・」と本命ネタを温存したものである。そういう政権で、良い政策が打ち出されるはずがないのである。

○その点、長期政権が続いて同じ政策が続いている、というのは経済でも外交でも良いことであると思う。たとえ最終的にそれらが失敗に終わったとしても、原因と責任の所在が自明である。その場合は次の一手が分かりやすい。中途半端はいかんです。

○そこでふと思い出したのが、最近あったタクシーの運転手との会話。「こないだ私、小泉元首相を乗せましたよ。お供も連れずに、1人で乗ってこられました」「へえ〜、そりゃすごいですね。どんな感じでしたか」「お元気そうでした。私ねえ、小泉さんが好きだったけど、最後は投票しなかったなあ。だってあの人のお蔭で、わが業界は大変なことになってしまったもの」

○なるほど、確かにそういう時期があった。2006年くらいだったか、構造改革路線でタクシーの需給調整を規制緩和したところ、夜の銀座や赤坂が空車の群れで埋め尽くされるようになった。客としては良かったが、タクシー業界としては大変であったことと思う。「これじゃあ食べていけないからと、みんなで野党に入れたんですよ。でも、1度で懲りました」。似たような話は、あっちこっちで聞いたような気がするぞ。

○今回のBrexitでも、「黒キャブの運転手は皆離脱派だった」という話を聞いた。さて、彼らは懲りるのか。それが判明するまでには、もうちょっと時間がかかりそうだなあ。


<7月8日>(金)

○いよいよ参院選が迫ってまいりました。そこで終盤戦における「世論調査研究会」の予測をここに掲載しております。まだまだ、最後の1日でひっくり返る選挙区だってあるでしょうが、大きな流れは変わらないと思います。

○5人の「政治オタク」の間では、こんな風に意見が散っています。合計すると、与党系が72〜77、野党系が44〜49となります。

自民:58〜61(改50)

公明:14〜15(改9)

与党系無所属:0〜1

民進:25〜30(改43)

共産:7〜10(改3)

おおさか維新:6〜9(改2)

社民:1〜1(改2)

生活:0〜0(改2)

こころ:0〜0(改0)

新党改革:0〜0(改1)

野党系無所属:2〜2

○そういえば、今回の参院選ではほとんど家の近所で選挙カーを見かけなかった。まことにありがたいことである。静寂は金なり。


<7月10日>(日)

○今日は朝一番で投票を済ませて、そのまま新幹線に乗って福島へ。そうなのです。今日は七夕賞の日なので、恒例により福島競馬場に参ったのです。本日はぐっちーさんと、この連載ページの担当編集者F氏と3人で福島に乗り込みました。ちなみにやまげんさんは、あいにく本日は選挙特番の仕事があるとのことでした。お疲れ様であります。

○現地では福島民報の高橋利明記者とお目にかかることが出来ました。3年前にこんなことを書いたのがご縁でありました。考えてみれば、この季節の福島通いも今年で5年目である。とうとう仲間ができたというのがちょっとうれしい。高橋記者から、今期の傾向などについていろいろ伺う。福島から見た中央競馬の姿というのは、「ああ、そうだったのか」と気づかされることが多かった。なんだか世界が広がった感があります。

○6Rから買い始める。ご当地出身の木幡初広騎手の次男、木幡巧也騎手騎乗のグッバイサマーの複勝から。これがめでたく3着につけてくれて、幸先の良いスタートを切る。長男の木幡初也騎手よりも、次男の巧也騎手の方が成績が良い。さらに弟の三男が競馬学校にいるとのことで、間もなく3兄弟がレースで勢ぞろいするかもしれない。息子3人と一緒にレースする日が来たら、お父さんはきっと感動して泣いちゃうよね。それは是非、この福島競馬場であってほしいと思います。

○が、それから先がいけません。7R、8R、9Rと連続して当たらない。10R、高橋記者推奨のキャプテンベリーも来なくて、いよいよピンチ。函館11Rが取れて、やっと息を吹き返すも、これでは何のために福島に来たのかわからない。そこでいよいよメインの七夕賞である。ヤマニンボアラクテから買ってみたけど、これが失敗。終わってみれば、アルバートドック、ダコールのワンツーでした。やまげんさんの先週の予測がずっぽし来た形。なおかつ、3着にはマイネルラクリマを僅差でかわしてオリオンザジャパンが来たけれども、逆だったらどえらい3連単馬券が取れていたところでした。畏れ入りました。

○ということで、家に帰って来てから選挙速報を見ております。こっちはあんまり意外性がないですねえ。そっちの解説はまたいずれ書きましょう。


<7月11日>(月)

○改めまして、昨日の参院選を振り返ってみましょう。今の参議院選挙はとっても不思議なルールになっていて、以下のような「全く別物」の選挙区で戦われています。


(1)1人区:32議席(32県)

「勝負の分け目は1人区」とはよく言われるところで、そのために野党共闘をやったともいえるのですが、1人区は複数区の41議席や比例区の48議席に比べると少ない、というのも事実です。今回は自民党が21勝11敗でした。これは筆者の事前予想と比べると、「民進党がよくこれだけ勝てたものだ」と感心する域でありまして、その意味では野党協力は成功しているのでしょう。

2人区から1人区に減らされた宮城、新潟、長野はすべて自民党が負けました。合区になった鳥取・島根と徳島・高知は自民党でしたが。それから東北地方は秋田県以外は全敗でしたね。やはりTPPが影を落としているのでしょうか。それから自民党が負けた11県のうち、4つは女性候補者に負けています。

(2)複数区:41議席(13都道府県)

1人区では協力している野党も、複数区では完全な競合状態になります。その意味では、本当の意味の野党協力なんてできっこないのです。まして「最後の1議席」を民共で争ったりするのですから。全体に言えば、自民党が強さを発揮しました。東京都と福岡県以外は、すべて自民党がトップ当選を果たしています。

そんな中で、議席数が増えた北海道(自民民)、東京都(民自公共自民)、愛知県(自民公民)では民進党が2議席ずつを確保して善戦しました。もっとも関西は民進党には奇問で、大阪府(自お公お)とか兵庫(自公お)と民進党抜きの憂き目となりました。全般に民進党は西日本で弱いです。

面白いのは2人区で、茨城県、静岡県、京都府、広島県の4府県は2議席。こんなに楽な場所はありません。自民党と民進党が仲良く議席を分け合います。

公明党は候補者を立てた7選挙区で全勝でした。共産党は東京1議席のみに終わりましたが、どうやら「自衛隊は殺すための予算」のひとことで流れが変わったようです。

(3)比例区:48議席

ここでは筆者の予想以上に自民党が健闘しました。2011万票を獲得して19議席を確保。衆参を併せて、自民党の比例区得票が2000万を超えたのは「小泉郵政解散」(2005年)の2588万票以来の快挙です。おそらく18歳選挙権がそのまま「上乗せ効果」をもたらしたのではないでしょうか。なにしろ「若者は自民党」ですからね。

民進党は1175万票と、こちらも大台に乗せました。2010年の1845万票に比べると見劣りしますが、その後、2012年衆院選、13年参院選、14年衆院選と3回連続して1000万票に届かなかったことを考えると、意外と良かったという見方もできます。今回の選挙は全体に「民進党が負け渋った」という印象がありますね。岡田代表は内心、「この程度で済めば上出来だろう」と思っているのではないでしょうか。

公明党の757万票、共産党の601万票、社民党の153万票、生活の党の106万票、といった辺りは「いつも変わらぬ固定票」ですね。これらの政党は、直近3回の選挙ではだいたいそれくらいは取っている。鉄板のお客さんともいえるが、その分、伸び代は限られている。

読みにくかったのは「第三極」の動向です。2014年衆院選ではみんなの党が838万票も持っていたのですが、この人たちはどこへ行ったのか。おおさか維新の会は515万票でしたが、「おおさか」と付けなかったらもっと上乗せが期待できたように思われます。

日本のこころを大切にする党(73万票)以下は議席獲得には至りませんでした。それにしても新党改革(58万票)、国民の怒り(46万票)、幸福実現党(36万票)は、なんと「支持政党なし」(64万票)に及びませんでした。そんなに大勢騙されてしまうとは・・・。


○現在の参院選の制度は、かなり変な3つの制度の組み合わせであって、これでは統一的な戦略は立てにくいですね。こんなことでいいのかねえ、という気がいたします。


<7月12日>(火)

○東京都知事選、自民党が小池vs.増田の分裂選挙なら、野党側も鳥越vs.宇都宮と分裂のお付き合いをしてくれて、いよいよ「こんな風にだけはなってほしくない」と思っていたお祭り騒ぎになりつつあります。まあ、粗忽者の某芸能人が、大恩あるプロダクション社長から叱責を受けて、慌てて引っ込んだのは良かったなと思いますけれども。

○さて、そんな中で本日、上杉隆氏が本日、東京都庁で立候補記者会見をやらかしました。これがキャッチフレーズ。

「自民の東京でもない、民進の東京でもなければ、公明の東京でもない。共産の東京でもない。都民の東京です」

○溜池通信の古い愛読者にはピンとくると思いますが、これ、出典はバラク・オバマですよね。

○実を言いますと、上杉氏とはここ数年、ほとんど毎月のように情報交換をしておるのですが、先月になってこのプロジェクト(都知事選出馬)の全容を聞かされました。まあ、止めて聞くような人ではなし、その時点でポスターの手配まで済ませておりました。それに都政や都知事選の実務については、彼ほど詳しい人はあんまり居ないのです。なにしろ1999年の鳩山邦夫選対をやっているし、石原都知事の本も書いているし、都政への取材もずっと続けている。ということで、生ぬる〜く見守っておったわけです。

○上杉氏と初めて会ったのは、2007年参院選のテレビ東京による開票速報のスタジオでありました(そういえばあの場には小池百合子さんも居たっけなあ)。その後の数年間の間に、彼は『官邸崩壊』なんて本を出し、機密費問題を取り上げ、記者クラブの廃止を訴え、自由報道協会なんて組織を立ち上げている。震災後は福島はメルトダウンだと言い出し、要は嫌われるに決まっていることをたくさんやらかしています。毀誉褒貶がつきまとうものですから、「かんべえさんともあろうものが、あんな人に近づいちゃいけません」などと真面目に忠告してくれる人も、今までに何人かおりましたなあ。

○上杉氏、少し前からは、これからはネットメディアの時代だと言い出して、ニューズオプエドというネット番組を開設している。それから2年前の都知事選では、彼は細川選対をやっておるのです。まあ、とにかくフットワークが軽くて、いくつも仕事場を変えていくのでありますが、そのときどきの方向性の是非はさておいて、あのバイタリティはつくづく感心するほかはありません。

○なにしろ当方は、この間ずっと同じような日々を延々と過ごしているわけでして、これはもう上杉劇場の観客席の1人みたいなもんです。昨日、会った際にもそういう話になって、「それで選挙に落ちてからはどうするの?」と尋ねたら、「だって僕、まだ48歳ですから」という返されたときには、ちょっとだけ妬ましく思えましたな。他人を嫉妬しない、というのは不肖かんべえの数少ない美徳のひとつなのでありますが。

○ということで、出馬したからには祈当選。既成のマスメディアは無視しようとするでしょうけれども、まあ、そこは想定の範囲内で、大いに暴れてもらいたいと思います。なにしろ他の候補者たちは、東京都政になんてあんまり関心はなさそうに見えますので。


















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編集者敬白





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by Kanbei (Tatsuhiko Yoshizaki)