【前回の復習】
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」②
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」③
【夏祭り】
舞園「ごめんなさい、待ちましたか?」
苗木「ううん。僕も今来たとこだよ」
舞園「あ……」
苗木「どうしたの?」
舞園「いえ。なんか、デートみたいだなって」
苗木「そ、そうかな?」
舞園「ええ、少しだけ」
苗木「……ねえ」
舞園「はい」
苗木「似合ってるよ、浴衣。綺麗だ」
舞園「ふふっ。ありがとうございます」
苗木「じゃ、行こうか」
舞園「はい。あっ」
苗木「ほら、人多いし。はぐれるといけないからさ」
舞園「……そうですね。えへへ」
ギュ…
ワイワイ
苗木「大きい祭りじゃないはずだけど、思ったより賑わってるね」
舞園「みんなお祭りが好きなんですよ」
苗木「舞園さんも?」
舞園「もちろん。少し寂しいですけどね」
苗木「寂しい?」
舞園「ほら、なんていうか……これでもう、終わってしまうじゃないですか」
苗木「……」
舞園「夏休み。楽しかったです」
苗木「うん。僕も」
舞園「苗木くんと一緒に過ごせて、とても楽しかったです」
苗木「僕も、舞園さんと一緒にいられてよかったよ」
舞園「……」
苗木「……」
舞園「あっ、金魚掬い!」
苗木「やってみようか」
舞園「はいっ」
舞園「……」
舞園「……」スッ
舞園「あっ……」
チャプン…
苗木「破れちゃったね」
舞園「うーん、難しいですね……」
苗木「もしかしてあまり金魚掬いやったことない?」
舞園「そうですね。レッスンとかで忙しくてお祭り自体あまり……」
苗木「コツがあるんだ」
舞園「コツ、ですか?」
苗木「うん。こうやって水の中を水平に動かして……」
舞園「……」
苗木「……それっ!」
舞園「わっ、すごい! 苗木くん上手ですね!」
苗木「祭り、けっこう好きなんだ。毎年家族と来るし」
舞園「そうなんですね。あっ、すみません、今年は……」
苗木「ううん。今年は舞園さんと来たかったから」
舞園「……私もですよ。ふふっ」
金魚「……」プカプカ
苗木「1匹だけでよかったの?」
舞園「はい。金魚飼うのも初めてですし」
苗木「そっか。元気なの選んだから、長生きすると思うよ」
舞園「本当ですか? ありがとうございます」
苗木「ううん。あ、かき氷食べない?」
舞園「いいですね。わあ、いろんな味がある」
苗木「んー、何味にしよう……」
舞園「私はいちご味ですね」
苗木「じゃあ、僕はブルーハワイかな」
シャクシャク
舞園「冷たくて美味しいですね」
苗木「うん。あ、そんな急いで食べない方が……」
舞園「んう?っ!」キーン
苗木「遅かったか……」
舞園「うう……かき氷食べるの久しぶりで忘れてました……」
苗木「大丈夫?」
舞園「大丈夫じゃないです。苗木くんが早く言わないせいです」
苗木「はは、ごめんごめん」
舞園「罰としてブルーハワイを少しください」
苗木「いいよ、はい」アーン
舞園「あむ……」パク
苗木「どう?」
舞園「美味しいです。けど……」
苗木「けど?」
舞園「これ、何の味なんでしょうか」
苗木「そういえば……何味なんだろうね、ブルーハワイって」
舞園「あっ」
苗木「どうかした?」
舞園「苗木くん、舌、出してください」
苗木「え? こう?」ベー
舞園「……ぷっ、ふふっ」
苗木「えっ、何!?」
舞園「苗木くん、舌が真っ青になってますよ」
苗木「あー、色つくの忘れてた!」
舞園「くすくす。そこまで綺麗に青くなるんですね」
苗木「……あれ? でも舞園さんも一口食べたよね、ブルーハワイ」
舞園「あっ……」
苗木「はは、お揃いだ」
舞園「むう。色、ついてます?」ベー
苗木「んー……」
舞園「ほうへふは?(どうですか?)」
苗木「えっとね……」
苗木(舞園さんが、舌を少し出して近づいてくる)
苗木(気づいてないのかな)
苗木(もう少しで、顔、くっ付いちゃうよ?)
苗木(なんか浴衣のせいもあって、ドキドキするな……)
舞園「はえひふん?(苗木くん?)」
苗木「……うん、大丈夫。むしろいちご味で真っ赤だよ」
舞園「そうですか、よかったぁ」
苗木「ねえ、あっちの方、行ってみようか」
舞園「はい。あれ? 苗木くん、顔が赤いですよ?」
苗木「き、気のせいじゃない?」
舞園「いえ、やっぱり赤いです」
苗木「照明の関係だよ」
舞園「こっち向いてみてください」
苗木「え、ええ?」
舞園「ほら、赤いです」
苗木「赤くないってば」
不二咲「……」
大和田「おーい。たこ焼き買ってきたぜ、不二咲」
石丸「む、どうかしたのかね?」
不二咲「あ、ううん。何でもないよ」
不二咲(あの2人、付き合ってないんだよね……?)
苗木「あれ? あそこ人が集まってるね」
舞園「えっと、あれは……射的みたいですね」
ターンッ
オオォ! スゲェ!!
戦刃「次……」
江ノ島「お姉ちゃんすご~い! 店主さんがすっごい絶望的な顔してるよ~!」
ターンッ
モウヤメテクレェ!
戦刃「次……」
江ノ島「というか私の声も聞こえていませんね」
苗木「戦刃さんと江ノ島さん?」
戦刃「苗木くん!?」バッ
江ノ島「苗木の声は聞こえんのかよ! この残姉がッ!!」
苗木「久しぶりだね」
戦刃「う、うん」
舞園「江ノ島さんたちも来てたんですね」
江ノ島「希望ヶ峰から近いからね。まあ、ボクは残念なお姉ちゃんに無理やり連れてこられたんだけどね」
戦刃「え? 盾子ちゃんが暇だから行こうって……」
江ノ島「黙っていろ残姉ッ!!」
苗木「あはは……」
舞園「ところでそれ、もしかして全部射的の景品ですか?」
江ノ島「はい……姉さんが思いのほかハマってしまって……」
苗木「すごいね……」
戦刃「そ、そうかな」テレッ
江ノ島「あーあ。苗木に会ったとたん馬鹿みたいに顔赤くなってやがんの」
舞園「わかりやすいですよね、戦刃さん」
江ノ島「ホントにねー。ところでアンタら、今日はデート?」
舞園「ええ。そうですよ」
江ノ島「……ふうん」
舞園「なんですか?」
江ノ島「いや? ついに素直になったかと思って」ニヤニヤ
舞園「……」
江ノ島「まあいいや。お姉ちゃーん、そろそろ行くよー」
戦刃「あっうん。またね苗木くん、舞園さん」
苗木「うん、また学校で!」
苗木「戦刃さんたちも来てたんだね」
舞園「景品、すごかったですね」
苗木「僕たちもやってみる?」
舞園「はい! あっ、けど……」
苗木「どうかした?」
舞園「私、射的はやったことがなくて……」
苗木「じゃあ僕が教えてあげるよ」
舞園「本当ですか? ありがとうございます!」
苗木「戦刃さんみたいに上手くはないけどね」
舞園「構いませんよ。私は苗木くんに教えてもらいたいんです」
苗木「はは、ありがとう。よし、2人分お願いします」
苗木「じゃあ、とりあえず1発撃ってみようか。弾をここに詰めるんだ」
舞園「はい」
苗木「で、構え方なんだけど……」
舞園「えっと、こんな感じですか?」
苗木「……ちょっと失礼するね」ピト
舞園「へっ?」
苗木「ここをこう持って……顔はこっちに……」ギュ
舞園「は、はい」
舞園(こ、これ……後ろから抱きかかえられてますよね……)カァァ
苗木「落ち着いて的を狙って……」
舞園「うう……」
舞園(落ち着くなんて無理ですよ!? 耳元で囁かれてどう落ち着けっていうんですか!)///
苗木「引き金を引いてみようか」
舞園「あ、はい!」
舞園(落ち着いて引き金を引く……落ち着いて引き金を引く……)
舞園「……」
苗木「舞園さん?」
舞園「あ、あの……」
苗木「なに?」
舞園「い、一緒に引いてもらえませんか……? その、指が震えちゃって……」
苗木「う、うん。わかった」スッ
舞園「……」
苗木「じゃあ……いくよ……?」
舞園「はい……」
舞園(背中も、耳元も、この右手も……苗木くん、暖かいな……)
ターンッ
――――
――
舞園「うーん。残念でしたね」
苗木「ごめんね、何も取れなくて」
舞園「いえいえ、私は楽しかったですよ」
苗木「そっか。よかった」
舞園「あっ、これ食べましょう、わたあめ!」
苗木「わたあめ? 最近食べてないなあ」
舞園「1人で食べるには少し大きいんですよね」
苗木「確かに。けど、2人ならちょうどいいよね」
舞園「ええ。きっと」
苗木「どう、わたあめ?」
舞園「あむ……久しぶりに食べると結構美味しいです」
苗木「本当?」
舞園「苗木くんも食べてください」
苗木「うん。貸して」
舞園「このまま食べましょうよ」
苗木「このまま?」
舞園「私はこっちからで、苗木くんはそっちから。これだけ大きいんですし、ねっ」
苗木「そう? じゃあ僕も……」
舞園「どうですか?」
苗木「うーん……甘いね」
舞園「ふふっ。当たり前じゃないですか」
苗木「あはは……」
苗木(いや、舞園さんの顔がすぐ目の前にあるから、ドキドキしてよく味がわからないんだよね……)
苗木「甘いね」
舞園「はい。とっても甘いです」
苗木「さて、次は……」
舞園「あ……」
苗木「舞園さん?」
舞園「すみません、ちょっとお花を摘んできますね」
苗木「花を? えっ?」
舞園「もう。そこは聞き返さないのがマナーですよ?」
苗木「へ? ……あっ、ご、ごめん!」
舞園「ふふ。あ、金魚持っていてもらえますか?」
苗木「う、うん」
舞園「じゃあ、ここで待っていてくださいね」
苗木「うん。いってらっしゃい」
苗木「さて、次は……」
舞園「あ……」
苗木「舞園さん?」
舞園「すみません、ちょっとお花を摘んできますね」
苗木「花を? えっ?」
舞園「もう。そこは聞き返さないのがマナーですよ?」
苗木「へ? ……あっ、ご、ごめん!」
舞園「ふふ。あ、金魚持っていてもらえますか?」
苗木「う、うん」
舞園「じゃあ、ここで待っていてくださいね」
苗木「うん。いってらっしゃい」
「……あら? 苗木くん?」
苗木「ん?」
霧切「こんばんは」
苗木「霧切さん!」
霧切「あなたも来ていたのね。その金魚、苗木くんが掬ったの?」
苗木「あ、掬ったのは僕だけど、舞園さんのだよ」
霧切「……そういうことね」ボソ
苗木「どうかした?」
霧切「何でもないわ。ところで苗木くん、他に何か言うことはないのかしら?」
苗木「はは、ごめんごめん。霧切さんの浴衣姿って新鮮だね。似合ってるよ」
霧切「ふふ。ありがとう」
苗木「浴衣まで着てるってことは、霧切さんって祭りが好きなの?」
霧切「いえ、祭りに興味がある方ではないわ。友達に誘われたのよ」
苗木「そっか。あ、ごめんね引き止めちゃって……」
霧切「大丈夫よ。あの子、今は席を外しているみたいだから。……気を遣わせてしまったわね」
苗木「へっ?」
霧切「……ねえ、苗木くん」
苗木「ん、なに?」
霧切「前からあなたに伝えたいことがあったの」
苗木「伝えたいこと?」
霧切「ええ。……苗木くん」
苗木「うん」
霧切「私、あなたのことが好きなの。付き合ってくれないかしら」
苗木「え……ええっ!?」
霧切「……」
苗木「ちょ、ちょっと待って、えっ、えええ!?」
霧切「気づいてなかったの?」
苗木「ぜ、全然気づかなかったよ!?」
霧切「はあ……」
苗木「な、え、本気……なの……?」
霧切「私が冗談でこんなこと言うと思う?」
苗木「思わない……けど……」
霧切「なによ」
苗木「なんで僕なの? その、こんな何の取り柄もないような……」
霧切「それはあなたを好きになった私に男を見る目がないと言っているの?」
苗木「いやっ、そういうわけじゃなくて!」
霧切「……ぷっ、くすくす」
苗木「き、霧切さん……?」
霧切「く、ふふっ、慌てる苗木くんって面白いわね」
苗木「ええ……なにそれ……」
霧切「それで?」
苗木「えっ?」
霧切「苗木くん。あなたの返事は?」
苗木「霧切さん……」
苗木「……」
霧切「……」
苗木「ごめん……霧切さんとは、付き合えない……」
霧切「一応、理由を聞いてもいいかしら?」
苗木「……僕、好きな人がいるんだ」
霧切「そう」
苗木「だから、ごめん……」
霧切「……」
苗木「あの……」
霧切「……ふふ。いいのよ、謝らなくて。こうなるのは分かっていたもの」
苗木「え?」
霧切「分かっていたわ。あなたが私のことをそういう目で見ていないって」
苗木「……」
霧切「私なりにけじめを付けたかったの。ありがとうね、きっぱりと振ってくれて」
苗木「霧切さん……」
霧切「ところで、好きな人っていうのは誰? 私の知っている人かしら」
苗木「それは……ごめん。言えないかな」
霧切「そう。じゃあ私は友達に会いに行くわ。舞園さんによろしくね、それじゃ」クルッ
苗木「あ、うん……またね!」
霧切「……」
苗木「また二学期に、学校でね!」
霧切「……ええ」スタスタ
霧切「……」
舞園「……いいんですか?」
霧切「覗き見? 趣味が悪いわね」
舞園「私は友達との待ち合わせ場所に戻ってきただけですよ」
霧切「そのお友達から伝言よ。誘ってくれてありがとう。けど、疲れたから今日はもう帰るって」
舞園「そうですか。じゃあ、友達にこれを渡してもらえませんか?」
霧切「ハンカチ……?」
舞園「そのうち返していただければいいので」
霧切「洗って返すわ」
舞園「別にいいですよ」
霧切「……ありがとう」
――――
――
舞園「苗木くーん!」
苗木「舞園さん……」
舞園「ごめんなさい、待たせちゃって」
苗木「……」
舞園「苗木くん、何かありました?」
苗木「……ううん。なんでもないよ」
舞園「そうだ、戻ってくるときにたこ焼き買ったんです。食べましょう」
苗木「うん。って、結構量あるね……」
舞園「そうですね。3人くらいなら丁度よかったかもしれません」
苗木「……そうだね」パク
舞園「あっ、一口で食べたら……」
苗木「あ、熱っ!?」
舞園「大丈夫ですか!?」
苗木「う、うん……」
舞園「ああもう、口元にソースが付いちゃって……あっ」
舞園(そっか。ハンカチ、霧切さんに渡したんでしたね……)
苗木「舞園さん?」
舞園「ちょっと拭きますよ」
苗木「待って、それじゃ舞園さんの指が汚れちゃうって」
舞園「大丈夫ですよ。動かないでください」
苗木「わっ……」
舞園「……」
苗木「あー、指にソースが……何か拭くものあったっけな……」
舞園「ん……」ペロ
苗木「舞園さん!?」
舞園「ほら、これで大丈夫ですよ。ねっ」
苗木「う、うん……」///
舞園(こ、これ、間接キス……ですよね……?)
舞園(ああ、もう。自分からやったくせに顔が熱くなって……)
舞園「つ、次、行きましょうっ」///
苗木「あっ、待ってよ舞園さん!」
苗木(僕の……僕の、好きな人は……)
ドン
舞園「きゃっ」
苗木「舞園さん、大丈夫!?」
舞園「は、はい……。人、増えてきましたね」
苗木「もうすぐ花火が始まるからね」
舞園「ああ、なるほど」
苗木「手貸して。はぐれるといけないから」
舞園「……ダメです」
苗木「え?」
舞園「手だけじゃダメです。苗木くんは人混みを甘く見ています」
苗木「ご、ごめん……?」
舞園「だから……」
ギュ
舞園「腕……掴まっててもいいですよね……」
苗木「ま、舞園さん……」
舞園「これならはぐれる心配はありません」
苗木「……そうだね」
苗木(舞園さん……)
苗木(浴衣って結構薄いからさ、その……)
苗木(すごく肌と肌が近いように感じる)
苗木(……)
苗木(ずっと、こうしていたいな……)
舞園「ふふ。私もです」
苗木「え、なんで……」
舞園「エスパーですから」ニコ
苗木「……ふ、くくっ」
舞園「あー! なんで笑うんですか!」
苗木「ごめんごめん、なんだか可愛くて」
舞園「えっ?」
苗木「あっ」
舞園「……あ、ありがとうございます」///
苗木「ど、どういたしまして」///
舞園「うう……」///
苗木「……そ、そうだ! あっち行こうよ」
舞園「え? 屋台も何もないですよ?」
苗木「人がいなくて花火がよく見えるとこがあるんだ」
――――
――
舞園「ほ、本当にこっちでいいんですか?」
苗木「うん、もう少しで開けた場所に出るから……ほら。着いたよ」
舞園「わあ……空がよく見えますね!」
苗木「でしょ? 前にここの祭り来たことあってさ、そのときに見つけたんだ」
舞園「へえ。花火はどっちでしょう」
苗木「えっとね、確かあっちの方に……」
ヒューー…
ドンッ
舞園「あっ……綺麗……」
苗木「うん……」
苗木「ちょうどいい時間だったね」
舞園「はい」
苗木「花火、綺麗だね」
舞園「はい。……もう少し、寄ってもいいですか?」
苗木「これ以上?」
舞園「これ以上です」
苗木「……うん。いいよ」
舞園「じゃあ、お言葉に甘えて」ピト
苗木「……」
舞園「……」
苗木「暖かいね」
舞園「はい」
舞園「……いろいろありましたね、夏休み」
苗木「うん。初めの方は寮の冷房が壊れて大変だったね」
舞園「あれは暑かったですね。おかげで随分と苗木くんの部屋に入り浸っちゃいました」
苗木「扇風機があってよかったよ、本当に」
舞園「海も楽しかったですね」
苗木「うん、とても」
舞園「苗木くん、私の水着姿にドキドキしてましたよね」
苗木「い、いや、そんなこと……」
舞園「してましたよね?」
苗木「はい。ドキドキしてました」
舞園「ふふっ、素直でよろしい」
舞園「苗木くんが風邪を引いたこともありましたね」
苗木「舞園さんが風邪を引いたふりをしたこともね」
舞園「苗木くんに看病してもらえてよかったです」
苗木「はは……」
舞園「それにしても」
苗木「うん」
舞園「本当に、いろいろ遊びましたね」
苗木「買い物に行ったり、映画観たり、ゲームしたり」
舞園「2人で一緒の本を読んだり。あっ、料理もしましたね」
苗木「そういえばさ」
舞園「なんですか?」
苗木「あの、買い物行ったときとかってさ」
舞園「はい」
苗木「デート、だったのかな」
舞園「……」
苗木「僕は、そうだったらいいなって思ってたんだけどさ」
舞園「私もですよ」
苗木「そっか。今日も?」
舞園「ええ、もちろん。これはデートです」
苗木「よかった」
苗木「デートに行ったり、海に行ったり、お互いの部屋に行ったり。これってさ……」
舞園「私の後輩と同じですね」
苗木「だよね」
舞園「こうして考えると、私たち、付き合っているようにしか思えませんね」
苗木「はは……」
舞園「ふふ」
ヒューー…
ドンッ
苗木「花火、綺麗だね」
舞園「はい」
苗木「ねえ、舞園さん」
舞園「なんでしょう」
苗木「僕さ、舞園さんに伝えたいことがあるんだ」
舞園「奇遇ですね。私も、苗木くんに伝えたいことがありますよ」
苗木「本当?」
舞園「はい。せーので言いませんか?」
苗木「そうしようか」
舞園「じゃあ、お願いします」
苗木「うん。せーの……」
「「好きです」」
苗木「……」
舞園「……」
苗木「僕、ちょっと前から舞園さんのことが好きだったんだ」
舞園「私なんて結構前から苗木くんのこと好きでしたよ」
苗木「じゃあ僕はずっと前からファンだったし」
舞園「私だって中学の頃から気になってましたもん」
苗木「む……」
舞園「むむ……」
苗木「……ぷっ」
舞園「ふふっ」
苗木「なんていうか、似たもの同士だね。僕たち」
舞園「そうですね」
苗木「……。だから、その、さ……」
舞園「はい」
苗木「僕たち……」
舞園「……」
苗木「……友達に、戻ろう。本当に普通の、仲がいいだけの友達に」
苗木「舞園さんは、アイドルだから」
舞園「はい」
苗木「僕は、舞園さんに輝いていてほしい」
舞園「……」
苗木「夢を実現させ続けてほしい」
舞園「……」
苗木「僕は、アイドルの舞園さんのことも好きなんだ」
舞園「……ありがとうございます」
苗木「アイドルは恋愛禁止だもんね」
舞園「……ええ」
苗木「だから、普通の友達に戻ろう」
舞園「……私、苗木くんのことが大好きなんです」
苗木「ありがとう」
舞園「優しいところが好き」
苗木「……」
舞園「一生懸命頑張るところが好き」
苗木「……」
舞園「それに、いつでも前向きなところが好き」
苗木「はは……」
舞園「でも、アイドルが誰かをこんなにも想っちゃ、いけませんよね」
苗木「そうだね」
舞園「だから、ええ。普通の友達に戻りましょう」
苗木「……ねえ。待ってても、いいかな?」
舞園「私がアイドルじゃなくなるまで、ですか?」
苗木「うん」
舞園「私、おばさんになってるかもしれませんよ?」
苗木「うん」
舞園「ずっと待たせちゃいますよ?」
苗木「構わないよ」
舞園「苗木くんには、きっと他にも……」
苗木「僕は、舞園さんじゃなきゃ嫌だ」
舞園「私、アイドルのために好きな人を諦めちゃうような女ですよ……?」
苗木「それでも僕は待っていたいんだ」
舞園「待っていて……くれるんですか……?」
苗木「うん。もちろん」
舞園「ありがとう、ございます……っ……」
苗木「……」
舞園「私、私……」
苗木「……」
舞園「後輩が、あやかのことが、雑誌に載って……それで、どうしようって……」
苗木「僕もだよ」
舞園「ごめ、んなさいっ……私がアイドル、捨てられないから……!」
苗木「そんな一生懸命な君だから、僕は好きになったんだ」
舞園「っ……苗木くん……」
苗木「……ねえ。最後にお願いがあるんだ」
舞園「なんですか……?」
苗木「抱きしめてもいいかな」
舞園「……はい」
苗木「ありがとう」
ギュッ
舞園「暖かいです……」
苗木「うん」
舞園「それに、幸せです。とっても……」
苗木「うん……」
舞園「苗木くん」
苗木「なに?」
舞園「私からも、1つお願いをしてもいいですか?」
苗木「うん。いいよ」
舞園「じゃあ……」
苗木「……」
舞園「あの……うう……」///
苗木「舞園さん?」
舞園「き……」
「……キス、してください」
苗木「えっ……?」
舞園「ダメ、ですか……?」
苗木「そ、それはさすがに……」
舞園「お願いします……そしたら私は、みんなのアイドルに戻りますから……」
苗木「けど……」
舞園「だから、今だけは……」
苗木「……」
舞園「今だけは、あなただけの舞園さやかでいさせてください……」
苗木「舞園さん……」
舞園「お願い……」
苗木「……ねえ、舞園さん」
舞園「はい……」
苗木「この数か月、とても楽しかったよ。君を好きになれてよかった……」
舞園「私もですよ。恋をするのがこんなに楽しくて、少し苦しいことを初めて知りました……」
苗木「ありがとう……待ってるから……」
舞園「はい。少しだけ、待っていてください……」
苗木「舞園さん……」
舞園「苗木くん……」
苗木「……」
舞園「……」
ヒューー…
ドン…
――――
――
【秋】
【アイドル】
『さやかー、もう部屋出た?』
舞園「ご、ごめんなさい、あと少し!」
『もう。でも珍しいね、さやかが寝坊だなんて』
舞園「うう……」
『スタートには間に合うんだよね?』
舞園「うん、マコトくんに餌をあげたらすぐ向かうから!」
『マコトくん……? ああ、金魚の名前だっけ』
舞園「はい。私の大切なお友達ですよ」
『まあそれはいいとして、早く早く!』
舞園「は、はいっ!」
【絶望】
戦刃「ねえ盾子ちゃん」
江ノ島「……」
戦刃「大丈夫?」
江ノ島「無理ぃ……」
戦刃「もう……」
江ノ島「だ、だってだって! あいつら絶対くっつくと思ってたのに! なんでこうなるのよ!? ぐすっ……」
戦刃「盾子ちゃんって、恋愛に関しては結構乙女だよね」
江ノ島「はああ何言ってんの!? 残姉お仕置きだからね!!」
戦刃「顔真っ赤にして言っても怖くないよ」
戦刃(人類絶望化計画、すっかり忘れてるよね……まあいいか)
【幸運】
桑田「おい苗木! 舞園ちゃんと夏祭りデートしてたって本当かよ!?」
苗木「へっ? 誰に聞いたのそれ?」
桑田「不二咲がお前らを見たって言ってたんだよ!」
苗木「ああー、それは……」
桑田「本当だったんだな!? デートしちゃったんだな!?」
苗木「えっと……」
霧切「あら。私もその場にいたわよ」
苗木「霧切さん!」
桑田「……二股?」
霧切「何を馬鹿なこと言ってるの。3人で遊びに行っただけよ。ねえ、苗木くん」
苗木「あ、うん! そうなんだよ!」
桑田「んー、じゃあデートではないわけか……」
苗木「そういうこと」
桑田「じゃあ苗木よお」
苗木「ん?」
桑田「夏休みの間に舞園ちゃんと付き合い始めたとかないのかよ?」
苗木「……」
桑田「どうなんだよ?」
苗木「……ふふっ」
桑田「んあ?」
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」
終わり
『――――』
「ほえー」
「何を見てるんだい?」
「あいどる!」
「アイドル?」
『モノクロームな恋が~ 2人を包んで~』
「おおー」
「おっ。これは……」
「夕食できましたよー。って、何を見てるんですか!!?」
「あいどる!」
「はは。伝説のアイドルだって」
「ちゃ、チャンネル変えませんか!?」
「だーめ!」
「駄目だってさ」
「うう……」
「あれー?」
「ん、どうした?」
「あいどる、ママににてる!」
「ああ、本当だね」
「っ~~!!」///
「ほ、ほら、ご飯食べますよ!」
「はいはい。ほら、行くよ」
「うんっ」
「って、あれ? 僕の茶碗は?」
「誠くんなんて知りません!」
「ごめんごめん。からかいすぎたよ、さやかさん」
「パパ、はやくはやく!」
「はーい」
「もう……」
「よし。じゃあ」
「「「いただきます」」」
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」②
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」③
388: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:47:24.11 ID:oMI7UmQ0o
【夏祭り】
舞園「ごめんなさい、待ちましたか?」
苗木「ううん。僕も今来たとこだよ」
舞園「あ……」
苗木「どうしたの?」
舞園「いえ。なんか、デートみたいだなって」
苗木「そ、そうかな?」
舞園「ええ、少しだけ」
389: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:47:51.63 ID:oMI7UmQ0o
苗木「……ねえ」
舞園「はい」
苗木「似合ってるよ、浴衣。綺麗だ」
舞園「ふふっ。ありがとうございます」
苗木「じゃ、行こうか」
舞園「はい。あっ」
苗木「ほら、人多いし。はぐれるといけないからさ」
舞園「……そうですね。えへへ」
ギュ…
390: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:48:25.08 ID:oMI7UmQ0o
ワイワイ
苗木「大きい祭りじゃないはずだけど、思ったより賑わってるね」
舞園「みんなお祭りが好きなんですよ」
苗木「舞園さんも?」
舞園「もちろん。少し寂しいですけどね」
苗木「寂しい?」
舞園「ほら、なんていうか……これでもう、終わってしまうじゃないですか」
苗木「……」
舞園「夏休み。楽しかったです」
391: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:49:13.12 ID:oMI7UmQ0o
苗木「うん。僕も」
舞園「苗木くんと一緒に過ごせて、とても楽しかったです」
苗木「僕も、舞園さんと一緒にいられてよかったよ」
舞園「……」
苗木「……」
舞園「あっ、金魚掬い!」
苗木「やってみようか」
舞園「はいっ」
392: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:49:40.33 ID:oMI7UmQ0o
舞園「……」
舞園「……」スッ
舞園「あっ……」
チャプン…
苗木「破れちゃったね」
舞園「うーん、難しいですね……」
苗木「もしかしてあまり金魚掬いやったことない?」
舞園「そうですね。レッスンとかで忙しくてお祭り自体あまり……」
393: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:50:21.45 ID:oMI7UmQ0o
苗木「コツがあるんだ」
舞園「コツ、ですか?」
苗木「うん。こうやって水の中を水平に動かして……」
舞園「……」
苗木「……それっ!」
舞園「わっ、すごい! 苗木くん上手ですね!」
苗木「祭り、けっこう好きなんだ。毎年家族と来るし」
舞園「そうなんですね。あっ、すみません、今年は……」
苗木「ううん。今年は舞園さんと来たかったから」
舞園「……私もですよ。ふふっ」
394: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:50:56.53 ID:oMI7UmQ0o
金魚「……」プカプカ
苗木「1匹だけでよかったの?」
舞園「はい。金魚飼うのも初めてですし」
苗木「そっか。元気なの選んだから、長生きすると思うよ」
舞園「本当ですか? ありがとうございます」
苗木「ううん。あ、かき氷食べない?」
舞園「いいですね。わあ、いろんな味がある」
苗木「んー、何味にしよう……」
舞園「私はいちご味ですね」
苗木「じゃあ、僕はブルーハワイかな」
395: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:51:22.73 ID:oMI7UmQ0o
シャクシャク
舞園「冷たくて美味しいですね」
苗木「うん。あ、そんな急いで食べない方が……」
舞園「んう?っ!」キーン
苗木「遅かったか……」
舞園「うう……かき氷食べるの久しぶりで忘れてました……」
苗木「大丈夫?」
舞園「大丈夫じゃないです。苗木くんが早く言わないせいです」
苗木「はは、ごめんごめん」
396: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:51:51.79 ID:oMI7UmQ0o
舞園「罰としてブルーハワイを少しください」
苗木「いいよ、はい」アーン
舞園「あむ……」パク
苗木「どう?」
舞園「美味しいです。けど……」
苗木「けど?」
舞園「これ、何の味なんでしょうか」
苗木「そういえば……何味なんだろうね、ブルーハワイって」
397: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:52:18.71 ID:oMI7UmQ0o
舞園「あっ」
苗木「どうかした?」
舞園「苗木くん、舌、出してください」
苗木「え? こう?」ベー
舞園「……ぷっ、ふふっ」
苗木「えっ、何!?」
舞園「苗木くん、舌が真っ青になってますよ」
苗木「あー、色つくの忘れてた!」
舞園「くすくす。そこまで綺麗に青くなるんですね」
398: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:53:56.75 ID:oMI7UmQ0o
苗木「……あれ? でも舞園さんも一口食べたよね、ブルーハワイ」
舞園「あっ……」
苗木「はは、お揃いだ」
舞園「むう。色、ついてます?」ベー
苗木「んー……」
舞園「ほうへふは?(どうですか?)」
苗木「えっとね……」
苗木(舞園さんが、舌を少し出して近づいてくる)
苗木(気づいてないのかな)
苗木(もう少しで、顔、くっ付いちゃうよ?)
苗木(なんか浴衣のせいもあって、ドキドキするな……)
399: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:54:35.71 ID:oMI7UmQ0o
舞園「はえひふん?(苗木くん?)」
苗木「……うん、大丈夫。むしろいちご味で真っ赤だよ」
舞園「そうですか、よかったぁ」
苗木「ねえ、あっちの方、行ってみようか」
舞園「はい。あれ? 苗木くん、顔が赤いですよ?」
苗木「き、気のせいじゃない?」
舞園「いえ、やっぱり赤いです」
苗木「照明の関係だよ」
400: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:55:15.97 ID:oMI7UmQ0o
舞園「こっち向いてみてください」
苗木「え、ええ?」
舞園「ほら、赤いです」
苗木「赤くないってば」
不二咲「……」
大和田「おーい。たこ焼き買ってきたぜ、不二咲」
石丸「む、どうかしたのかね?」
不二咲「あ、ううん。何でもないよ」
不二咲(あの2人、付き合ってないんだよね……?)
401: ◆3Exch9p5tM 2014/09/23(火) 23:56:39.67 ID:oMI7UmQ0o
続く。
夏の間に書きたかった…
夏の間に書きたかった…
410: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:09:57.66 ID:BIu9J4Wzo
苗木「あれ? あそこ人が集まってるね」
舞園「えっと、あれは……射的みたいですね」
ターンッ
オオォ! スゲェ!!
戦刃「次……」
江ノ島「お姉ちゃんすご~い! 店主さんがすっごい絶望的な顔してるよ~!」
ターンッ
モウヤメテクレェ!
戦刃「次……」
江ノ島「というか私の声も聞こえていませんね」
苗木「戦刃さんと江ノ島さん?」
戦刃「苗木くん!?」バッ
江ノ島「苗木の声は聞こえんのかよ! この残姉がッ!!」
411: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:10:25.06 ID:BIu9J4Wzo
苗木「久しぶりだね」
戦刃「う、うん」
舞園「江ノ島さんたちも来てたんですね」
江ノ島「希望ヶ峰から近いからね。まあ、ボクは残念なお姉ちゃんに無理やり連れてこられたんだけどね」
戦刃「え? 盾子ちゃんが暇だから行こうって……」
江ノ島「黙っていろ残姉ッ!!」
苗木「あはは……」
舞園「ところでそれ、もしかして全部射的の景品ですか?」
江ノ島「はい……姉さんが思いのほかハマってしまって……」
苗木「すごいね……」
戦刃「そ、そうかな」テレッ
412: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:10:51.45 ID:BIu9J4Wzo
江ノ島「あーあ。苗木に会ったとたん馬鹿みたいに顔赤くなってやがんの」
舞園「わかりやすいですよね、戦刃さん」
江ノ島「ホントにねー。ところでアンタら、今日はデート?」
舞園「ええ。そうですよ」
江ノ島「……ふうん」
舞園「なんですか?」
江ノ島「いや? ついに素直になったかと思って」ニヤニヤ
舞園「……」
江ノ島「まあいいや。お姉ちゃーん、そろそろ行くよー」
戦刃「あっうん。またね苗木くん、舞園さん」
苗木「うん、また学校で!」
413: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:11:18.06 ID:BIu9J4Wzo
苗木「戦刃さんたちも来てたんだね」
舞園「景品、すごかったですね」
苗木「僕たちもやってみる?」
舞園「はい! あっ、けど……」
苗木「どうかした?」
舞園「私、射的はやったことがなくて……」
苗木「じゃあ僕が教えてあげるよ」
舞園「本当ですか? ありがとうございます!」
苗木「戦刃さんみたいに上手くはないけどね」
舞園「構いませんよ。私は苗木くんに教えてもらいたいんです」
苗木「はは、ありがとう。よし、2人分お願いします」
414: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:11:46.32 ID:BIu9J4Wzo
苗木「じゃあ、とりあえず1発撃ってみようか。弾をここに詰めるんだ」
舞園「はい」
苗木「で、構え方なんだけど……」
舞園「えっと、こんな感じですか?」
苗木「……ちょっと失礼するね」ピト
舞園「へっ?」
苗木「ここをこう持って……顔はこっちに……」ギュ
舞園「は、はい」
舞園(こ、これ……後ろから抱きかかえられてますよね……)カァァ
苗木「落ち着いて的を狙って……」
舞園「うう……」
舞園(落ち着くなんて無理ですよ!? 耳元で囁かれてどう落ち着けっていうんですか!)///
415: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:12:16.49 ID:BIu9J4Wzo
苗木「引き金を引いてみようか」
舞園「あ、はい!」
舞園(落ち着いて引き金を引く……落ち着いて引き金を引く……)
舞園「……」
苗木「舞園さん?」
舞園「あ、あの……」
苗木「なに?」
舞園「い、一緒に引いてもらえませんか……? その、指が震えちゃって……」
苗木「う、うん。わかった」スッ
舞園「……」
苗木「じゃあ……いくよ……?」
舞園「はい……」
舞園(背中も、耳元も、この右手も……苗木くん、暖かいな……)
ターンッ
416: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:13:11.58 ID:BIu9J4Wzo
――――
――
舞園「うーん。残念でしたね」
苗木「ごめんね、何も取れなくて」
舞園「いえいえ、私は楽しかったですよ」
苗木「そっか。よかった」
舞園「あっ、これ食べましょう、わたあめ!」
苗木「わたあめ? 最近食べてないなあ」
舞園「1人で食べるには少し大きいんですよね」
苗木「確かに。けど、2人ならちょうどいいよね」
舞園「ええ。きっと」
417: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:13:42.22 ID:BIu9J4Wzo
苗木「どう、わたあめ?」
舞園「あむ……久しぶりに食べると結構美味しいです」
苗木「本当?」
舞園「苗木くんも食べてください」
苗木「うん。貸して」
舞園「このまま食べましょうよ」
苗木「このまま?」
舞園「私はこっちからで、苗木くんはそっちから。これだけ大きいんですし、ねっ」
苗木「そう? じゃあ僕も……」
舞園「どうですか?」
苗木「うーん……甘いね」
舞園「ふふっ。当たり前じゃないですか」
苗木「あはは……」
苗木(いや、舞園さんの顔がすぐ目の前にあるから、ドキドキしてよく味がわからないんだよね……)
苗木「甘いね」
舞園「はい。とっても甘いです」
418: ◆3Exch9p5tM 2014/10/09(木) 23:15:34.56 ID:BIu9J4Wzo
短いけど続きはできるだけ間空けずに投下するから許して
体育祭や文化祭は書かないです、ごめんなさい
あと2,3回で終わります
体育祭や文化祭は書かないです、ごめんなさい
あと2,3回で終わります
422: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:27:06.49 ID:Fp41khOyo
苗木「さて、次は……」
舞園「あ……」
苗木「舞園さん?」
舞園「すみません、ちょっとお花を摘んできますね」
苗木「花を? えっ?」
舞園「もう。そこは聞き返さないのがマナーですよ?」
苗木「へ? ……あっ、ご、ごめん!」
舞園「ふふ。あ、金魚持っていてもらえますか?」
苗木「う、うん」
舞園「じゃあ、ここで待っていてくださいね」
苗木「うん。いってらっしゃい」
423: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:27:46.56 ID:Fp41khOyo
ミスった! 上の忘れてください!
424: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:28:13.10 ID:Fp41khOyo
苗木「さて、次は……」
舞園「あ……」
苗木「舞園さん?」
舞園「すみません、ちょっとお花を摘んできますね」
苗木「花を? えっ?」
舞園「もう。そこは聞き返さないのがマナーですよ?」
苗木「へ? ……あっ、ご、ごめん!」
舞園「ふふ。あ、金魚持っていてもらえますか?」
苗木「う、うん」
舞園「じゃあ、ここで待っていてくださいね」
苗木「うん。いってらっしゃい」
「……あら? 苗木くん?」
425: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:28:42.17 ID:Fp41khOyo
苗木「ん?」
霧切「こんばんは」
苗木「霧切さん!」
霧切「あなたも来ていたのね。その金魚、苗木くんが掬ったの?」
苗木「あ、掬ったのは僕だけど、舞園さんのだよ」
霧切「……そういうことね」ボソ
苗木「どうかした?」
霧切「何でもないわ。ところで苗木くん、他に何か言うことはないのかしら?」
苗木「はは、ごめんごめん。霧切さんの浴衣姿って新鮮だね。似合ってるよ」
霧切「ふふ。ありがとう」
426: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:29:08.93 ID:Fp41khOyo
苗木「浴衣まで着てるってことは、霧切さんって祭りが好きなの?」
霧切「いえ、祭りに興味がある方ではないわ。友達に誘われたのよ」
苗木「そっか。あ、ごめんね引き止めちゃって……」
霧切「大丈夫よ。あの子、今は席を外しているみたいだから。……気を遣わせてしまったわね」
苗木「へっ?」
霧切「……ねえ、苗木くん」
苗木「ん、なに?」
霧切「前からあなたに伝えたいことがあったの」
苗木「伝えたいこと?」
霧切「ええ。……苗木くん」
苗木「うん」
霧切「私、あなたのことが好きなの。付き合ってくれないかしら」
427: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:29:35.71 ID:Fp41khOyo
苗木「え……ええっ!?」
霧切「……」
苗木「ちょ、ちょっと待って、えっ、えええ!?」
霧切「気づいてなかったの?」
苗木「ぜ、全然気づかなかったよ!?」
霧切「はあ……」
苗木「な、え、本気……なの……?」
霧切「私が冗談でこんなこと言うと思う?」
苗木「思わない……けど……」
霧切「なによ」
428: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:30:18.27 ID:Fp41khOyo
苗木「なんで僕なの? その、こんな何の取り柄もないような……」
霧切「それはあなたを好きになった私に男を見る目がないと言っているの?」
苗木「いやっ、そういうわけじゃなくて!」
霧切「……ぷっ、くすくす」
苗木「き、霧切さん……?」
霧切「く、ふふっ、慌てる苗木くんって面白いわね」
苗木「ええ……なにそれ……」
霧切「それで?」
苗木「えっ?」
霧切「苗木くん。あなたの返事は?」
苗木「霧切さん……」
429: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:30:51.12 ID:Fp41khOyo
苗木「……」
霧切「……」
苗木「ごめん……霧切さんとは、付き合えない……」
霧切「一応、理由を聞いてもいいかしら?」
苗木「……僕、好きな人がいるんだ」
霧切「そう」
苗木「だから、ごめん……」
霧切「……」
苗木「あの……」
霧切「……ふふ。いいのよ、謝らなくて。こうなるのは分かっていたもの」
苗木「え?」
430: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:31:26.70 ID:Fp41khOyo
霧切「分かっていたわ。あなたが私のことをそういう目で見ていないって」
苗木「……」
霧切「私なりにけじめを付けたかったの。ありがとうね、きっぱりと振ってくれて」
苗木「霧切さん……」
霧切「ところで、好きな人っていうのは誰? 私の知っている人かしら」
苗木「それは……ごめん。言えないかな」
霧切「そう。じゃあ私は友達に会いに行くわ。舞園さんによろしくね、それじゃ」クルッ
苗木「あ、うん……またね!」
霧切「……」
苗木「また二学期に、学校でね!」
霧切「……ええ」スタスタ
431: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:31:53.07 ID:Fp41khOyo
霧切「……」
舞園「……いいんですか?」
霧切「覗き見? 趣味が悪いわね」
舞園「私は友達との待ち合わせ場所に戻ってきただけですよ」
霧切「そのお友達から伝言よ。誘ってくれてありがとう。けど、疲れたから今日はもう帰るって」
舞園「そうですか。じゃあ、友達にこれを渡してもらえませんか?」
霧切「ハンカチ……?」
舞園「そのうち返していただければいいので」
霧切「洗って返すわ」
舞園「別にいいですよ」
霧切「……ありがとう」
432: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:33:18.48 ID:Fp41khOyo
――――
――
舞園「苗木くーん!」
苗木「舞園さん……」
舞園「ごめんなさい、待たせちゃって」
苗木「……」
舞園「苗木くん、何かありました?」
苗木「……ううん。なんでもないよ」
舞園「そうだ、戻ってくるときにたこ焼き買ったんです。食べましょう」
苗木「うん。って、結構量あるね……」
舞園「そうですね。3人くらいなら丁度よかったかもしれません」
苗木「……そうだね」パク
433: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:33:58.55 ID:Fp41khOyo
舞園「あっ、一口で食べたら……」
苗木「あ、熱っ!?」
舞園「大丈夫ですか!?」
苗木「う、うん……」
舞園「ああもう、口元にソースが付いちゃって……あっ」
舞園(そっか。ハンカチ、霧切さんに渡したんでしたね……)
苗木「舞園さん?」
舞園「ちょっと拭きますよ」
苗木「待って、それじゃ舞園さんの指が汚れちゃうって」
舞園「大丈夫ですよ。動かないでください」
苗木「わっ……」
434: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:34:31.67 ID:Fp41khOyo
舞園「……」
苗木「あー、指にソースが……何か拭くものあったっけな……」
舞園「ん……」ペロ
苗木「舞園さん!?」
舞園「ほら、これで大丈夫ですよ。ねっ」
苗木「う、うん……」///
舞園(こ、これ、間接キス……ですよね……?)
舞園(ああ、もう。自分からやったくせに顔が熱くなって……)
舞園「つ、次、行きましょうっ」///
苗木「あっ、待ってよ舞園さん!」
苗木(僕の……僕の、好きな人は……)
435: ◆3Exch9p5tM 2014/10/11(土) 00:35:54.62 ID:Fp41khOyo
霧切さん好きな人ごめんなさい…
けどやっぱり苗木くんと舞園さんの恋愛には欠かせない人だと思うんです
次がラストになります
けどやっぱり苗木くんと舞園さんの恋愛には欠かせない人だと思うんです
次がラストになります
439: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:14:18.22 ID:6jDcmadzo
ドン
舞園「きゃっ」
苗木「舞園さん、大丈夫!?」
舞園「は、はい……。人、増えてきましたね」
苗木「もうすぐ花火が始まるからね」
舞園「ああ、なるほど」
苗木「手貸して。はぐれるといけないから」
舞園「……ダメです」
苗木「え?」
舞園「手だけじゃダメです。苗木くんは人混みを甘く見ています」
苗木「ご、ごめん……?」
舞園「だから……」
ギュ
舞園「腕……掴まっててもいいですよね……」
440: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:14:45.27 ID:6jDcmadzo
苗木「ま、舞園さん……」
舞園「これならはぐれる心配はありません」
苗木「……そうだね」
苗木(舞園さん……)
苗木(浴衣って結構薄いからさ、その……)
苗木(すごく肌と肌が近いように感じる)
苗木(……)
苗木(ずっと、こうしていたいな……)
舞園「ふふ。私もです」
苗木「え、なんで……」
舞園「エスパーですから」ニコ
441: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:15:13.19 ID:6jDcmadzo
苗木「……ふ、くくっ」
舞園「あー! なんで笑うんですか!」
苗木「ごめんごめん、なんだか可愛くて」
舞園「えっ?」
苗木「あっ」
舞園「……あ、ありがとうございます」///
苗木「ど、どういたしまして」///
舞園「うう……」///
苗木「……そ、そうだ! あっち行こうよ」
舞園「え? 屋台も何もないですよ?」
苗木「人がいなくて花火がよく見えるとこがあるんだ」
442: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:15:39.99 ID:6jDcmadzo
――――
――
舞園「ほ、本当にこっちでいいんですか?」
苗木「うん、もう少しで開けた場所に出るから……ほら。着いたよ」
舞園「わあ……空がよく見えますね!」
苗木「でしょ? 前にここの祭り来たことあってさ、そのときに見つけたんだ」
舞園「へえ。花火はどっちでしょう」
苗木「えっとね、確かあっちの方に……」
ヒューー…
ドンッ
舞園「あっ……綺麗……」
苗木「うん……」
443: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:16:19.67 ID:6jDcmadzo
苗木「ちょうどいい時間だったね」
舞園「はい」
苗木「花火、綺麗だね」
舞園「はい。……もう少し、寄ってもいいですか?」
苗木「これ以上?」
舞園「これ以上です」
苗木「……うん。いいよ」
舞園「じゃあ、お言葉に甘えて」ピト
苗木「……」
舞園「……」
苗木「暖かいね」
舞園「はい」
444: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:16:48.09 ID:6jDcmadzo
舞園「……いろいろありましたね、夏休み」
苗木「うん。初めの方は寮の冷房が壊れて大変だったね」
舞園「あれは暑かったですね。おかげで随分と苗木くんの部屋に入り浸っちゃいました」
苗木「扇風機があってよかったよ、本当に」
舞園「海も楽しかったですね」
苗木「うん、とても」
舞園「苗木くん、私の水着姿にドキドキしてましたよね」
苗木「い、いや、そんなこと……」
舞園「してましたよね?」
苗木「はい。ドキドキしてました」
舞園「ふふっ、素直でよろしい」
445: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:17:42.38 ID:6jDcmadzo
舞園「苗木くんが風邪を引いたこともありましたね」
苗木「舞園さんが風邪を引いたふりをしたこともね」
舞園「苗木くんに看病してもらえてよかったです」
苗木「はは……」
舞園「それにしても」
苗木「うん」
舞園「本当に、いろいろ遊びましたね」
苗木「買い物に行ったり、映画観たり、ゲームしたり」
舞園「2人で一緒の本を読んだり。あっ、料理もしましたね」
446: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:18:08.33 ID:6jDcmadzo
苗木「そういえばさ」
舞園「なんですか?」
苗木「あの、買い物行ったときとかってさ」
舞園「はい」
苗木「デート、だったのかな」
舞園「……」
苗木「僕は、そうだったらいいなって思ってたんだけどさ」
舞園「私もですよ」
苗木「そっか。今日も?」
舞園「ええ、もちろん。これはデートです」
苗木「よかった」
447: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:18:54.77 ID:6jDcmadzo
苗木「デートに行ったり、海に行ったり、お互いの部屋に行ったり。これってさ……」
舞園「私の後輩と同じですね」
苗木「だよね」
舞園「こうして考えると、私たち、付き合っているようにしか思えませんね」
苗木「はは……」
舞園「ふふ」
ヒューー…
ドンッ
苗木「花火、綺麗だね」
舞園「はい」
448: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:21:19.65 ID:6jDcmadzo
苗木「ねえ、舞園さん」
舞園「なんでしょう」
苗木「僕さ、舞園さんに伝えたいことがあるんだ」
舞園「奇遇ですね。私も、苗木くんに伝えたいことがありますよ」
苗木「本当?」
舞園「はい。せーので言いませんか?」
苗木「そうしようか」
舞園「じゃあ、お願いします」
苗木「うん。せーの……」
「「好きです」」
449: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:28:00.77 ID:6jDcmadzo
苗木「……」
舞園「……」
苗木「僕、ちょっと前から舞園さんのことが好きだったんだ」
舞園「私なんて結構前から苗木くんのこと好きでしたよ」
苗木「じゃあ僕はずっと前からファンだったし」
舞園「私だって中学の頃から気になってましたもん」
苗木「む……」
舞園「むむ……」
450: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:28:27.07 ID:6jDcmadzo
苗木「……ぷっ」
舞園「ふふっ」
苗木「なんていうか、似たもの同士だね。僕たち」
舞園「そうですね」
苗木「……。だから、その、さ……」
舞園「はい」
苗木「僕たち……」
舞園「……」
苗木「……友達に、戻ろう。本当に普通の、仲がいいだけの友達に」
451: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:29:00.40 ID:6jDcmadzo
苗木「舞園さんは、アイドルだから」
舞園「はい」
苗木「僕は、舞園さんに輝いていてほしい」
舞園「……」
苗木「夢を実現させ続けてほしい」
舞園「……」
苗木「僕は、アイドルの舞園さんのことも好きなんだ」
舞園「……ありがとうございます」
苗木「アイドルは恋愛禁止だもんね」
舞園「……ええ」
苗木「だから、普通の友達に戻ろう」
452: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:29:49.62 ID:6jDcmadzo
舞園「……私、苗木くんのことが大好きなんです」
苗木「ありがとう」
舞園「優しいところが好き」
苗木「……」
舞園「一生懸命頑張るところが好き」
苗木「……」
舞園「それに、いつでも前向きなところが好き」
苗木「はは……」
舞園「でも、アイドルが誰かをこんなにも想っちゃ、いけませんよね」
苗木「そうだね」
舞園「だから、ええ。普通の友達に戻りましょう」
453: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:30:36.21 ID:6jDcmadzo
苗木「……ねえ。待ってても、いいかな?」
舞園「私がアイドルじゃなくなるまで、ですか?」
苗木「うん」
舞園「私、おばさんになってるかもしれませんよ?」
苗木「うん」
舞園「ずっと待たせちゃいますよ?」
苗木「構わないよ」
舞園「苗木くんには、きっと他にも……」
苗木「僕は、舞園さんじゃなきゃ嫌だ」
舞園「私、アイドルのために好きな人を諦めちゃうような女ですよ……?」
苗木「それでも僕は待っていたいんだ」
舞園「待っていて……くれるんですか……?」
苗木「うん。もちろん」
454: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:32:27.90 ID:6jDcmadzo
舞園「ありがとう、ございます……っ……」
苗木「……」
舞園「私、私……」
苗木「……」
舞園「後輩が、あやかのことが、雑誌に載って……それで、どうしようって……」
苗木「僕もだよ」
舞園「ごめ、んなさいっ……私がアイドル、捨てられないから……!」
苗木「そんな一生懸命な君だから、僕は好きになったんだ」
舞園「っ……苗木くん……」
455: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:32:54.07 ID:6jDcmadzo
苗木「……ねえ。最後にお願いがあるんだ」
舞園「なんですか……?」
苗木「抱きしめてもいいかな」
舞園「……はい」
苗木「ありがとう」
ギュッ
舞園「暖かいです……」
苗木「うん」
舞園「それに、幸せです。とっても……」
苗木「うん……」
456: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:33:31.77 ID:6jDcmadzo
舞園「苗木くん」
苗木「なに?」
舞園「私からも、1つお願いをしてもいいですか?」
苗木「うん。いいよ」
舞園「じゃあ……」
苗木「……」
舞園「あの……うう……」///
苗木「舞園さん?」
舞園「き……」
「……キス、してください」
457: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:34:20.47 ID:6jDcmadzo
苗木「えっ……?」
舞園「ダメ、ですか……?」
苗木「そ、それはさすがに……」
舞園「お願いします……そしたら私は、みんなのアイドルに戻りますから……」
苗木「けど……」
舞園「だから、今だけは……」
苗木「……」
舞園「今だけは、あなただけの舞園さやかでいさせてください……」
苗木「舞園さん……」
舞園「お願い……」
458: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:34:47.03 ID:6jDcmadzo
苗木「……ねえ、舞園さん」
舞園「はい……」
苗木「この数か月、とても楽しかったよ。君を好きになれてよかった……」
舞園「私もですよ。恋をするのがこんなに楽しくて、少し苦しいことを初めて知りました……」
苗木「ありがとう……待ってるから……」
舞園「はい。少しだけ、待っていてください……」
苗木「舞園さん……」
舞園「苗木くん……」
苗木「……」
舞園「……」
ヒューー…
ドン…
――――
――
459: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:35:17.55 ID:6jDcmadzo
【秋】
【アイドル】
『さやかー、もう部屋出た?』
舞園「ご、ごめんなさい、あと少し!」
『もう。でも珍しいね、さやかが寝坊だなんて』
舞園「うう……」
『スタートには間に合うんだよね?』
舞園「うん、マコトくんに餌をあげたらすぐ向かうから!」
『マコトくん……? ああ、金魚の名前だっけ』
舞園「はい。私の大切なお友達ですよ」
『まあそれはいいとして、早く早く!』
舞園「は、はいっ!」
460: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:35:44.52 ID:6jDcmadzo
【絶望】
戦刃「ねえ盾子ちゃん」
江ノ島「……」
戦刃「大丈夫?」
江ノ島「無理ぃ……」
戦刃「もう……」
江ノ島「だ、だってだって! あいつら絶対くっつくと思ってたのに! なんでこうなるのよ!? ぐすっ……」
戦刃「盾子ちゃんって、恋愛に関しては結構乙女だよね」
江ノ島「はああ何言ってんの!? 残姉お仕置きだからね!!」
戦刃「顔真っ赤にして言っても怖くないよ」
戦刃(人類絶望化計画、すっかり忘れてるよね……まあいいか)
461: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:36:29.40 ID:6jDcmadzo
【幸運】
桑田「おい苗木! 舞園ちゃんと夏祭りデートしてたって本当かよ!?」
苗木「へっ? 誰に聞いたのそれ?」
桑田「不二咲がお前らを見たって言ってたんだよ!」
苗木「ああー、それは……」
桑田「本当だったんだな!? デートしちゃったんだな!?」
苗木「えっと……」
霧切「あら。私もその場にいたわよ」
苗木「霧切さん!」
桑田「……二股?」
462: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:37:24.65 ID:6jDcmadzo
霧切「何を馬鹿なこと言ってるの。3人で遊びに行っただけよ。ねえ、苗木くん」
苗木「あ、うん! そうなんだよ!」
桑田「んー、じゃあデートではないわけか……」
苗木「そういうこと」
桑田「じゃあ苗木よお」
苗木「ん?」
桑田「夏休みの間に舞園ちゃんと付き合い始めたとかないのかよ?」
苗木「……」
桑田「どうなんだよ?」
苗木「……ふふっ」
桑田「んあ?」
苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」
終わり
463: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:39:22.59 ID:6jDcmadzo
これで終わりです。
タイムマシンSSの息抜きに書き始めたけど、当初はここまで長くなるとは思っていませんでした。
どこかの時点でふと「ひと夏の恋」みたいな話を書きたくなって、できるだけ甘くしたつもりです。
最後は2人の七夕の願いが叶うことなく、ただの友達に戻りました。
この2人はお互いの気持ちを知ったらこのような選択をするんじゃないかな、と個人的に思っていた結末です。
最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
途中で何度もエタりそうになったけど、なんとか完結できたのは皆さまのおかげです。
めっちゃ短いエピローグを明日あたり投下すると思います。
タイムマシンSSの息抜きに書き始めたけど、当初はここまで長くなるとは思っていませんでした。
どこかの時点でふと「ひと夏の恋」みたいな話を書きたくなって、できるだけ甘くしたつもりです。
最後は2人の七夕の願いが叶うことなく、ただの友達に戻りました。
この2人はお互いの気持ちを知ったらこのような選択をするんじゃないかな、と個人的に思っていた結末です。
最後まで読んでいただいた方、本当にありがとうございました。
途中で何度もエタりそうになったけど、なんとか完結できたのは皆さまのおかげです。
めっちゃ短いエピローグを明日あたり投下すると思います。
464: ◆3Exch9p5tM 2014/10/12(日) 22:41:49.59 ID:6jDcmadzo
>>436
ありがとうございます!
タイムマシンの続きを書くと言ったまま書けていませんが、本当にあれはどうにかしようと思っています…
ありがとうございます!
タイムマシンの続きを書くと言ったまま書けていませんが、本当にあれはどうにかしようと思っています…
465: 436 2014/10/12(日) 23:01:41.85 ID:FvnwGEko0
>>463
ひとまず、完結お疲れ様でした!
本当に甘く、そして切ないひと時をありがとうございました。
だけど、舞園さんがアイドルを卒業して苗木君と本当に付き合う未来も
ちょっとだけ見てみたいなとも思っていたりします。
ひとまず、完結お疲れ様でした!
本当に甘く、そして切ないひと時をありがとうございました。
だけど、舞園さんがアイドルを卒業して苗木君と本当に付き合う未来も
ちょっとだけ見てみたいなとも思っていたりします。
466: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/12(日) 23:27:10.80 ID:n8NBdiUn0
お疲れ様ー
舞園さん好きのひとりとして興味深く読んだよ(霧切さんも好きなのでちょっと複雑だったけど)
もし恋愛が禁止ならこうなるよねぇ…と切なくも納得
ただ苗木君ならではの信頼感(待っていられそう)のおかげでハッピーエンドにも感じられたから良かったよ
舞園さん好きのひとりとして興味深く読んだよ(霧切さんも好きなのでちょっと複雑だったけど)
もし恋愛が禁止ならこうなるよねぇ…と切なくも納得
ただ苗木君ならではの信頼感(待っていられそう)のおかげでハッピーエンドにも感じられたから良かったよ
469: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/13(月) 01:10:36.93 ID:rdqpw47SO
乙
完結お疲れ様でした。楽しかったです。
完結お疲れ様でした。楽しかったです。
472: ◆3Exch9p5tM 2014/10/13(月) 22:17:02.20 ID:jahVEGUpo
『――――』
「ほえー」
「何を見てるんだい?」
「あいどる!」
「アイドル?」
『モノクロームな恋が~ 2人を包んで~』
「おおー」
「おっ。これは……」
「夕食できましたよー。って、何を見てるんですか!!?」
473: ◆3Exch9p5tM 2014/10/13(月) 22:17:32.87 ID:jahVEGUpo
「あいどる!」
「はは。伝説のアイドルだって」
「ちゃ、チャンネル変えませんか!?」
「だーめ!」
「駄目だってさ」
「うう……」
「あれー?」
「ん、どうした?」
「あいどる、ママににてる!」
「ああ、本当だね」
「っ~~!!」///
474: ◆3Exch9p5tM 2014/10/13(月) 22:18:01.99 ID:jahVEGUpo
「ほ、ほら、ご飯食べますよ!」
「はいはい。ほら、行くよ」
「うんっ」
「って、あれ? 僕の茶碗は?」
「誠くんなんて知りません!」
「ごめんごめん。からかいすぎたよ、さやかさん」
「パパ、はやくはやく!」
「はーい」
「もう……」
「よし。じゃあ」
「「「いただきます」」」
475: ◆3Exch9p5tM 2014/10/13(月) 22:19:49.71 ID:jahVEGUpo
本当に終わり。タイムマシンに繋がったりなんてしません。
1日経ったらhtml化依頼出してきます。
苗舞SS増えないかなー(チラッ
1日経ったらhtml化依頼出してきます。
苗舞SS増えないかなー(チラッ
476: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 22:23:20.93 ID:1ZQmAm3E0
乙です!甘かったです!
次の作品も楽しみに待っています!
じゃあ、私が書いてみよっかなー(チラッ
次の作品も楽しみに待っています!
じゃあ、私が書いてみよっかなー(チラッ
477: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/10/13(月) 23:43:41.32 ID:aWhBqFhG0
お疲れ様でした
また苗舞SS書いてくれると嬉しいな
また苗舞SS書いてくれると嬉しいな
478: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/14(火) 01:30:10.98 ID:0r4gOfSD0
ついに終わってしまったんだね
本当に甘々で良かった
また書くことがあったら期待してます
本当に甘々で良かった
また書くことがあったら期待してます
486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/10/19(日) 23:42:39.12 ID:BI0IPypIO
乙
俺の珈琲ガムシロになった
長かったはずなのに短く感じた
もっと書いてもいいのよ(チラッ
元スレ
タイトル:苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」
URL:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389459961/
掲載サイト:SS速報VIP@VIPサービスに投稿されたスレッドの紹介です
俺の珈琲ガムシロになった
長かったはずなのに短く感じた
もっと書いてもいいのよ(チラッ
元スレ
タイトル:苗木「えっ、舞園さんと? 付き合ってないけど?」
URL:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1389459961/
掲載サイト:SS速報VIP@VIPサービスに投稿されたスレッドの紹介です
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