“分断”の危機は避けられるか ~仏テロ 広がる波紋~
仏テロ 広がる波紋 “分断”は避けられるか
●ヨーロッパ全体の状況をどう見る?
やはり、ひと言で言うと、やっぱりまだ不安定な状況は続いていると思います。
ドイツの状況は、ドイツだけではなくてフランスやそのほかの国にも、またどういう形で波及するか、また広がっていくのか、これ以上に広がっていくのか、分からない状況です。
その意味では、感情の力と理性の力が今、戦っているといいますか、全体としては私は理性の力が強いんではないか、メルケル首相の発言なんかに見られるように、そうした状況ではないかと思います。
ただし、不安定は不安定ですから、今日のようにインターネットが発達してバーチャルリアリティーが広がっている時代、ちょっとしたことで感情の力が拡大していく可能性はあると思います。
●今のヨーロッパが抱えている一番大きなジレンマは?
もともと、移民の問題、あるいは歴史的にさかのぼって植民地の問題というのは、西欧的価値観が絶対視されていた近代以降の、今日に至るまでの大きな歴史の流れだと思います。
そういった西欧的な価値観を絶対視する、そういった見方が今、揺れてきている。
別な言い方をすれば、西欧国家の在り方が自信を失いかけていると言うことができるのではないかと思います。
そういう意味では、例えばフランスなどでは、異文化を受け入れて多様化してきているけれども、その対応がまだ十分できていない。
制度的にもまだ問題があるというのが現状ではないかと思います。
●不安定な状況を改善し、社会統合を進めていくための鍵は?
結局、ひと言で言えば平凡な言い方になりますけれども、対話だと思います。
冷戦が終わったということは、ある意味で不文律ですけれども、一応、暴力で物事を解決しないと。
外交で解決する、あるいは対話で解決する、それは価値と価値のぶつかり合い、文化と文化の対立になる。
それをどう克服していくかと、少し難しい言い方になりますけれども、そういった広い意味での対話の窓口をどうわれわれは作っていくか、そういう今、時代にあるんだと思います。