“分断”の危機は避けられるか ~仏テロ 広がる波紋~
テロ後のフランス 脅かされるイスラム教徒
「こちら反イスラム嫌悪協会です。」
テロ事件後、一般のイスラム教徒への嫌がらせが急増しています。
イスラム教徒のための相談窓口には、テロ事件以降、週に50件以上の相談が寄せられています。
“『スカーフをつけた売春婦め、殺してやる』と言われました。”
相談員
「まずは警察に届けを出してください。
何か問題があったら連絡してください。」
相談窓口の担当者は、差別行為がエスカレートするのではないかと懸念しています。
反イスラム嫌悪協会 広報担当 エルザ・レイさん
「特にスカーフをつけているイスラム教の女性は、仕事場であれ、学校であれ、休日であれ、日常的に暴力や差別の危険にさらされています。
この状況に対策を講じなければ、今後も同じような被害が続くでしょう。」
こうした状況の中でも、積極的に社会に溶け込もうとしているイスラム系の移民もいます。
モスク理事長
「皆さん、いつでもこの施設に来てください。
そして私たちに会ってください。
われわれの神は決して排他的ではありません。」
このモスクでは10年前から月に2回、モスクを開放し、イスラム教徒以外の住民との相互理解を促そうとしてきました。
地域住民
「“私たちとは対立していない”とアピールするのは良いことだと思います。」
その先頭に立ってきた、グレーヌ・ヌレッディンさんです。
モスク指導者 グレーヌ・ヌレッディンさん
「イスラム教のいいところを知ってもらう努力をしてきました。
私たちは、みなさんと一体となって生きていきたいのです。」
テロ事件後、ヌレッディンさんのモスクにはイスラム教を侮辱する落書きがされ、建設中の新しいモスクは何者かに放火されました。
共存を目指してきたヌレッディンさん。
今、無力感にさいなまれています。
モスク指導者 グレーヌ・ヌレッディンさん
「暴力をふるうのはテロリストです。
決して私たちではありません。
しかし、イスラム教徒はフランス社会から疎外されています。」