クローズアップ現代

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No.36112015年2月4日(水)放送
“分断”の危機は避けられるか ~仏テロ 広がる波紋~

“分断”の危機は避けられるか ~仏テロ 広がる波紋~

テロ後のフランス 「自由」をめぐる摩擦

シャルリ・エブド襲撃事件から4日後。
フランス全土で370万人が参加して大規模なデモが行われました。
参加者たちが掲げた「私はシャルリ」。
表現の自由への支持の表明です。

女性
「表現の自由を守りたいからここに来ました。」

テロ事件からまもなく1か月。
今も街の至る所で私はシャルリのスローガンが掲げられています。



「私はシャルリではない。」

一方で、割り切れない思いを抱えている人たちもいます。
イスラム系移民たちです。
300人が集まり、イスラム教徒は尊重されていないと声を上げました。

シャルリ・エブドは、イスラムの教えで描くことが禁じられている預言者ムハンマドの風刺画をたびたび掲載。
告発しても、司法当局は「表現の自由」の範囲内だとして退けてきました。
事件をきっかけにイスラム教徒の不満が噴出したのです。


「反イスラム主義と私は闘う。
政府は我々を救わない。」




この表現の自由を巡る価値観の違いが、フランス社会に大きな溝を作っています。
アルジェリア出身のイスラム教徒、ユネス・シャウイさんです。
友人との会話ではシャルリ・エブドがいつも話題に上ります。

ユネス・シャウイさん
「預言者ムハンマドが裸の姿で描かれたら、それはとんでもない侮辱です。」

「でもそれを止めさせることはできない、表現の自由があるんだから。」

イスラム教徒ではない友人とは、いつも議論は平行線となります。

ユネス・シャウイさん
「そんなに過剰な“表現の自由”は必要ですか。」

「イスラム教を知らないフランス人には侮辱ではないのよ。」

ユネス・シャウイさん
「侮辱は侮辱です。」

「生っ粋のフランス人にとっては違うのよ。」

ユネス・シャウイさん
「イスラム教徒は傷つくんです。
いくら表現の自由があると言ったって…。」

イスラム教徒として譲れない価値観が理解されず、偏見の原因にもなっているといいます。

ユネス・シャウイさん
「生っ粋のフランス人とイスラム系住民には大きな壁があります。
人種差別的な出来事も経験しました。
でも、差別されたことは自分の胸におさめています。
話すことはできません。」

フランスでは、移民を社会に統合していくためのさまざまな政策を取ってきました。
その1つが、公立学校でイスラム教徒の女子生徒がスカーフをかぶることを禁じた法律です。
根幹にあるのが、公の場に宗教を持ち込まない「政教分離」の理念です。

フランス シラク大統領(当時)
「宗教の自由ということを口実に、フランスの理念に従わないのは許されない。」



「法律を変えよう!」

その結果、イスラム教徒の反発を招くことも少なくありません。
しかし政府は、学校の授業でも政教分離の理念を徹底させようとしています。


子ども
「学校では自分の宗教と関係する服装や物を身につけません。」

子ども
「生まれた肌の色を理由に無視されたり、いじめられた子もいるけど、それは無知や愚かさのせいです。
みんなが尊重しあい、差別のない学校を作っていきたいです。」

仏政府 教育関係者
「ぜひ頑張ってください。
君たちが言ったように、他人が信じるものや生き方を尊重する事こそが政教分離なのですから。」

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