【コラム】日本は中国にどんな目に遭わされてきたのか

 中国は無道な国なのだろうか。ある日突然、「我が国の領土、我が国の領海」だと主張し始めたのなら、相手にしてはならない。しかし、現実は複雑だ。10年に日本の警察が東シナ海で中国人船長を逮捕した。日本の巡視船に漁船を故意にぶつけたからだ。中国政府が反発すると、日本政府はこっそりと船長を釈放した。この時、巡視船と中国漁船が衝突する際の動画が公開され、国民の胸に火をつけた。「屈辱外交」だとデモが起き、多元的領有権問題が単線的な国民情緒に振り回され始めた。

 しかし、当時の日本国民が目をつぶったこともある。日本政府の方が先に雷管に触れたということだ。日中漁業協定は尖閣海域の漁船取り締まりを本国政府にだけ委ねている。中国政府が漁船を放置するのは、韓国もよく知っていることだ。耐えかねた日本は直接取り締まりに乗り出した。尖閣諸島に対する主権意識が発動されたのだ。中国は協定違反と受け止めた。漁船の衝突はこの過程で起こった。12年の第2次紛争も日本政府の尖閣諸島国有化が導火線だった。日本の極右勢力が島を買い取ろうとしたため、物理的衝突を懸念した日本政府が国有化した。仕方なかった面もある。しかし、中国は容認しがたい「現状変更」だと受け止めた。

 突然の政権交代だったため、民主党政権は未熟だった。領有権問題の扱いを間違え、日本国民の自尊心を損なうばかりだった。世論に乗じた国内の極右勢力に振り回されてしまった。民主党の米中バランス外交は一気に崩れた。しばらくして政権も吹っ飛んだ。今、尖閣諸島がある海域は日中の艦船や航空機が頻繁に行き交う紛争地域に変わろうとしている。中国は44年前に日本と国交正常化した時、尖閣諸島問題を「子孫が解決しなければならない『未解決保留』課題として残した。近視眼的な措置で日本が自ら紛争時期を早めた。だから外交は専門家がすべきなのだ。

鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
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