野党・国民の党は12日に議員総会を開き、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国国内への配備反対を党の方針として採択し、国会に対してもこれに同調するよう求めた。同党所属議員らは「歴史に罪を犯した」などと発言し、かつて統一部(省に相当)長官を務めた鄭東泳(チョン・ドンヨン)議員に至っては「大災害」「亡国的選択」とも語った。THAAD配備の決定を「米国と中国の二者択一」と見なす危険きわまりない思考にとらわれている議員もいた。安哲秀(アン・チョルス)前代表も先日「国民投票で民意を問うべき」などと的外れの提案を行い、激しい批判を受けたことで発言を取り消した。
ちなみに野党第1党の「共に民主党」は金鍾仁(キム・ジョンイン)代表が中心となり「実益のある配備であれば賛成」とする党としての立場を明確にしたが、国民の党は共に民主党によるこの決定を批判し、また文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党前代表にも立場を明確にするよう求めた。文在寅氏は以前からTHAAD配備に反対の立場を表明してきたため、国民の党は文氏を自分たちの側に引き入れ、共に民主党を分裂させるという政治的な計算を行っているようだ。
THAAD配備は北朝鮮のミサイルをレーダーで探知し、これを迎撃する防御用のシステムで、その導入は韓米同盟の強化という次元で決められたものだ。ところがそのような本質的側面から顔を背け、配備の決定により国が破滅でもするかのように扇動する政治家が存在するのは嘆かわしいことだ。一部では「THAADの1個部隊が持つ48発の迎撃ミサイルだけでは、1000発に上るとされる北朝鮮のスカッドやノドン・ミサイルを全て打ち落とすことはできない」などと主張し、これを根拠に「THAAD無用論」を訴える勢力もある。これはつまり「THAADでは完全に国を守ることができないから、無防備のままじっとしているべき」と言っているのと同じだ。ちなみにイスラエルは3重の防空網をすでに備えているが、ここからさらに4番目のミサイル迎撃システムの開発に力を入れている。同じように韓国も放射砲(多連装ロケット砲)からソウルと首都圏を守ることのできる対策を今後も引き続き進めていかねばならない。